03 悪役勇者は、チート的なパワーアップをする
「ホジョハレ」の世界観、戦闘システムについて話そう。
この世界は、力あるものは基本、「魔素」というものの元に動いている。
まぁ、ファンタジーものではよくある設定だ。
当然魔物も魔素で出来ている。
スキルと魔法を使うには、魔素もまた必要とする。
倒される魔物の魔素は、一部自然に戻る。
そしてもう一部はそのまま魔物を倒された者の元に流れる。経験値ともいえる。
最後の魔素は、ドロップアイテムの形で残される。
魔素は経験値代わりになれるということはつまり、魔素の量は、その者の実力に直結する。
魔素で出来ている魔物は人の社会にとって、脅威。
脅威を倒せることで、人は強くなる。
魔素の奪い合いの無限ループだ。
バランスは魔の側に傾くと、魔王が降臨し、戦争と破滅が伴う。
人の側に傾くと、比較的に平和になる。
しかし魔素のバランスをずっと人側に維持するのは、決して容易ではない。
そのために、魔物災害は、おおむね三種の解決法がある。一、軍は動く。
二、貴族の財と力で、領内の魔物を抑える。
最後は、冒険者ギルド。
当然最大の出力は、冒険者ギルド。
その冒険者ギルドは、一つ革命的な発明がある。
「ジュエル」。
人間の魔素の量を測れる、小さな宝石。
その宝石をつけると、その人の魔素の強さを黒紫藍緑銀金の色に分かれ、色の明るさでその強さを示している。
そのジュエルのお陰で、冒険者はランク付けされ。適所適格な仕事を貰える。
さらに、ギルドにはドロップアイテムを魔素に変える巨大な術師団とシステムが運営しており。
冒険者から買取したアイテムを莫大な量の魔素を変わり、保有して、または冒険者に返済する。
つまり、冒険者は魔物を倒して、ギルドから貰えるのは、ただ任務報酬とアイテム買取の金銭だけではなく、経験値代わりの魔素も貰える。
それは「ホジョハレ」の世界だ。
もちろん、ジュエルの色はそのままの強さに関係することはない。
そうだとしたら、一緒に同じチームにいた冒険者はみんな同じ強さになる。
ステータス、それを測ることは出来ないが、ステータス自体は絶対ある。
hpにmpはもちろん認知されており、腕力と知力などのステータスもあるはず。
魔素の色の改変に伴い、力が強くなる。
しかし同じ色の者では、ステータスは全く違う。
「あいつの身体能力は、A級冒険者の中でも随一。」でおなじみの僕ラインハルトは、同じレベルの冒険者よりステータスは高い。
成長性は人によって違う証拠です。
そしてステータスだけでなく、武器や防具もかなり重要。
けど一番重要なのは、スキルだ。
スキルは生まれつきの奴と、習得出来る奴がある。
僕の「略奪」と、ニールのチート三スキルは、生まれつきのスキルだ。
「シールド」や「ファイアボール」などにスキルと魔法は、一定の努力ならで誰でも習得する可能性はある。
ニールの生まれつきのスキルの強さは、ステータス成長性最強の類である僕を簡単に越える。
要は才能の世界だ。
「ホジョハレ」では、ラインハルトの勇者パーティーは、出だしからジュエルの色は全員緑。
すなわちA級冒険者と判定される。
もちろんニールとハーレム一味は物語の最後、全員金色のSS級冒険者になった。
ニールに至っては、魔王との一騎討ちで勝った後、史上初の白金色になった。
その彼らの驚異的な成り上がりの理由は、効率的な魔物狩りと、大量なボス倒したと、もう一つ重要な手段がある。
聖剣「ハク」を手に入れた僕は、その手段で魔素を手に入れた。
使わない訳がない。
六人のパーティーメンバーは揃ってないが、とりあえずニールとエリザベータを読んだ。
「というわけで、久しぶりに三人で集まりました。パチパチパチ。」
「エリザベータお嬢様、おおはようございます!」
ニールは緊張気味でリズに挨拶。
「よくってよ。ニール、あなたもご機嫌よう。」
リズはドヤ顔で、「どう?うまく出来たんだろ?」と言わんばかりの顔で僕を見る。
僕とリズの初対面は7歳の頃。
恥ずかしいが、僕に一目惚れで、言うこと全部聞いてくれる。
ちょうど当時、ニール達に厳しい態度で接する僕の影響で、リズも見よう見まねで、同い年のニールとヘレンを見下ろした。
だからニールはリズがちょっと苦手。
僕の異変で、だいぶ治ったと思う。
まぁ、今の会話、若干リズが上から目線だけど。お嬢様だから、これぐらいはいいだろう。
「ライニの言う通り、良い子にしていたわよ。」
そして褒めて褒めての表情。
「ホジョハレ」のエリザベータよりよっぽど可愛い。
「かわ、いや。偉いぞ、リズ。」
「お父様ったら、わたくしは大人になりましたっとおしゃいましたわ。」
「そうなんだ。」
伯爵様はそうおっしゃるなら、多分「ホジョハレ」のエリザベータの悪い性格は、親の教育の原因ではない。
ラインハルトが悪かった。
「今後ライニと遊びになる時は、護衛のみなさんはついてこれなくて良いと仰いましたよ。」
「そっか、僕のこと、信じてくれてありがとう。」
ん?
なんか違うぞ。
「ちなみに普段、伯爵領内でリズに護衛が付いたか?」
「そう言いますと、クロスナイト領でしか護衛のみなさんが付いて来ないですけど。」
「そ、そっか…」
別領内では、危険?
それとも僕、伯爵に信用されてない?
ラインハルトと一緒が心配だから、護衛を?
まぁ、確かに「ホジョハレ」では、ラインハルトはエリザベータを守るどころが、何度も彼女を傷付き、最後彼女を死なせた。
伯爵は、人を見る目利きは最もだ。
でもなんだろう、リズが良い子にしてたぐらいで、ここまで僕を信用するか?
それとも勇者だから信頼しているか?
もしそうでしたら、僕は原作のままのラインハルトだったら、悲劇が起こるところだった。
まぁいいっか、今の僕はとても無害。
そして護衛がないなら、好都合。
今やることは、内密にしている方がいいだから。
「今から冒険に行くんだ。リズ、ニール、いいですね?」
「冒険?!よっしゃ来た!」
「構いませんわ。そろそろわたくしの「鮫竜の法杖」も、初陣を焦がれて仕方ありませんわ。」
さすがは10歳のジャリ。
冒険の二文字に目が無い。
ニールは原作ではもっと落ち着いたていうか、テンションが普通の奴だった。
にしても鮫竜の法杖、リズがずっと愛用した武器。
まさか10歳の時から魔法袋の中にいたとは思わなかった。
「ところでライニ、あなた二本の剣、お持ちになられるですね。」
「そ、そうだよ。聖剣だよ、勇者の導きで手に入れんだ。」
リズから名剣を貰ったばかりなのに、今度来る時すぐに他の剣を手に入れたなんて、ひょっとしてまずったか?
「勇者には聖剣、さすがわたくしの許婚ですこと。」
リズはとても素敵な笑顔で僕を見た。
良かった、大丈夫みたいだ。
「しかし、わたくしにはこの鮫竜の法杖、ライニには聖剣。ニールくんだけは、何一つ武器もなくて、どういたしますの?」
あ、あれ?
よく見たら、リズの目は、笑ってない。
「ニール、一旦聖剣を預ける。」
ここは正解を選ぶ。
たとえ聖剣がどれだけ名剣に優れても、命取りの選択肢は間違いたくない。
ここは、プレゼントの名剣を選ぶ。
「えっ?いいの?」
困惑した顔のニールは、物欲しそうな目は誤魔化せない。
まぁ、もともとお前のやつだけど。
「勇者の導きで手に入れた聖剣は、そうやすやすと他人に預けることなの?」
え?
これも間違った?
「では、この「ビロー」を。」
無言であるリズの目は殺気が出た。
なるほど、正解を選んだら怒る、不正解だったら殺すね。
「やはり聖剣を。」
「勇者の導きで手に入れた聖剣は、そうやすやすと他人に預けることなの?」
全く同じセリフ。
無限ループって怖くない?
「あの〜、えっと。」
何遠慮してるんだよ、ニール。
さっさと聖剣を受け取れ!
ほしがってるだろう!
「いいです。ニールは、信頼出来る仲間だから。武器が揃う前に、聖剣は戦闘中ニールに預ける。」
一方に動かないニールの代わりに、僕が無理やり締めゼリフを。
にしてもニールのやつ、クズだったラインハルトを何回も助かったと言うのに、ここでは初回目俺のピンチを助けないで、見殺しするとは。
見損なったぞ!
「ああ、わかった。」
「良かったね。素敵な友情を見させて貰いましたわ。」
リズは手の平を合わせながら、僕とニールに素敵且つ友好的なスマイルを披露。
怖い。
「おお、この聖剣すげえ!俺の秘めた力が分かれるようになった!」
聖剣を手に入れたニールは、中々痛々しいセリフを発したが、あながち間違いではない。
この聖剣「ハク」の機能の一部は、己自身の力を理解出来る。
「でもなんか難しいだな、頭痛いよ。」
「急いでないで、だんだん自分に混じればいいよ。きっと強力なスキルだから。」
「そ、そうか!」
「まぁ、ライニのには負けるけどね。何せライニは勇者ですから。」
「ははは〜」
負ける訳ないよ。
あいつは最強だよ。
この聖剣を貰ったから、ついでにリズも自分のスキルを知らせるもいいが、彼女の場合、スキルは魔法のダメージを常に1.2倍という地味強いスキルだった。
ラインハルト同様、魔素の鍛錬が重ねると強くなるタイプ。
こうして、冒険が始まった。
ニールとリズはずっと武器を構えている。
そういえばニールは補助魔法を使う魔法使いだった。
3話限りですが、その後ニールはほぼ剣士。
今回はあらかじめ剣を装備させたので、補助魔法使いの歴史は無くなった。
「ここでいいか、ニール、剣貸して。」
「はい、でも、敵ないよ。」
敵はない、すでにここら辺の敵を排除していた。
何せ外だし、迷宮ではない。
クロスナイト家は武力を誇る一族だから、魔物退治は怠りない。
外で魔物はそうそう出ない。
「聖剣よ、風穴の位置を教えてくれ。」
「おお!」
「聖剣が、光り始めているわ!」
これこそ「ホジョハレ」、ニール達の経験値稼ぎの最大のチート技、「風穴探し」。
聖剣「ハク」の能力の一つ。
風穴とは、魔素の溜まり場のこと。
迷宮は余る魔素を風穴に溜まる。
迷宮が魔素足りない時、風穴の魔素を迷宮貰う。
迷宮の魔素は余る時、風穴に溜まる。
今の平和の時代では、冒険者と貴族はきちんと迷宮を定期的に潜るから、大体迷宮の風穴は一個しかない。
でもどれだけ退治しても、風穴は最低一個は残る。
一個の風穴の魔素は、毎日その迷宮の最高層の魔物一匹の魔素の量が溜まる、そして風穴の魔素上限は一年分。
尚風穴は、魔物を倒す時同様、パーティーの全員に魔素を与える。
僕、リズ、ニール。
一気に365匹の魔物相当の量の魔素を獲得する。
普通のB級冒険者フルチーム、ざっと一ヶ月間の努力。
まさに働かざる者がっつり食べる。
「これ、風穴だよなぁ!」
「風穴は人為的探せるものではありませんと、お父様は言いましたよけど。神様の導きですか?」
いや、チートだ。
聖剣の機能を軽く説明する。
「これから毎年、ここを通いましょう。でも聖剣の秘密だから、絶対他言無用ですよ。」
「確かに。」
「そうですね、神様の導きは、勇者とその仲間でしか授けないことにする方がよろしい。」
「ではこれを。」
僕のポケットの中に、ジュエルを三つ持ち出した。
「どうぞ。」
「ありがとうよライニ、俺冒険者になる気分だよ。」
いちいちキャラがショボくなってるぞ、ニール。
「ライニから貰ったジュエル、大切にいたしますわ。」
リズはジュエルをハートの位置に当てた。
「では風穴を吸収するよ。」
「おお。」
「よくってよ。」
手で触れる。
それが風穴の魔素を吸収する方法。
とても簡単。
風穴を探せる確率は宝くじぐらいなものだけど。
「色が変わった!凄え!」
「黒から、紫色になりましたわ。」
「まぁ、ここは青、B級冒険者が活動する迷宮だから、紫色になるぐらいはするよ。」
この調子で、12歳に青、B級冒険者になったらいいと思うけど。
多分厳しい。
機会があったら、他の迷宮の風穴も探したい。
ジュエルの色は概ねの強さを判断することはできるが、別に強さはその7つの段階だけではない。
正確に言うと魔素を吸収する度に、強さはちょくちょく変わる。
だから別に色に拘る必要はない、ちょくちょく魔素を貯めればいい。
ラインハルトは12歳、冒険者学園に通う以前、多分ジュエルの色は黒だった。
入学前、ジュエルの色は紫、いや青に変わったら、運命もかなり変わるかもしれない。
ラインハルトとエリザベータ、高レベルでスキルを発揮するタイプなので。
少なくても、簡単にやれることはないだろう。
宝珠の力を発動。
「やはり。」
「どうしましたの?」
「いえ、なんでも。」
僕とリズの未来像は、殺されるが自体は変わらない。
しかし、以前よりその像は、かなりぼんやりとなっていた。
ビンゴだった。