44・船釣りと船釣りと
お仕事忙しくて気が付いたらこんな時期に
なんで更新してないのにポイントが増えているのか
「むぐむぐ、ねこさん、今日は釣り日和ってやつですかにゃー?むぐ」
「そんな感じですねぇ、飽きたら手伝いにでも行こうかと」
船の上、今日も今日とて釣りである。隣に釣り上げた小魚をフライにしていくヌカカメさんを添えて。
今日はサビキ釣りをしようと撒き餌を買い、先日と同じ船に乗り込み釣りを始めたらヌカカメさんがちょうどクエスト終わりで合流した次第だ。
ちなみに今日はお供え物はなかったので自分の勝利だ、床に何もなくて嬉しくなったのは初めてである。
釣れる魚はランクが低いアジ、フグ、スズメダイなどだ。どれも小さくフグに至っては毒持ちなのでアジ以外は逃がしている。多分小遣い稼ぎにもならないんだろうなと思いながらのリリースである、逃がした魚は高価だった……なんてことはないだろう。
そしてアジだけを残していたらヌカカメさんが調理器具を出してフライを作り始めて今に至るのだ。
「結構釣れるんだにゃー、これなら食べ放題」
「食べ過ぎじゃないですか?」
「ねこさんの分もあるにゃー」
渡されたのは木製の皿に小盛のフライ、思ったよりも釣っていたみたいだ。
1度竿をあげて釣りを中断。フライをつまむ、パン粉は使っていないのでどちらかと言えばフリッターとか天ぷらに近いかもしれない。違いがよくわからないけど今はフライとしておく。
軽く塩がしてあるだけだが香ばしくておいしい。内臓は取られているし二度揚げしてくれているのか小骨も気にならない。丁寧な仕事だ、美味しい。
「スナック感覚で手が出ちゃいますねこれ」
「釣りたてってのもあると思うにゃー、これこそ釣り人の特権ってやつだにゃ」
「確かに、これは特権ですね」
2人でちまちまフライをつまむ、これはお酒が欲しい感じだが今はない。せめて白いご飯……。
先日の醤油の話で日本食の食材は海を渡れれば見つかるのが定石とか聞いたなぁ。
海の向こう、この大陸……大陸だと思っている場所からおそらく東へと行けば見つかるのだろう。お祭りの後にどうにか船に乗せてもらえれば行けるのだろうか。多分一部の人は探しにいくのだろうし見つけるのだろうけど自分も探してみたい……かもしれない。
その時になったら聞いてみよう。
「さてと、自分はここでお暇するにゃー。ねこさんまたにゃー」
「おつかれさまです、フライありがとうございました」
「いいのいいの、お互い様にゃー」
手早く調理器具を片付けて手を振りながら船から飛び降りるヌカカメさん、身軽というか慣れているなぁ。ノールックで飛び降りは自分じゃ無理そうだ。
さて、今度は少し移動してルアーで釣ろう。具体的に言えば街の外へ。
釣り竿をしまって、船を降りる。もちろん着地地点は確認してから。
困ったときの桟橋の先、何か頼まれればそのままお手伝いをすればいいやくらいの気持ちでね。
街の中を歩いてみると祭りの準備は着々と進んでいるようで道行く人が運んでいるのは大きな木材から装飾用と思われる灯りや鳥の羽根とかの素材だ。
あとなんとなくプレイヤーの数も増えたような気がする、独特の熱気が心地よい。
すれ違う人から手を振られたり挨拶されたり、ねこさんと呼ばれるのには慣れたがどうも落ち着かないなぁ……。
これがレア種族ってやつの宿命なのだろう、種族も変えられるが変えるのはもったいないからしないが。
過度に干渉されないからまぁいいか、そのうち慣れるさ。
「いい釣りポイントってないですかね?」
「ん?釣りか……そのバンダナ。そうか、ならそこの船を使えばいい」
「これですか?」
「そうだ、乗り方はお前さんならわかるだろう。使い終わったら戻してくれればいい。」
「なるほど」
何もなく辿り着いた桟橋、差された指の先にはボート。よく池とかの観光客向けの大きさの手漕ぎの奴。
乗り込んでみれば現れるヘルプ、わかるだろうとはこういう事だったのか。
オールはそのままの使い方、鎖とアンカーは停めたい場所で海に沈めればいいらしい。あとは釣りをするだけと……。
とりあえずやってみればいいか。オールを手にいざ海へ、ちょっと怖いので街がしっかり見える位置で。
思ったよりもオールの推進力が大きい、何度か左右にバランスよくオールを漕ぐといい感じの速度で水面を進んでくれる。
波も穏やかであっという間に桟橋の人が小さくなってしまった、ここら辺を釣りポイントとする。
アンカーを沈めて立ち上がる、少し揺れるが多分大丈夫。
泳ぐことはできるし多分大丈夫。うん、大丈夫。
自分に言い聞かせながら後方を確認しつつルアーロッドを大きく振りかぶる、足場が不安定故か思ったよりも飛ばなかった。
しかしながらここは陸から離れた海上、いつもは届かない範囲なのだ。
秒数をカウントしながら適当に巻いていく。底がどこなのかは分からないからね。
「おっ」
ぐーっと竿がしなり引っ張られるこの前のタコに近い、多分タコだ。
・イカダイカ ランクC 鮮度1000(10時間後に0)
近海に生息する、悪魔の眷属とされる生物。悪魔に打ち勝つためにと広く食用として重宝される
イカでした。タコと同じような説明文、うっすらと透けるような白い体色と扁平状の体。なんか干物の状態っぽい平たさだがこれがイカダって事なんだろうか。
そもそもイカって専用のルアーで釣るんじゃないのか、掛かればいいのか。
とりあえず船上に打ち上げて目の間にナイフと入れる、スミを吐かれる前でよかった。イカスミは食材になるからね。
2投目、今度は海面近くを速めに引いてみる。
「ッシ!」
時々水面をバシャバシャとするくらいの引き方だが意外と掛かってくるものである。
大きな魚が掛かった時の引きだ、リールから糸が出されていく。船の上故に踏ん張りが思ったより効かないが竿を立て、魚の動きに合わせていなす。
大きいが動きは素直だ、しばらく右にいったら次は左。確実にリールを巻いて距離を詰めていく。
釣れたのは80cmほどのスズキ、お久しぶりですね。
処理をしておこうかと思ったが船の上で暴れられると困るので一旦そのままに、帰ってからどうにかしよう。せっかく保冷カバンがある事だしね。
さて、どんどん釣ろう。目標は10匹、あと8匹。
「あ、そうだ」
物は試しだ、そのまま投げずに船の縁からルアーを落とす。そしてそのまま待つ、糸が緩んだらリールを巻き始める。
本当は専用の仕掛けを使わなきゃいけないのだろうけども、船釣りと言えばこんな釣りしているよねって。
上げて巻いて、下げて待って、上げて巻いて……うん。釣れない。
ゲームだし釣れないかなぁとか思ったけれど、そこまで都合のいい仕様ではなかったようだ。
再び普通にルアーを投げて引いていく、今度は少し沈めてから。
そしてイカが釣れる、その後もイカが釣れる。それはもう何匹……何杯もだ。
そう、合計9杯におよぶイカが釣れたのだった。釈然としない、釣れる事はいいのかもしれないがもっと色々釣りたかった……。
しかしながら10匹を目標にした手前帰り支度を始める。竿をしまってアンカーを引き上げる、海はまだまだ穏やかではあるが水平線の向こうにはいつの間にか雲が重なり始めていた。
なんとなく天気が崩れそうだ、そう感じて少し急いでオールを漕ぐ。釣りに夢中になって流されてしまったとなったら大変である。
急いでとは言ったが船は思ったように進むし焦る要素もない、速度も十分だし直ぐに桟橋へと戻ってくる事ができた。
無事に桟橋へと小舟をつけ、ロープでしっかりと固定。ちょうど居合わせた船乗りさんにお礼を言う事にした。
「船、ありがとうございました」
「おー、おつかれさん。少し荒れそうだったから呼ぼうと思っていたんだ」
「やっぱりあの雲はこっちくるんですね」
「祭りの季節からここらへんの海は荒れやすいからな」
「なるほど」
季節……そういえばスズキを食べた時は季節はない、もしくは固定されているみたいな話があった気が……。
ちょっと矛盾している気がするが、大規模って銘打ってるからもしかして終わったら何かあるかもしれないなぁ。
でもまぁ、実際に終わってみればわかる事だ、今からどうこうするような用事もないしこの事は忘れてしまおう。きっと大した情報ではないはずだ。そういう情報はきっと誰かが考察やら編纂やらをしてくれるものだ。
船乗りさんに別れを告げ、グルグルと考え込むのをやめて足を進める。とりあえずお金を稼ぐのだ、今の自分には情報よりも金がいるのだ。主に拾った宝石類でアクセサリーを作るための。
目標金額なぞ見積りしてもらってからだが。
とりあえず魚市場を目指す。イカばかりだが買い取ってくれるだろうか。
「全部で4000Gだね」
「思ったより安いんですね……」
「そりゃあんた、今まで色付けてもらっただけだよ」
「そんなもんですか……」
「今、このイカなんかは人気だからね。辛いスープやらに合うっていうんでね、だから少し色付けてやってんだよ」
「ありがとうございます」
先日と同じ女性に魚とイカを渡す、残念がっているのが顔に出ていたのか女性は後ろの方で煮込まれている大鍋を指さしながら説明をしてくれた。なんだかんだ優しい、ぶっきらぼうだけれども。
漂う匂いからしてブイヤベース……は辛くないんだっけか、ペスカトーレ……はパスタか。まぁなんとなくトマトベースのスープなのだろうがとても美味しそうだ。
でも困った、思ったより稼げていない。これは少し頑張らないといけないのではないだろうか。
とりあえず代金を受け取って今度は街の入り口を目指していく。
金策、具体的に言えば釣りか、探検に出るとかで売れるアイテムを探さねば。
でも天気は下り坂、釣りをするなら船ですこし沖に出たい。
つまりは……。
「探索だ」
プランは簡単、この街に来る前に立ち寄ったセーフエリアを仮拠点にして動き回る作戦である。
そして現在街の入り口、見張りの船乗りさんに挨拶をしておく。
「いざ出発」
「気をつけてなー」
「いってきます、そういえばこの辺りで珍しい収集物ってあります?」
「お?そうだな……めずらしくはないが果物は船乗りなら喜ぶな。俺とか」
「なるほど」
茶化すように笑う船乗りさんに手を振りながら砂浜を行く。
とりあえず果物を探してみよう。
はんだ
種族:ケットシー 職業:魔術師 Lv.12
装備
武器:なし
頭:森人の角笠+3
胴:渡者の服+2
腰:なし
腕:獣革の戦籠手+5
足:精霊の輪
他:快速の腕輪・アイテムポーチ(冷)・鉄の短刀+7
スキル
<体術 12><釣り 8><魔力操作 on><発見 8><採取+ 5>
<投擲 10><魔力効率+><棒術 2><格闘 3><追撃 5>