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32・練習とソロボス

ストックは少ないのであと2回ほど更新したらまた止まる予定


 「ナイフ・シュート」


 駆け出しながら投げる様に打ち出された3本のナイフはキノコの眉間と思しき部分に吸い込まれる。そのまま2匹目のキノコに近づいてアーツを叩き込む。遠慮なしに地面に叩きつけるように、マスコットみたいな頭身と動きとか関係ない。


 そのままバーストで離脱しながら3体目にむけてナイフを射出する。もはや慣れた動きになった離脱中の射出の精度は相手が動かなければ9割は確実だろう。


 レベルと装備が充実したためこの一連の動きで3匹のキノコならば難なく攻略できるようになった。

 そしてこのナイフ牽制から接近、離脱、離脱しながらのナイフという一連の動きもかなり滑らかにできるようになった。

 現在9階層、翌日のレイドへ向けて着々とアーツの練習中である。 

 5階層からのスタートであるが順調にアーツへの慣れも進んで牽制、始動、離脱など投げられそうになったら投げるという動きの合間に行う攻撃手段の確立に成功した。ダメージは加速する。

 

 近距離ならば素手、距離が離れればナイフと今までの斧以上に使い勝手の良い攻撃手段だ。


 威力も申し分ないしむしろこれだけでもキノコ相手ならば十分に戦えてしまう。なんせ木にぐっさりと刺さるほどだ、自分で刺すよりも多分強い。これは強い。


 さくっと最後のグループも殲滅し、いよいよ10階層。つまりあのゴーレムだ。

 ソロでなんてちょっと緊張するがまぁ練習練習、負けたら釣りでもしていればいいだろう。平常心だ。


 「よし」


 軽くジャンプしたりして緊張をほぐす、実際にほぐれているかは分からないがまぁポーズだけでも。


 ポータルに触れ、10階層へ。広い浮島、決戦のバトルフィールドだ。

 HP、MP共に満タン。回復ポーションも十分、装備の耐久も問題なし。


 今回は出し惜しみというか勿体つけずに碧霊の牙を使う、複製すれば耐久なんて関係ないがなんか勿体ないのだ。

 やはり変身を残すとかではないがそういうアレだ。


 ――特殊戦闘エリアへ侵入しました、戦闘が終了するまでエリア外へは出る事ができません

 

 アナウンスと共に鉄くずがゴーレムを形作る、2度目になるがこういう演出は何度見てもいいね。


 感動もそこそこにまずはナイフを2本、走りながら狙いやすい胴体中央をめがけてナイフを射出。

 命中しゴーレムが動き出す、走るこちらへ向けて腕を振り下ろそうとするのを見て回避の準備をする。

 速度を落としタイミングを合わせ大きく飛び込むように斜め前へ、後ろから聞こえる音を気にする暇もなく前転。そのまま止まることなくゴーレムの足元を目指して走る。


 ゴーレムの動きは重鈍だ、こちらへ攻撃してからしばらくの間は無防備と言ってもいい。

 前回教えてもらった通りに足の関節に向けてアーツを叩き込む。


 ダウンまでは焦らずにゴーレムがこちらへ軸を合わせ来たら足元を回る、振り下ろされる腕も振り回される腕も根元ならばそこまで脅威ではない。

 しかし、今回は足に踏みつぶされない様に動き回り、足を上げたらもう片方の足へ近づきアーツを叩き込む。


 嫌がらせのような立ち回りだがソロ故に仕方なし、むしろ正面から殴り合いなど言語道断だ。勝てばよかろうなのだ。


 3度目のアーツで大きく体勢を崩したゴーレム、押しつぶされない様に離脱し露出したコアに向けて走り出す。

 1、2、3と脳内でカウントを重ねながらコアへ攻撃を重ねる。巻き込む心配もなく全力で我武者羅にアーツを叩き込む、ちょっとこれはストレス発散というか楽しい。とても楽しい。


 15秒、大体だが離脱する。ついでにナイフも投げていく。MPは半分を切っているがまぁ大丈夫だろう、次のダウンでポーションを使おう……。


 組みなおされるゴーレムを後目に思い直してポーションを飲む、やっぱり今使おう。時間あるし。

 組みなおされた大盾と鎚の腕を振るうゴーレム。正直に言うがこれどう近づこうか迷う。


 取りあえず無難にナイフで牽制しながら振り下ろしがくるのを待つ作戦にしようとナイフを射出していくが、コア目掛けて射出したナイフは全て盾に防がれてしまう。反応速度はかなり早い、防御時だけはかなり素早いようだ。

 しかしながら同時に気が付いてしまった、なんとなくだがこいつ防御している時は鎚をあまり動かさないな?


 そう、どこで聞いたか『固め』って奴だったかなんだか。短いスパンでナイフを射出しながら小走で近づいてみるが、鎚は振り下ろされるものの狙いが外れていたり速度も無かったりで初動よりも楽に足元へと潜り込めた。


 そうなれば後は盾と足に気を付けながらアーツを関節に叩き込むだけだ。

 積極的に攻めればすぐに2度目のダウン、露出したコアにはヒビが入り見るからにあと少しって感じだ。


 カウントをしながらも手は休めずにギリギリまで攻撃を続ける。


 「バースト」


 両手の爪を喰い込ませるようにがっちりとコアを掴んでアーツを発動させる、この前のトレントの様にこれが1番強いんじゃないかなって思っている。だから使う、1回目は出し惜しみしてたけど……。


 ガラスの砕ける音と共に空中に吹き飛ばされる、勢いに任せ後方宙返り。着地も手足でしっかりと取れた。

 結構これは楽しいのではないか?この吹き飛ばされてから着地までの視界と身体にかかるGというかそんなのが楽しい。ダイナミックなアクションはクセになるな。


 崩れ落ちるゴーレムを見ながらHPの確認、半分切ってない。上々の結果だ。

 

 ――。


 完全に勝ったつもりでいた所に響く金属が軋む低音。びっくりして距離を取る。

 ガラガラと音を立ててゴーレムが立ち上がる、身体を造る鉄くずがどんどん剥がれ2まわりほど小さなゴーレムが出来上がった。

 背丈は自分と同じくらい、シルエットはちゃんと人型で鉄板で覆われた胸のコアの怪しい光が隙間から漏れている。


 構える、相手は剣だけだが大抵こういう形態変化はスピードが上がると相場が決まっている。

 そしてこちらが構えた瞬間、ゴーレムが走り出す。

  

 予想よりも遅い上にぎこちない動き、オオカミと同じくらいのスピード。上段に振り上げた剣を飛び込む様に振り下ろしてくる。

 防御を展開した腕で叩くイメージで腕を振りながらも大きく体をずらす。振った腕には当たらずそのまま盆踊りめいた回避になったが気にしない。


 「バースト」 


 スキができたゴーレムに両手で突き飛ばすようにアーツを打ち込む、HPが減ってしまうが許容範囲だ。 

 相手が起き上がる前にポーションを飲む。7割まで回復していくのを確認して起き上がったゴーレムと対峙する。

 

 「ナイフ・シュート」


 今度はこちらからの攻勢、ナイフで牽制しながら距離を詰める。ゴーレムはコアを守る様に腕を交差させる、これが剣で弾いてきてたらカッコ良かったけれどこの様子だと精密な動きは出来ない様だ。

 十分に近づけたら一応肩を狙ってアーツを打ち込む。よろけて後退するゴーレムに向かって追撃する、今度は胸のコア目掛けてだ。


 鉄板が張り付いているが1発目で剥がれ、むき出しになったコアに2発3発と容赦なく攻撃を仕掛けていく。

 4発目でコアが砕け、光になって消えていく。勝利である。


 今度こそと長く息を吐く、なんというか……。


 「疲れた」


 戦闘は楽しいが疲れる。新しい知見を得たが関心はすぐに宝箱へ移る。

 やはりこの報酬があるというのはなんと甘美なシステムであろうか。ゲームがやめられない核心部分の1つではなかろうか、そうなのであろう。


 ボーナスアイテムこそないが大きな鉄くずの宝箱をワクワクしながら開ける。

 内容はCランク魔石3個、鉄くず装備4つ。そしてなんと雷属性の剣が1本。


 ・遠雷のショートソード ランクC 耐久値(10000)

 雷属性ダメージ追加(小)


 使わないがなんか属性武器ってあんまり見ないから嬉しい、使ってみたいが剣のスキルを取るのはどうだろうか。

 魔法剣士……いいけどこのアバターに似合うか……、そもそも剣スキル取るとどうなるんだ……?

  

 取返しが付かないと困るし保留にしておこう。困ったときの他人頼み。売却次いでにフトンさんにでも聞いてみよう。


 明日はいよいよ決戦だ。ワクワクである。





 あ、でもここで少し釣りしてからログアウトしよう。





はんだ


種族:ケットシー 職業:魔術師 Lv.10

 装備-武器:なし 

 頭:森人の角笠+3

 胴:渡者の服+2

 腰:なし

 腕:獣革の戦籠手+5

 足:精霊の輪

 他:快速の腕輪・アイテムポーチ(冷)・鉄の短刀+7


スキル

 <体術 10><釣り 6><魔力操作 on><発見 5><採取+ 3>

 <投擲 6><魔力効率+>

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