ジ・アース
フルダイブ型VR。
それは現実と仮想の境界を失くす、人類の叡智の結晶であるーーーはずだった。
人類が永きに渡り望んで来た世界平和がついに達成され、人々の日常が侵されることはなくなった。だが便利で安全で平和が約束された日常は、人々を「飢え」へと追い込んだ。刺激へと、スリルへと、非日常へと。
そこで人々が飢えをしのぐため欲望の捌け口に選んだのが、「ゲーム」。
そして遂に技術の、ゲームの歴史の到達点と言われていた「フルダイブ型VR」が誕生。
だがしかし、人々の期待は粉々に打ち砕かれた。誰もが完璧を求めてしまったがゆえに、誰もが気づいてしまったのだ。仮想と現実の差の違和感に。その違和感は、着々と人々に不満とストレスを与えていった。
しかしこれ以上の技術の進歩も望めず、ゲームをする側も作る側も、幾年と続いて来たゲームの歴史についに限界を感じ始めていた。
人々の欲求は、時代と、ゲームの成長とともに遺伝子レベルで築き上げられてきた、非現実(ゲーム)の「質」に対する欲求。
だがともに成長していたはずの非現実(ゲーム)が、成長を止めてしまったのだ。
するとどうなったか。世界平和の達成されたこの世界で、変わらない平和な日常から離れる術であったゲームに対する欲求だけが満たされずに溜まっていった。
こうして、叡智の結晶となるはず、なるべきであったフルダイブ型VRは未完成で完成となってしまい、人類の歴史の一部に大きく終止符を打った。
そんな中ある日、突如として究極の非現実(ゲーム)が現れた――。
それは現実と仮想の境界を失くす、人類の叡智の結晶であるーーーはずだった。
人類が永きに渡り望んで来た世界平和がついに達成され、人々の日常が侵されることはなくなった。だが便利で安全で平和が約束された日常は、人々を「飢え」へと追い込んだ。刺激へと、スリルへと、非日常へと。
そこで人々が飢えをしのぐため欲望の捌け口に選んだのが、「ゲーム」。
そして遂に技術の、ゲームの歴史の到達点と言われていた「フルダイブ型VR」が誕生。
だがしかし、人々の期待は粉々に打ち砕かれた。誰もが完璧を求めてしまったがゆえに、誰もが気づいてしまったのだ。仮想と現実の差の違和感に。その違和感は、着々と人々に不満とストレスを与えていった。
しかしこれ以上の技術の進歩も望めず、ゲームをする側も作る側も、幾年と続いて来たゲームの歴史についに限界を感じ始めていた。
人々の欲求は、時代と、ゲームの成長とともに遺伝子レベルで築き上げられてきた、非現実(ゲーム)の「質」に対する欲求。
だがともに成長していたはずの非現実(ゲーム)が、成長を止めてしまったのだ。
するとどうなったか。世界平和の達成されたこの世界で、変わらない平和な日常から離れる術であったゲームに対する欲求だけが満たされずに溜まっていった。
こうして、叡智の結晶となるはず、なるべきであったフルダイブ型VRは未完成で完成となってしまい、人類の歴史の一部に大きく終止符を打った。
そんな中ある日、突如として究極の非現実(ゲーム)が現れた――。