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23・ダンジョン攻略とキラキラ

おもったより筆が進んだ


 ――第6階層への転移を開始します


 開けていく視界、遠くに見える山に足元には丈の短い草。湖に浮かぶいくつかの小島は桟橋で繋がっている。

 前日と同じ作りのダンジョンではあるがパッと見た感じ小島の配置が違うようにも見える、というかスタート地点の次の島に敵なんていなかった。


 なぜ敵かわかるかって言えば簡単、二足歩行する1mくらいのキノコが友好的な生物だとは思えないからです。あとダンジョンだし居るのは敵だろうなと。


 見た目はエリンギっぽいタイプのキノコ、傘が赤くてなんか胴と言えばいいのか……その部分に目のようなものが見える。

 気持ち悪い……とまではいかないが愛嬌のある見た目ではない。


 しかもそれが3体、踊っているようなくねくねした動きで宝箱の周りを回っている。正直もうちょっと可愛らしいデザインならいいのになぁ……。

 強くはなさそうだが大概キノコや植物系のモンスターは状態異常を振りまくのがメジャーだ、なるべく近距離に居続けるのは避けよう。


 脳内作戦会議が終わりまずは一発ぶちかますために駆け出す、相手もこちらに気がついたのか踊るのをやめこちらを向いてうごうごとその場で身動ぎのような動きをする。


 「せいっ」


 開幕のローキック、目的は相手のダウンだが思ったよりも重い。予想外ではあるが一応このまま予定通りに離脱を図る。

 マジックバーストを発動し、反動を逃すようにバックステップ。キノコを吹き飛ばしながら距離がとれる、ついでにダメージも狙えて一石二鳥。


 着地も決まってこちらへのダメージもない。完璧な離脱に内心誇らしく思いつつもまだ倒しきってないキノコを見る。


 アーツを直撃したと思われる最初の1体は光の粒子となって消滅し、残りの2体も倒れて足をジタバタしてもがいている。


 「状態異常はない……いやあるわ」


 ちょっと緊張が解けた瞬間ボフっと音を立ててキノコから黄色い煙が巻き起こる。範囲は広くはないがどう見ても吸ってはいけないタイプのやつだ、色的に麻痺あたりだろうかな。

 効果時間は短いのか煙はすぐに消えた、風属性の魔法とかあれば吹き飛ばせたりするのだろうか。ちょっと属性スキルも検討しておこう。


 「ふんっ」


 さて、ジタバタしている間に距離を詰めて顔面にアーツを叩き込む、なんとなく顔があると叩き込みたくなるよね?絶好のチャンスならやらねばならないよね。

 直ぐに2発、3発目を間髪入れずにぶち込みキノコは光の粒子になって消える。少しオーバーキルっぽいかもしれないけど複数だし確実に、そして迅速に倒しておきたい。


 最後の1体もそのままアーツを交えて殴って蹴る、1体だけだし最悪ガスを浴びても相打ちなら怖くない。



 ・キノコの菌床 ランクD 

 キノコ栽培に必要、何が生えてくるかは不明


 ・キノコの欠片 ランクD+ 鮮度100(60時間後に0)

 きのこ弟の身体の一部、焼いて食べるとおいしいらしい

 


 3体のキノコから入手できたのはこの2つと魔石が2つ、きのこ弟ってなんだよ。なんなんだよ……。

 アイテムの内容は分かりやすいしまぁキノコだし食べられるし栽培もできるのだろう。


 ただ、きのこ弟ってなんだよ。名前にするにしてもなんかあったのではないか、そのうち兄や妹とか出てくるのだろうか。

 なんか出てきそうだな……敵のマイナーチェンジ版って結構あるし、色と名前と行動すこしいじって出てくるんだろう……。



 とりあえず、吹っ飛ばして速攻を決めれば怖くない事がわかったのは大きな収穫としておこう。家族については考えない様にしよう。

 気を取り直して次の小島へ繋がる桟橋を進む、穏やかな水面とそこに映る遠景の山々が幻想的ではあるが今は先に進むことに専念する事にする。



 ●


 ――レベルが上昇しました、SPを2獲得しました

 ――イベントペナルティにより、スキルの取得は現在できません


 3回目のキノコ達との戦闘を終えてレベルアップを果たした、前回からかなり間が開いてしまったが戦闘をロクにしてこなかったのだからそうなるのだろう。

 そして2個目のアナウンス、スキルの数に制限かけているんだからまぁそうなるよな。でも一応スキルの一覧は見る事が出来たので良さそうな物を探すのもいいだろう、でもまずは先に進もうね。


 と言ってももう次の島にポータルが見えている、しかもその前に台座と宝箱付きだ。

 この階層自体は以前までの坑道より狭く感じるがその分敵が多い、そして宝箱が無かった。ここは最後に設置されるタイプと見ればいいのだろうか。

 5階刻みでテーマが変わるのならこれから暫くはこの浮島ダンジョンになる……と思う。もしかしたら次は森や墓場とかまた洞窟とかだとしても面白そうだ。


 ついでにポータルの前にこれ見よがしに置いてある宝箱も調べる、5階層までの物よりも宝箱っぽさが増してちゃんと鍵穴もある。なお鍵はかかっていないっぽい。


 ・吸魔のメイス+1 ランクC+ 耐久値800

 鉄製のメイス、重量があるがその分威力が高い

 攻撃時、自身のMPを回復する(小)


 片手で扱うメイスだ、武骨でシンプルな構造で先端のは立方体がただ付いていると言っていいほどにシンプルだ。清々しいほどにシンプルだ、嫌いじゃないわ!

 しかしながらこれも使う予定のない物だったりする、今更武器を使う事へのささやかなプライドと魔術師がメイスぶんぶんするのはちょっと好みじゃない。

 もっとこう、僧侶とか盾持って前衛するような武器……とでも言えばいいのか。まぁ、今のスタイルには合わないだろう。うん。


 でもちょっと気になるのは説明のMP回復だ、今の所普通に殴るだけでもある程度はMPが回復するがそれに上乗せできるとなるとこれはちょっと魅力的だ。

 MP枯渇は起こしていないながらも今後を考えるとこういった装備によるMPの確保は必要だろう。

 すぐに必要なわけではないがそのうちオフトンさんに相談でもしておこうか。


 アイテムをしまい、ポータルに触れる。ゆっくりと回っていた青い結晶がその速度を上げて半透明のウィンドウを展開させる。

 行先はもちろん次の階層だ、目標は10階。今日は時間もあるし頑張って進もう。


 視界が白み、明ける。見える景色は先ほどまでと同じ湖の浮島だ、ただ違う所がいくつかある。しかし、俺はそれ以上に目の前のそれに釘付けになっている。


 「金色のキノコってなんだよ」



 まぁ、木とか水晶の様な塊とか。目を引く物が何個かある、敵もいるしなにやら祭壇の様な物も見える。

 でも見てほしい、金色のキノコがスタートの次の島で普通のキノコに混じってグルグル歩いているのだ。異様なほどにきらきらして。これをスルーする事はできるだろうか、いやできない。


 これはあれか、レアモンスターとか言うやつだろうか。ちょっといいアイテム落としてくれたりお金多く落としたりはぐれてたりする奴だろうか。

 そしてつまりこれは戦闘中に逃げられるかもしれないという事だ、ならばやる事は1つ。


 相手の視認範囲はなんとなく浮島1個分くらいと先ほどまでの戦闘で見当はつけてある。浮島に踏み込んだ瞬間に相手はこちらに気が付く……はずだ。


 つまり桟橋はまだ安全地帯だ、準備をするのに持って来いだ。

 まずは軽く手足を振ってクラウチングスタートの構えをとる、先手をとるなら速度は重要だ。


 「3……2……1……」


 つま先から上半身へ、姿勢は低く前傾姿勢で駆けだす。両手にはマジックショットを展開し、走る勢いそのまま両手を突き出すようにキラキラキノコにぶち込む。


 「おるぅぁあ!」


 キノコたちはこちらに気が付いて臨戦態勢に入る時にはもう俺の両手はキラキラキノコを捕らえていた。派手な破裂音を響かせそのまま消えるキノコを横目に両手両足でブレーキをかけつつターンする。

 そして再び残りのキノコへ駆ける、2体に1発ずつアーツを当てバックステップをしながらマジックバーストを発動させる。


 前の階層で組み立てたキノコ相手のコンボってやつだ、やつらはマジックショットとマジックバースト1発ずつでほぼ倒せる事が分かった。

 時折当たり所とか個体によってHPにばらつきがあるためなのか生き残る奴もいるがそれでも素殴りでどうにかなる。


 所謂攻略パターンという物を確立できた、これは強い。雑魚戦で重要なのはパターン、間違いない。


 キラキラキノコというイレギュラーこそあったが、べらぼうに強いなんて事は某お花さんくらいだろうし。なんだか逃げられそうな気もしていたのでちゃちゃっと倒せたのは僥倖だ。


 「さーて、肝心のドロップはなんじゃらほい……」


 金色に光る粒子の山からアイテムを取り出す、手に感じる何かの感触がこうドキドキさせる。宝箱以上だ。


 ・大地の魔核 ランクA

 大地の力を宿した魔術の触媒になる希少素材、その用途は多岐に渡り

 古の魔術師は魔核を素材としモンスターを創造し、その姿を変化させたという


 それは丸く黄金色、金というよりも琥珀に近い印象だ。透き通っていて中には不思議な模様が見える。

 大きさは手のひらに収まる程度、投げやすい大きさとでも言えばいいのか……鷲掴みにして大きく振りかぶって……。


 「いや、投げないよ」


 Aランクなんて大それたアイテムだ、用途はともかくぞんざいには扱えない。

 まぁ用途がわからないアイテムだからまたシソさんやヌカカメさん周りに聞いてみないといけないかなぁ。


 手土産はまた貝でいいだろう、美味しかったしアイテムも手に入る。一石二鳥だ。


 「その為にはまず10階層だな」


 途中で帰るなんて選択肢はない、今回の目標だし道草はしない……!

 あと3階層だし、頑張って進めておきたい。なお、10階層に途中スタート用のポータルがない可能性は考えない。


 HPもポーションも余裕があるし、MPも同じだ。この調子ならなんとかなるはずだ。




はんだ


種族:ケットシー 職業:魔術師 Lv.5


  装備-武器:なし


   頭:なし


   胴:冒険者のローブ+2


   腰:なし


   腕:皮の手甲+1


   足:なし


   他:快速の腕輪・アイテムポーチ (冷)




スキル


 有効


 <体術 6><釣り 6><魔力操作 on><発見 3><採取+ 3>


 無効


 <投擲 4><魔力効率+ on>

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