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20・ダンジョンとポイントとツルハシと

ストックは増えない、時間は過ぎていく



 「おー定番の洞窟タイプかぁ」


 イベントダンジョン第一階層、其処は炭鉱と思しき洞窟だ。天井は高くジャンプしても問題は無く、広い吹き抜けには朽ちた木材とトロッコの物らしきレールが敷かれている。そして何故かついている壁のランタン。

レールの先は広い通路になっており安直に考えれば順路という事なのだろう。


 「そいでは早速、レッツゴーってね」


 明るい通路は計画的に作られているらしく、えらく真っ直ぐに続いている。なんだか罠っぽい物もないし採取できそうな物もない、始まったばかりのしかも一階層では高望みなのだろうが……。


 「分かれ道……」


 T字路、片方にはレールが続いておりもう片方にはない。先ほどのレール=順路と考えれば、向かうのは一つ。

 そう、寄り道である。一応目印として其処らへんに落ちている石を集めて来た道の方に線を作る、今はまだ必要性は無いが今後の為の練習と言うか習慣づけのような意味としてしておく。

 やらないと忘れるからね。


 意気揚々と進もうとして進行方向をよく見れば、行き止まりであることが肉眼でわかってしまった。分かってしまわれたのだ。

 とは言え確認しないと気が済まないというか、何かあったら良いなの精神で歩き進む。


 【採掘ポイント・つるはしが必要です】


 突き当たりには何やら壁とは色の違うゴツゴツとした岩肌が露出しており其処にメッセージウィンドウ、なるほど……つるはし……。


 持ってないじゃあないですか!

 採掘道具ってあったんですねとか、あるに決まってるじゃないですかとか頭の中を駆け抜けていく思考と共にこのやり切れないガッカリ感よ……。

 出鼻をくじかれてやる気が落ちていくのがわかります。というか洞窟の時点で気付けよとか後追いで流れて来ます。


 「じゃあ、この階層終わったら一旦帰ろう」


 定番というかこの手のダンジョンなら各階層に帰り専用のなにがしがあるはずだからそれをかうことにしよう。


 ちょっとだけ名残惜しくも来た道を戻りそのまま分かれ道の先へ向かう、曲がり角も曲がって歩いて1分ほどで大きな空洞まできた。

 見るからに閉まりそうな鉄格子に何かいそうな広いフロア。


 まぁ最初だし慎重になり過ぎてもしかたないとそのまま入る事にする、でも一応身構えておく。


 ガシャリと落ちる鉄格子に現れる小さな影、予想通りの展開に一旦息を吐いて呼吸を整える。

 現れた影は集まり骨の形を象っていき、人型に組み合わさっていく。


 スケルトン、又はガシャドクロ。和洋問わずアンデッドとしては定番のモンスターだ。

 一応スケルトンと呼ぶ事にしたそれは腕を何度か降るとどこからとも無くボロボロの剣を取り出し、カタカタと口を目一杯に開けて此方へ動き出した。どうやら戦闘開始らしい。


 動きの速さは自体は森で何度も戦ったマネキンと同じ程度、持っているものが幾らか物騒だがまぁ問題はないだろう。


「防御展開」


いつもの感覚でアーツを展開して迎撃する、理想の展開は防御で体勢を崩してからの攻撃だ。骨と言う事は関節を狙った方がいいのだろう、余裕があれば狙っていきたい。


 「ふんっ」


 大振りの縦切りを避けながら防御の張られた腕で払う様にいなす。ガシャリと剣が地面を抉る音を聞きながら狙うのは剣を持った方の肩。


 「マジックショット」

 

 掌底を叩き込むと乾いた音を立てて骨がはじけ飛ぶ、そのまま裏拳で骸骨の頭部を払う。もちろん防御アーツも忘れない。


 ゴリっと鈍い音と共に頭蓋骨が外れ転がっていく、なんとなく弾き飛ばしてしまったが一旦距離を取って様子を見る事にする。ちなみに飛ばした頭蓋骨の近くへと移動しておく。

 なんだか頭の無いガイコツ相手に慎重な気もするけど、ああい手合い(アンデッド)って弱点というかなんかコア的なサムシングを破壊しないといけない場合もあるし確認だけでもしておきたい。


 ――カタカタ 


 頭を探しているのか片腕がない骨があたりを動き始める、そして自分の足元に落ちている頭も動いている。これは頭が本体な感じかな。


 「マジックショット」


 足にアーツを纏わせて踏み抜く、動いていた胴体はピタリと動きを止め光の砂になって崩れていく。

 今度からは頭を破壊していくことにしよう、手っ取り早いしね。


 「さーてドロップ品はなにかなぁ」


 魔晶の塵 ランク:D 

 魔力の残滓、そのままでは何にも使えない



 うーん、魔石ですらない……という事かな?それともなんか加工専用のアイテムってだけかな、うんわかんね。

 生産しないからこれはそっち方面の方にでもまとめて売ってしまおう。


 アイテムも確認して、いつの間にか開いていた鉄格子から先へ行こうと立ち上がるとある物が目に付いた。


 「剣だ」

 

 それはあのスケルトンが持っていたさびてボロボロの剣である、てっきり砂になっている物だとばかり思っていたが違ったようだ。


 錆びた剣 ランクE 耐久値:50

 ボロボロの片手剣、使い物にはならない


 手に取るとアイテム化してしまった、なんとも言えないアイテムだが折角なので貰っていくとしよう。

 それにしてもあれだ、ここまでボロだといっそ鋳潰して作り直せばいいのではないだろうか。


 つまりもしやこれも一種の加工用アイテムなのではないだろうか。数を集めればそれなりの金額になるのではなかろうか。

 なんだか入手が特殊っぽいし、あれか。剣を手放させているといいのかな。


 「まぁ、やってれば集まるよね」


 何はともあれまずは帰ろう、最初なんてすぐに終わる物だと相場が決まっているのだ。

 もうドロップがない事を確認してから先を目指す。

 明るい坑道を歩いていけば色違いのポータル、少し小さくシンプルなデザインだ。


 ――階層踏破ボーナス30pt、敵撃破ボーナス10pt獲得

合計イベントポイント40pt


 ――次の階層へ進みますか? 進む/帰還する


 ポータルに触れるとウィンドウメッセージ、概要に出てたポイントか。これで買い物もできるんだっけか。

 40ptで何が買えるかは分からないがとりあえずツルハシがどの程度するのか見ておこう。

 つまり選択するのは帰還するである。


 景色が白くなり最初のあの村へと戻ってきた。プレイヤーの出店しかないがツルハシはあるのだろうか……。


 ――イベントポイント入手によりポータルショップ(イベント)が解放されました


 次々と現れるメッセージになんだかチュートリアルを思い出しつつポータルのメニューを開いてみる。

 そこには転送先のダンジョンとイベントショップの文字。


 ショップを選択すると簡素な目録が開く。


 「えーと、ポイントで買い物ができる感じで……え、回復薬が20pt……。」


 そのほかMPポーションが30pt、たいまつが20ptと比較的安価な物から1000pt越えの『ハンモック』なんかもある。ちょっと気になる。


 そしてその中に見つけたのはツルハシ、ちょうど40pt。これはもうそういう事なのだろう、そうなんだろう?

 迷うことなく購入ボタンを押すと目の前に光の粒が集まってツルハシが出来上がっていく、手を出せばふわりと落ちて手に収まる。ずしりとした重みを感じる。

 柄の長さは1mほど、刃?の部分は40cmほど、思ったより大きい。


 鉄のツルハシ ランクD 耐久値5000

 鉄製、まずは使って採掘に慣れよう レッツマイニングライフ


 中々いい物っぽい印象だがこれが回復薬2個分となると破格なのではないだろうか、それともイベント特売品……?あ、見たら価格が200ptになってる。これ初回だけ安いタイプのやつか。

 ちょっとだけ得したような気分になりつつメニューを操作する、これで採掘もできるし今度こそダンジョン攻略といこう。


 




ステータス変化なし

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