14・森とレベリング
ストックが出来上がらない、つらみ
11/13 スキル取得の描写を挿入
今日も今日とて森にいます、はんだです。
今回も農場脇の川を遡りながらぶらぶらしています、釣りもいいけど探検もしたくなるよねって気分です。
「あー悔しいけどおいしい」
ヴェラルベリー ランクD 鮮度100(50時間後に0)
小さいが味の濃い果物、ヴェラルディア地方に広く分布している
ジャムにして食される事が多く、家庭の味の1つ
ふと目に付いた赤い木の実、低木に鈴生りだったので寄り道をしてみたのがきっかけであった。
言ってしまえばキイチゴ、それも甘さ強め。酸味も程よくパクパク食べられるタイプの果物である。
20個ほど無心で食べ更に30個ほどをインベントリへ収納する。
腹ごしらえとしてはいい感じだろう、そして次はレベリングでもしてみようかなと思案する。
そろそろ装備品もほしいところではあるしその素材?お金?……まぁ装備に必要な物を集めようって魂胆です。この前まで魔石とかガンガン売ってましたけどね、あれ装備の強化で使うんですって。公式サイトで調べたら出てきましてね……。ね。
まぁなにより強くなればそれだけ行ける場所が増える、行ける場所が増えれば釣りができて楽しさ倍増ってわけですよ。あと戦闘も苦じゃないからね。
とりあえず周りに気を配りつつも小走り、時々止まって周りを確認する。この森だと基本的にこちらが見つけても敵からは未発見って状況が多い、つまり下手に動いても危険が少ないって訳である。
今後のエリアでは歩くのも気を付けなければいけないかもだが今はこれで良い、うん。その時に考えようね、隠密とかね。
それでまぁ、見つけては撃破。戦闘自体は相手の攻撃を誘ってから躱すなり受け流すなりしてからアーツで攻撃というテンプレート化してきた戦法で戦う。慣れてくればマネキンの攻撃も無傷で受け流せるようになりちょっと自信が付いてきました。
戦果は魔石のみだが、目的の1つなので万々歳。というかこれ以外のドロップを知らないというのもあるのだけどさ。
●
――ブフゥゥゥゥ
初めて聞いた声の主と対峙する、大きな体躯に大きな牙、そして鋭い眼光はしっかり俺に狙いを定め前足で地面を掻く。
体高80cmになろうかというの大猪を見つけ、喧嘩を売っている現在であります。不意打ちでも良かったかなって今になって思うけど、これも練習だと思えばね。
――っ!!
少し溜めるような動作の後に此方へ突進してくる、大抵こういうのは俺を追っかけてくるし地上では不利だろう。ならば逃げるのは上。
木が生い茂る森では逃げる場所なんていくらでもある。飛び込み前転の要領で大げさに突進を避けそのまま近くの木へと走り出す。
相手も通り過ぎてから止まってこちらへ振り返えり再び突進を仕掛けてくる。
横目に確認しつつも木へと急ぐ。
かなりの制動距離というか止まるまで時間があったおかげで木に登るのは間に合いそうである。
「ふんっ」
ジャンプの勢いを殺さない様に爪を立て木をよじ登る、樹皮に傷こそつけど難なく2mほどのところまで登り切る。意外と登れるものである、ちょっと感激。
その少し後に聞えるドドドという走り去る音、木の下を猪が通り過ぎたのだ。
――?
猪はこちらを見失ってくれたのか減速し登った木の少し離れた場所で止まった。顔を振り辺りをしきりに周りを見回しているようにみえる。チャンスだ。
距離的には3mほど、跳んだら届くだろうか。いや……届くね!
「マジックショット!」
枝を蹴り猪向けて跳躍、音に反応して猪がこちらを振り向くが時すでに遅し。
眉間のあたりを鷲掴むように掌底を叩き込む、お馴染みの破裂音とともに光の粉に変わっていく猪。
――レベルが上昇しました
――アーツ取得『マジックウィップ』
パッシブアーツ取得『リバック』
獣の牙 ランクE 細工重量3
獣型魔獣の牙、硬く鋭いため様々な用途に利用される
アナウンスを聞き流しながらドロップを漁る、ちょっと見知らぬ単語もあったけど今は無視。
ドロップとして出てきたのは20cmあるかなって位の牙、説明から察するに牙は『獣の』とついているからオオカミなど他の敵でも一緒なのだろう。あとあれ魔獣なんだね、オオカミもそうなのだろうね。初耳だよ。
まぁでも素材っぽいし取っておこう、初めての魔石以外の素材だしね。穴でも開けてお守りとかにしてもいいかも……。
それよりもアーツとかの確認だ、先ほどの木に登って確認してみる事にする。
・マジックウィップ 熟練度E
魔力の鞭を出現させ相手へ攻撃、拘束することができる
・リバック 熟練度E パッシブアーツ
武器攻撃、アーツの命中時に一定MPを回復する
普通のアーツは、うん。射程がちょっと不安過ぎるし拘束って言ってもゼロ距離になりそうだよね。うん。
それよりもパッシブって事は常時発動なアーツの方だ、純粋に攻撃当ててれば燃費がいいって事である。これは強い。
一瞬魔力効率が要らない子になりそうとか思ったけど頭を振って忘れることにした、そうだよあいつは必要のやつだよ。
一応マジックウィップとやらの試し打ちもしたいが、それは後にしてレベリングを進めよう。
日の高さを見ると時間の余裕はありそうだが現実時間も確認してみると思ったよりも時間の猶予は少ないようだ。
フィールドマップで確認すれば街の方が近いので帰りながら戦う事にしよう。
「そうとなれば行動開始」
先ほど確認した街の方角へ向かって歩き出す。あ、その前にスキル取得しておこうね。
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肥沃な土 ランクD+
栄養豊富な土、作物が良く育ち品質も上がる
獣の牙 ランクE 細工重量3
なにかの種 ランクE+
なんの植物の種かは不明、地面に植えて育てないとわからない
そこそこの数の敵を倒してやってきた農場、とてもピンポイントなアイテムも手に入りましたよ。
土は泥人形のドロップ、種はマネキンからのドロップである。ちょっと珍しいドロップなのかもしれない。
「それで、これは引き取ってもらえるのですかね?」
「土と種は大歓迎だよ、2つで1500Gだね。種は育ってから収穫物を渡すこともできるが」
「あー、それも買い取りでおねがいします」
「はい、わかりました。じゃあ5日ほどしたらまた来てくださいね」
以外と高く売れたドロップのちょっとほっこり、収穫物も買い取ってもらえれば少しは収入になるだろうし種を狙うのは……ちょっと不確実だね。うん。
それに売ってないけど魔石も10個以上手に入った、装備の強化にどれほど使うかは知らないけどおつりが出てくれると嬉しい。
さて、今日はそろそろログアウトすることにしようか。一応邪魔にならない場所に移動してメニューを操作する。
――メッセージを受信しました
目を閉じて意識が現実に戻る瞬間に響くアナウンス音、ああ……とてもタイミングが悪くはないですかねぇ……。




