17話 死の直面
グロ描写がありますので注意
「左側空きやすいよ!!!」
「悪い!!!」
部屋に入るなりトラップが発動しモンスター無限沸き中。
団長さん曰く一定の魔力が込められた宝玉からその魔力に見合った分のモンスターが出て来るらしい。
モンスターが出て来る度に込められている魔力は減ってくらしい。
つまり、この部屋のどっかに隠されてる宝玉を破壊するか宝玉に詰まってる魔力全消費・・・・。
魔力分のモンスターすべてを倒さなければいけないって事だ。
部屋が大広間みたいに広い感じでよかったわ。
じゃなかったらお互いの動きが阻害しあって余計にあぶない。
フレンドリーファイアが起きやすくなる。
周りに視線を走らせ他のメンバーの様子を見るが騎士団からの援護でなんとかなってるって感じかな?
広い広間だけど分裂されてるな。
ゴブリン、スライム、コボルトなど色々と居るがそんな大型のモンスターじゃないからお互いの姿を確認出来て幸いだ。
とりあえずスライムは溶解なんてやっばいのがあるし酸を吐き出す個体もいるらしい。
ある程度レベルがあるとそうらしくそれ以外は体当たりしか出来ないとの。
酸を吐き出すのは居るが溶解は危ないから利き手に持つ鞘で距離を取ったりする。
出来れば切り裂いたりするけどさ・・・スライムの体の中にあるコアを破壊しなきゃ生き続けるとかきっついわ。
グミのように柔らかくジェルのように伸びるスライムの体は打撃、衝撃に強いから魔法かレイピア、槍などによる刺すような攻撃でコアを直接攻撃しないとダメだし。
斬る事も出来るけどコアに届く前に体の方で受け止められてしまって大変だよ。
「後衛は各自残りの魔力に配慮!!必要なら回復薬で魔力の回復!!」
「っはい!!」
あっちこっちで後衛もジリ貧だな。
ペース配分が出来てないから悲鳴染みた声で回復薬を求めてる声も聞こえてる。
「はっ・・・、これ持つか?」
「生徒は持たないが騎士団は持つんじゃない?
経験の差がモノ言うよ。」
ツカサと弱音染みた言葉を交えつつもお互い一息吐き出すと同時に目の前の敵を屠るのに意識を向ける。
刀から伝わる肉を切り裂く感覚。
切り裂いたモンスターの傷口から噴き出す血飛沫。
生理的嫌悪と拒絶から胃からせりあがって来るものを飲み下し力が抜けそうになる指先に力を込めなおし刀を振るう。
「ッ、カザマ!!!!」
悲鳴染みた声と同時に視界がブレる。
遅れて感じる横からの衝撃と同時に反対側にも衝撃を受けせりあがって来る赤を口から吐き出した。
「カハッ・・・ゴホッ・・・・!!」
息がうまく吸えない。
何が?衝撃は攻撃されたから?
グルグルと思考がうまくまとまらずに考えつづけ視線を動かせば角のある二足歩行の牛・・・大型のモンスターが鎮座している。
「ミノタウロス!?」
「このダンジョンには出ない奴が何故!?」
軍にとってのイレギュラーモンスターによる介入。
いや、強いのかあの反応的に?
神話に出て来るミノタウロスとファンタジーに出て来るミノタウロスの強さの差ってあるし。
まぁ、大体ゲームや物語の中盤・・・いわゆる中ボスぐらいには出て来るよねミノタウロス。
血反吐を吐き立ち上がろうにも体が言う事をきかない。
いや、そもそも壁に叩きつけられた上にダンジョンに存在しないハズのモンスター・・・・。
高レベル?あっ、ギリギリ生きてるレベルもしかして?
現実逃避のようにつらつらと現状と機能してる耳から入る言葉から推測する。
回復薬を出そうと手を動かそうとすればひしゃげた左手が目に入る。
これは初の死亡例か・・・。
「シノブッ!!!!」
「くっそぉ!!!」
僕の状態に気づいた人はこちらに近づこうとするがそれを邪魔するようにモンスターが湧き出る。
そうしてミノタウロスは額から生えてる角を帯電させてるし・・・・。
多分一撃を食らえば僕は死ぬだろうな。
死が迫って来てるというのになんだって僕は冷静に考え続けてるのだろうか?
諦めてるからだろうか?
体が重いのは重傷だから?それとも絶望から?
動けと思考が叫ぶが口に出して鼓舞しようにも声を出そうとすれば血が喉をせりあがり血を吐き出す事しかできない。
ミノタウロスが帯電のチャージが終わったらしくこちらに突進してくるモーションか片足で床を数度蹴ってる。
あれを食らえば確実に死ぬだろう。
現状ですら虫の息同然なのにトドメが差し迫ってる。
『仕方のない奴だ。少し借りるぞ。』
苛立った守護霊の言葉が聞こえると同時に僕の記憶はそこで途絶えた。