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29・脇道は秘境

ストックができたと思ったら文字数が少なくてあーだこーだしていると桜が咲いていた


 「せーのっ」


 擬態したトレント目掛けて斧を天高く放り投げる、着弾を確かめずに2、3本目と今度は根元を直線的に狙って構える。

 放物線を描いて1本目落ちてくる、ヒットした瞬間に合わせて2、3本目を直撃させる。隣にいた2体目のトレントも動き始めるが十分に距離があるため無視して1体目を集中的に狙っていく。


 距離が詰まると流石にきつい、その前に大きく回り込む様に動いてトレントをなるべく縦列に並べる。

 実験というか挑戦、カウンターというか根からの攻撃を小さく避けてマジックショットを叩き込む。保険で腕に魔力防御もかけて受け流すというか横から叩く様にしての受け流しと言うには些か中途半端だが攻撃する余裕がかなりできた。

 ふわふわっとした考えだが以外と形になった、直線的な突きなどの攻撃にはこの動きが使えそうだ。槍を使う人型モンスター相手にも使えそうだ。


 接近戦でも戦える確信を得られた事に満足しつつ3度目の回避に合わせてトレントへとステップし本体へとマジックショットを掌底で叩き込む、完全に触れている状態で発動するマジックショットは根を粉砕した物よりも派手な音をたててトレントの幹を粉砕した。

 もう片方の手を更に添えるようにして追撃する、トレントが倒れるのを確認するまえに飛びのき2体目へ斧を投げ始める。


 慣れてきたのか集中力のたまものか、手あたり次第というか狙いを十分に付けずに投げた斧は途切れる事なくトレントの幹や根に食い込んでいく。

 投げながら突撃、思いっきり振りかぶった斧をそのままトレントに振り下ろす。

 

 十分に投擲が入っていたお陰かトレントはそのまま倒れてくれた。うん、ちょっとリスキーだったけど楽しかったから良し。直接斧を叩き込んでも十分に火力がでそうだ。


 「さて、戦利品戦利品……」


 最初に前のフロアにおびき寄せた狼のドロップ品から調べていくことにする。


 獣の牙 ランクD

 鋭い肉食獣の牙、古くからアクセサリーや武器の一部に使われてきた


 獣の毛皮 ランクC

 毛並みの良い毛皮、強度も十分にあり外套や防具などに加工される


 結構大きい牙と毛皮と魔石のDランク、内容がいいのかはわからないが毛皮が早くも一枚。いいスタートだ。残りは2枚、一匹ずつならこの調子で倒せるはずだ。

 こんな事を言うと2匹出たりするのがセオリーだが今は1人だ、オンラインゲームのセオリーは1人だと集団戦になりにくい。もとい敵の総数が少なくなるというやつだ。


 そうこうしながら次のトレント達のドロップ品を調べる、内容は木材3つに皮が1つ。なかなか渋い。

 魔石も出たがDランク……。


 「もしかして、Bランクって貴重?」


 手のひらで魔石をもむ様に転がしながらふと疑問を口にしながら先へ向かおうと振り返る瞬間、進めるであろう方向とは別の方向に違和感を感じた。

 それは言葉で説明するには難しい違和感だ、周りに対して浮いている……とでもいえばいいのか。この違和感を強くすれば多分アニメで動く背景部分がセル画になっているのに近いのかもしれない。そんな感じだ、多分。


 その違和感のある部分に近づき触れた、グニャりと空間が歪み水面の様に波紋が広がる。慌てて手を戻し、今度はゆっくりと爪の先で触れる。

 水面の様に波打つ空間、何度か触れてゆっくりと手を進めていく。ダメージも無ければ感触もない、これはあれか……ワープホールというか異次元トンネル的な何かか?


 思い切って顔を突っ込んてみた、初めての水泳で水に慣れるために顔を突っ込む感じで。


 「お?おお?おー……?」


 景色がぐにゃりと歪むとそこは全く新鮮味のない緑、遺跡群だ。

 別段危険が無いように思い不用心にワープホール(仮)を通る。景色の感じは遺跡群の物だが袋小路というか行き止まりっぽい空間だ。


 大きな木の根元、湧き水のあふれる小さな泉に古びた宝箱。そしてこれ見よがしにキラキラ光る大岩。どれも見るかに何かありそうな感じで鎮座しており正にここは……。


 「秘境……?」


 レアアイテムが高確率で採取できるあれだ、運がいいと行けてゲーム終盤とかになると嬉しいような嬉しくないような事のあるあれだ。

 現在ゲームの序盤であり、つまりこの宝箱と大岩はレアアイテム入手のチャンス……。


 「一攫千金じゃないか」


 いきなりぶっ飛んだ物は出ないだろうが十二分に良いアイテムの予感だ。ワンランク上の汎用素材だったりレア素材だったり何にしてもこれはおいしい。

 ミスリルみたいなファンタジー金属でも出るのか……それとも宝石か。

 宝箱は何が入っているのか……武器、防具、装飾品……わくわくがとまらない。


 でもとりあえずツルハシ片手に大岩に立ち向かう、大岩はキラキラしているが何かめぼしい物が露出している訳ではないので適当に横スイングを思いっきり叩きつける。


 3回目の叩きつけでゴロっと塊が剥がれ落ちた、手に持ってみると大岩同様にキラキラとしている。金属とかの光というよりもなんか魔術アーツとかの不思議オーラみたいな光だ。ほんのり温かい……ような気がする。


 ・精霊鉄鉱 ランクC 

 森の魔力を纏う鉄鉱石、魔術と相性の良い鉄が作れる


 鉄鉱石らしいが何か特別なのだろう。その後も結局精霊鉄鉱が3つだけ採掘できただけでそれ以上は採掘できないとのウィンドウが出たので切り上げる事にする。


 鉱石は魔術と相性がいいとあるが普通の鉄とはどう違ってきたりするのだろうか。なにか魔術的なボーナスでも付くのだろうか。

 つまり……オフトンさんにでも聞いてみればいいかな、どうせ使わないし売るついでに聞いておこう。

 ゲームのアイテムってなんだか使わなくても仕様を知りたくなるしある程度なら教えてくれるはずだ。


 そして次はメインの宝箱だ、湖エリアとは違い蔦の這った色の地味な宝箱だ。周りの雰囲気に合わせた仕様なのだろう。ぎちぎちと錆びた蝶番を軋ませながら宝箱を開ける。


 ・劣化した精霊水 ランクF

 長い時間を経て本来の効力を失った魔精水


 魔精水……とは。

 合計4本のガラス瓶が宝箱の隅に並べてあった、埃こそ被ってないがどことなく古びた様子のガラス瓶はレトロでこちらの方が一種の価値がありそうな品物だ。


 ――ちょっと中身を捨ててみよう


 それはありきたりな発想、きっと度胸のある人は飲むのだろう。だが自分はしない、怖いから。

 ガラス製の栓を引き抜いて瓶をひっくり返す、何の変哲もない水が足元に染み込んでいく。


 ・古びた空き瓶 ランクD

 年代物のガラス瓶、液体を入れる事ができる


 ランクが上がった、アイテムとしての容器は中身が入ると中身がアイテムの本体になるようだ。

 なら他の液体を入れたらまた説明文が変わるのだろう。そしてそれが変性したら名前も変わると……。


 「この水入れてみるか……」


 それは今もとめどなく溢れる様に湧き出る泉の水だ、魚影が見えないのが少し残念。

 流れていく水は冷たく心地よい、なるべく不純物が少なさそうな場所でゆっくりと水を瓶の中へ流し込んでいく。


 入れられるだけ入れた瓶はなんだか……おいしそう……?日の光に透かして見ると森の緑がいい感じに透けて美味しそうなのだ。

 ちょっとCMとかで有りそうなミネラルウォーター感がある。


 ・森の精霊水 ランクC

 森の魔力が溶け出した魔精水


 うん、ミネラルウォーターじゃなかった。これあれだ、この水を汲むためのヒントだ。

 何に使うかは鉄鉱石と同じで聞く事にしよう。ランクも高めだしレアアイテムっぽいからそこそこ高く売れるだろう。ちょっと期待してしまう。


 そこそこいい値段が付けば装備更新で素材の代わりにお金で代用する事ができるかもしれないのだ。

 まぁ極力したくはないがドロップ運に見放されたら躊躇いなく使う事にしよう、なんてったってゲームには恐ろしい妖怪が出るのだ。


 汎用素材なのになぜか集まりが悪くてレア素材が目的の2倍集まってしまった事もあれば最後のレア素材が中々出てこなくて特定の敵相手がとても上手くなった経験……今となってはイイオモイデですね……。


 なにはともあれ装備更新まで折り返し、どんどん進んでいこう。

 

 

はんだ


種族:ケットシー 職業:魔術師 Lv.7

 装備-武器:なし 

 頭:なし

 胴:冒険者のローブ+2

 腰:なし

 腕:獣革の戦籠手+5

 足:精霊の輪

 他:快速の腕輪・アイテムポーチ(冷)・種火の鉄手斧+5


スキル

 有効

 <体術 8><釣り 6><魔力操作 on><発見 4><採取+ 3>

 <投擲 5><魔力効率+>

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