プロローグ
長編に初めて手を出しました。
執筆速度のムラががありますが完結まで頑張ります
「失敗・・・しても文句言うなよ。」
顔が影って見えないローブを纏った男とコートを来た男が対峙し合い会話をしている。
どちらもまだ成人していなさそうな10代後半ぐらいの少年とも青年ともとれる。
ローブを纏った男は苦渋に満ちた声でコートの男に言葉を向ける。
「そん時は俺は死ぬだけだ。
勝算はないのを前提とした策であるのは100も承知。
他の連中だって止めてたやつを俺の独断でやるって事でお前を巻き込んでるんだ。
心情的にはヤバい事任せて悪い。」
「そう思うならここで中断して欲しいと思うけど・・・・。
お前そんなつもりないだろう?」
「ない。」
声が楽し気に拒否するのが聞こえる。
ローブの男は不安や心配気な雰囲気をだしコートの男を見ている。
「・・・・何を焦ってる?」
「・・・俺さ、神話とかそう言うのをメインに本読んでたじゃん?
だから、怖いんだ。」
ローブの男の言葉にコートの男は自身の持つ不安を打ち明ける。
「縁が怖い。
人と人の繋がりは縁で繋がってるって話があった。
縁切りの神様とかあるの知ってる?」
「そういう神社があるのは・・・・。」
「奴等の次の召喚は俺達と縁を持つ者達・・・・兄妹、家族、親類、友人ではないかと俺は思ってしまった。」
コートの男の言葉ローブの男は愕然としその言葉を理解するなり震えだす。
「そ、んなの・・・。」
「わからないだろ?でもさ・・・・。
縁って人の目に見えないからこそもしかしたらって思っちまった。
だからこそこんな勝算の無い事に俺は手を出した。
次に奴等が召喚するのは多分、従妹だと思っちまったから。」
「そんな事っ・・・・!!!」
「・・・勝算はないつったがこの小刀が勝算ありの証拠だ。」
コートの男は小刀を目の前に持ち上げローブの男に見せる。
「それ、あいつにたの・・んで・・・・。」
ローブの男は小刀を見ながら言葉を失ってしまう。
何かに気づいてしまったからだ。
「お前も知ってるだろ?
この小刀はうちの家に代々語り継がれてたあの小刀と同じだ。
多分、失敗はするが成功でもあるんだと思う。
俺の記憶違いかもしれない。それでも俺はこれに賭ける。」
変わらぬコートの男の言葉にローブの男は観念したように息を吐き出す。
「・・・・お前のその心配事のせーで俺も心配になった。
本の知識だろうがそういうのは元ネタがあるからこそだし実際に縁をどうこうする神社だってある以上、現実になりそうだと思う。」
ローブの男は覚悟を決めたようにコートの男を見据える。
「ならば、残った俺等はその可能性を知った上で活動させてもらう。」
「好きにしろ、俺が打てる手を打つだけでお前達も打てる手を打て。
数の多さと手数で翻弄するしかないからな・・・・。」
「――――」
コートの男の言葉に頷きローブの男は聞いた事のないような言葉を紡ぎ始める。
その声に呼応するように暗がりで見えなかった床一面の文様・・・・―――魔法陣のようなものが反応し淡い光をともしだす。
コートの男はローブの男に何かを囁きその光の陣に足を踏み入れ姿を消した。
「―――どうか、これが終わりへの導となるよう。」
ローブの男は消えていったコートの男がいた場所を名残惜しむように見続ける場面が一枚の写真のようにすべてが止まる。
遠のきだすその景色は黒一色の空間に消えた―――。