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Sage Episode.

アーダム大陸ロマネ帝国の中心地に、幾重にも螺旋を描きそびえ立つ賢者の塔。そこに住む双賢者、暁のアラムと黄昏のイヴァンに神の預言が下りた。

この大陸の始まりであるソロン伝説から、勇者アトラスと共に魔神を討ち果し今現在までの千年間、この大陸の行く末を見守ってきた。その末裔であるアラムとイヴァンが神の神託を授かったのはおよそ100年ぶりのことであった。


「至急大司教と皇帝陛下様にこの文を届けてください」


御年100歳を超えるアラムの手紙を従者たちは授かり早馬を出す。従者たちはその手紙の内容を知りはしないのだが、そのアラムの表情からただ事ではないと察していた。


一方で、寝てきりのままイヴァンは従者を呼び出した。


「今、天啓が下りました。私はきっと長くないでしょう。今からいう事を大陸中に触れ回るのです」


イヴァンはその言葉とは裏腹に穏やかな表情をしていた。この大陸を見守ってきた双賢者の一人であるイヴァンが何を思ったかは定かでは無いが、発せられる言葉はこれが最後になるのである。


「このアーダム大陸の遥か西の街に救世主が産まれます。さぁ、お行きなさい。皆に知らせるのです!」


そう言い深くせき込むイヴァン。従者が駆け寄るとイヴァンはそれを制止した。それが自分の宿命だと言わんばかりのイヴァンに従者は何も言えず、静かに部屋を後にする。この救世主の一方に民は何を思うのか。イヴァンは何を思ったのか。従者はただイヴァンの遺言を伝えるだけである。




帝都エデスから十里程離れた地に密かに立つ大修道院サンクトゥスに早馬が到着する。修道院というよりは砦のようなその修道院の前で門番たちは男を止める。しかし、その手に持つ手紙に双賢者の印が押してあることに気が付き門を開いた。


「おやおや、アラム様の従者の方ではございませんかぁ。そんなに急いでどうされたのですかぁ?」


従者の気持ちなど知らない身の丈180程ある男、大司教セーラムは緩やかな口調で問う。


「ふむふむ、手紙ですかぁ。ッ!?こ、これは!!すぐ『希望の騎士団』を招集しなさい!」


ふるふると震えた手で司教にそう言い放つセーラム。顔を赤く染め、憤怒の表情に燃えている。


「いいですか。すぐこの大陸の最西の土地を調べ上げるのです!!いいですかこの手紙にはこう書いてあります」


大きく息を吸い込み心を整える。しかし、それも意味をなさず、獣の咆哮の様にセーラムは手紙の内容を叫んだ。


「西の地で悪魔の子が生まれるのです!!!!」


この一方は直ぐ大陸中に知れ渡ることとなる。

今の今まで双賢者の意見が割れることは無かった。信託など尚のことである。しかし事件はこうして起きてしまった。

はたしてその赤子は救世主なのか、悪魔の子なのか。それは神のみぞ知る。



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