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26・報酬と交換と鉄くず

月一を目標に

最近のマイブームはティラピアミルクティー


 ――10階層ボスを撃破しました、初回報酬がインベントリへ加わりました



 崩れたゴーレム残骸が消え、宝箱が現れた。

 アナウンスにあった初回報酬も気になるがまずは宝箱だろう。ブルーさんとノワールさんはもう宝箱の前に待機してる。

 待たせる理由もないのでさっさと移動する。


 「これが宝箱……」


 「でかいだろ?誰が開けても全員にランダムで配分されるから猫さん開けてみたらいいよ」


 「モモさん……では」


 一応、モモさんの方を見てみると頷いてくれたので開ける事にする。蓋を持ち上げると錆び付いた金属が擦れる音を立ててゆっくりと開く。

 光っているその中は何が入っているのかは目視では確認できない。眩しい。


 ――精霊の輪を手に入れました

 ――エンチャントマテリア・快速、器用を手に入れました

 ――30,000G手に入れました

 ――ボーナスイベントポイント500pt

     合計pt:1440pt


 アナウンスと共に光る球体が手の中に。そして出現したのは大きな金属のリングと魔石の様な石、あとお金とポイントだ。

 意外とポイントが溜まっているなぁ、帰ったら交換リストを見る事にしよう。

 

 でもそれよりリングが気になるので性能の確認をしておく。

 

 ・精霊の輪 ランクC 耐久5000

 防御ボーナス(中)、魔法防御ボーナス(中)

 魔法ダメージボーナス(小)


 精霊の輪、性能はかなり優秀だろう。何といっても今のどの装備よりもボーナスが多い。

 そして早速装備してみたところ、腕に着くものだと思っていたら足首についた。

 ちょうど装備してない部位だしこれはかなりの当たりだろうがなぜ足なのか。


 「おー、猫さん脚装備かぁ……?あれ、それ装飾品じゃないの?」


 「なんか足に着いたんですよ、ステータス見ても脚装備になってます」


 「精霊の輪ですよね?掲示板だとアクセサリ枠だったんですけどね」


 「種族……の差ですかね、腕輪も尻尾に付きましたし」


 「情報として売れますよ、多分」


 確か、焼きそば会の時にいた……ゴリラさんだったか。ゲームの情報を集めてるクランの人。そのクランに売れるという事だろうな。

 こういう些細な事でも一応は情報として売れるものかとも思うが、細かい情報ほど売れたりするのかもしれない……?

 それに意外と情報を売る事を収入源にしている人がいるのかも……研究者、いや探求者ってところかな。


 なんにせよ出来る事は無限大ってやつだ。


 そういえば、モモさんとの契約――のような約束もそのクランの人が仲介してくれるとか言ってたはず?

 用事が重なるのは僥倖だ、わざわざ紹介してもらったり云々の手間が省ける。これは良い。


 「ねぇ……これ……」


 「ん?」


 3人での会話で意識が向いていなかったが不意にモモさんが少し震えた声で此方を見ていた。

 その手には細身で片刃の短刀……刀身は青く透けておりどことなく幻想的&神秘的だ。


 ブルーさんもノワールさんも驚いた顔をしている、なんだろう……。

 なんか高価そうだしレアアイテム的な何かだろうか。


 「うわぁ、ここでレアドロとか……」


 「物欲センサーってあるんだね……」


 「どぼじで……」


 がっくりと手を着くモモさん、レアドロップとなると嬉しいだろうが彼女の場合はその運はここではない場所で使いたかっただろうに……。

 なんだか清々しいくらいの不憫さに同情してしまうついでに、ちょっと良い事を思いついた。

 たぶん良い案だ。


 「モモさん、それと大地の魔核交換しませんか?」


 「……え?いいんですか?」


 「それだと少し猫さんが損しますけどいいんですか?」


 「まぁ、ちょっと欲しいと思ったのでちょうどいいかなと」


 「本人がいいならこっちは口を出しませんが」


 「じゃあお願いします!」


 ちょうど装備品を更新したかったし、何よりサブウェポン的な物も欲しかった。素手がメインにする事は変わらないが使える手札というか攻撃手段はあるに越したことはないだろう。

 それにかっこいいしね。

 メニューからモモさんを指定してトレードを開始する。


 ――ランクA以上のアイテムをトレードしようとしています

   トレードしますか?


 所謂確認アナウンスに了承しトレードが進む、モモさんも手続きが済んだのか最終確認が表示される。


 ――トレード:大地の魔核⇔碧霊の牙

 ――――――トレードが完了しました


 碧霊の牙 ランクA 耐久10000

 属性攻撃:水 水属性攻撃ボーナス(中)

 

 シンプルな性能ではあるが見た目に違わない性能だ。

 属性攻撃はおそらく使う人のスキルに関係なく水属性の攻撃になるとかそういうあれだ、属性武器とか言われるやつ。

 そしてそれを自分でブーストかけちゃう能力とかこれは強い。多分強い。


 「あ、猫さんとモモ。スキル券もらっただろ?」


 「スキル券……?」


 「初回報酬ですか?」


 「そうそれ、出してみ」


 インベントリには『スキル/アーツ引き換えチケット』というアイテムが確かにあった。

 モモさんもあったようで手に持っている。


 「それ、レアスキルとか習得できるからはずれはないからな」


 「まぁ使えるかはまちまちっぽいけど、大体はいいものだよ」


 「なるほど……」


 手書きで書かれた『ひきかえけん』の文字がとても手作り感というか手抜き感を醸し出しているがこれもれっきとしたレアアイテム……なんだろう。

 ボーナスで貰えたものだし手に入れる事自体は簡単かな?


 こう、参加賞ってわけじゃないがある程度参加すれば貰えますよみたいな。


 「スキル欄圧迫するわけじゃないし今のところスキルポイント5以上のスキルが確定って話だから使って損はないぜ」


 「そもそも譲渡出来ないけどね」


 「なるほど」


 「へー」


 メニューウィンドウから使えるそうなのでポチポチと画面をタップして使う、なんか味気ない。

 いやどっかに持っていくのも面倒か、そもそもスキルを渡されるってなんだろうな。


 ――アーツ『複製魔術』を習得しました。


 なんだこれ。


 いやまぁ、アーツって事はスキルではなく魔術師の職業に付随するやつって事だろう。

 引換券にもスキル/アーツの文字があったし何もおかしくない。

 

 ・複製魔術 (魔術アーツ) 熟練度G

 MPを消費し所持している武器を一時的に複製する

 消費するMPに応じて耐久値が変化する 

 熟練度に応じて一度に複製できる数、大きさが増加する


 耐久値をMPで代用できるアーツと考えるのがいいのだろうか、でも魔術アーツって事は魔術師で近接武器……あぁ、ノワールさんとか魔術師でも近接武器も使える場合があるか。

 それなら使えるけどわざわざMPで代用する意味は薄いかなぁ。


 まぁ、珍しいアーツだろうしそのうち使い道を考えよう。


 「じゃあ帰りますか」


 「ですね」


 「はーい」


 「猫さんはこの後もう落ちちゃいますか?」


 「そうですね、区切りがいいので」


 「了解です」


 どんなスキルを獲得したかは聞かれず、また自分も聞くことなくポータルへ歩いていく。一種のプライバシーと言う事で聞かない、言わないというのは友人間でも大事なのだそうだ。

 どんどん話す人もいるが基本的に自分から話さない限りは聞かないのがいいらしい。

 最近のオンラインゲームに疎い自分にはありがたい知識だ。先日の件にも通ずるものがある、過度の干渉はしないが吉。覚えた。


 明日からまた一人だがちまちまやっていこう、聞いた話だとゲットしておきたいボーナスはこの10階ボスだけらしく。20階以降のボスはそれぞれ装備品のドロップだけとの情報があるそうだ。

 ならばここからは好き勝手にちまちま進める事にしよう。

 


 ●


 

 「それじゃあ」


 「猫さんまた一緒に冒険しましょうねー」


 「またー」


 「今日はありがとうございましたー」


 三人と別れてログアウト……するつもりだったがちょっと気になる事があるので再びポータルからダンジョンへと進む。

 行先は10階層、移動先はボスを倒した先の方のポータルだ。


 ボスは毎日4時に復活し、それまでは階層には宝箱の残骸しかない。

 そして復活したボスと戦うためにはその階層より浅い階層から攻略しなければならない。


 ボスドロップがおいしい故の措置であり、周回より先に進めという意図もあるらしい。

 今回はこの階層に用事があるのでボスのいた広間へ足を進める。


 残された鉄くずの宝箱、なんとなくこの鉄くずって回収できないかなぁとか思ったのが発端だ。

 まず手で引きはがせそうな部分を探して引っ張る。


 「ふぐぐぐぐ……」


 びくともしない、次はピッケル。縦に振り下ろせる部分がないので野球のバットのように真横にスイングする。

 ガンっと金属がぶつかる高音と火花、はじけ飛ぶ金属片。


 剣やら盾やらしか見当たらないのに取れたのは小さな金属片。

 そんな部品無かったじゃん、そう叫ぼうとする衝動を抑えて金属片を拾ってみる。


 魔鉄くず ランクC 耐久1

 ゴーレムの魔力を帯びた鉄くず

 ルアーとして使う事もできる


 ちょっとレアな鉄くずだった、そしてルアーだ。ボス部屋だしなんか釣れるかなって思ったがこれはもしかすると当たりなのではないだろうか。

 そして脳裏をよぎる可能性。


 ――ヌシ、いるんじゃないか


 始まりの街で釣ったあれだ、あれも現地でエサ探したし。

 ちょっと期待を多めに持って鉄くずを集める、耐久が1って事は使い切りだ。ちょっと数を持っておきたい。


 「ふふふふふ……」


 竿良し、糸良し、鉄くずルアー良し。とりあえず遠投して探る事にする。

 軽く引いて止めてを繰り返して探っていく、深さは気にせずとりあえず様子見だ。


 ――ルアーが壊れました


 引き上げたルアーが光の粒子になって消えていく、耐久値1はどうやら釣れる釣れないに関わらず消滅するという事らしい。

 手持ちは10個ほど、後ろに見える宝箱の大きさを考えるとほぼ消費しきれないほどだが。

 ゲーム故の回数制限があるだろう、採掘ポイントは大体5回採掘できる……そう考えてもかなりチャンスはあるな。


 ルアーを付け替えて投げる、まずはヒットする事を祈ろう。 






 






 

はんだ

種族:ケットシー 職業:魔術師 Lv.7

 装備-武器:なし 

 頭:なし

 胴:冒険者のローブ+2

 腰:なし

 腕:皮の手甲+1

 足:精霊の輪

 他:快速の腕輪・アイテムポーチ (冷)


スキル

 有効

 <体術 7><釣り 6><魔力操作 on><発見 3><採取+ 3>

 <投擲 4><魔力効率+>

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