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10・森の中で戦闘

絶望的執筆速度


 農場付近から川に沿って森を進む、簡単だろうと思ったけど以外と足場が悪かった。というか農場へとつながるゲートを使えば早く来れたのではと気が付いたがそれはそれ。


 川べりは岩が多く、流れてきたであろう木で歩けるところは多いが足場が悪い状況である。しかし磯での釣りや壁登りなど遊んでいたお陰なのか大きくバランスを崩したり滑り落ちたりなどはしていない。

 そして幸い敵にはまだマネキン2体ほどしか出会ってはいなかった。


 「でっけぇ……」


 30分ほど川を遡ったが、流れが少し急な部分も出始め崖の脇を流れている場所でそいつに出会った。

 3メートルとまではいかないだろうが十二分に大きい土くれの人、いや人形といった方がいいのか。頭の天辺や背中には苔が生えているそれはズシンズシンと重そうな足音をさせながら川べりを歩いている。

 のっぺりとした顔には誰か落書きでもしたのか悲しそうな顔文字が描かれている、まじで誰が書いたんだ……。


 「ともあれ……あれは倒すべきなのか……」


 見るからに強そう……もとい攻撃力がありそうな図体だ、後衛職のしかも近接戦闘するような俺に耐えられるのだろうか。

 でもしかし、レベルの低い序盤ならデスペナは軽かったはずだしトライする価値はあるだろう。


 「よし、いくか……」


 岩の陰から飛び出し一気に土人形に駆けだす、しかし初動の音に反応したのか土人形はこちらへ振り向き腕を振り上げた。

 防御はしない、多分防ぎきれない。一瞬速度を緩めて横へステップする、ゴッと音を立てて地面を叩く腕、威力はあるが速度はないタイプのようだ。

 体勢を立て直そうとする隙など確認せずに踏み込み土人形の腕へ掌底を入れる。


 「マジックショット!」


 触れてからのアーツ発動、乾いた破裂音と共にその腕が二の腕あたりから吹き飛んだ。吹き飛ばされた腕はただの土くれに戻ったのか地面にぐしゃりと落ちて崩れていく。

 しかし相手は痛がる素振りもせず力任せにもう片方の腕を振るってくる。


 「防御展開っ!」


 咄嗟に防御だけでもできた俺をほめてあげたい、できれば後ろへステップできれば言う事はなかっただろう。

 着地はできたが大きく削れたHPに焦りながら土人形からは目を離さず腰のポーチを探る、そして探し当てたHPポーションを一気に飲み干す。仄かに甘く感じるが今はそんな事を気にしている場合ではないのだ。


 HPが回復していくのを確認しながら再び駆け出す、相手もこちらへ腕を振り下ろしてくる。今度も一旦速度を落として横へよけるが、動きは抑えつつ斜め前へ行くイメージ。


 「マジックショット!」


 そのまま回り込むようにして膝を打ち抜く、先ほどの腕と同じように足は土くれに戻る。


 「これで……終わり……か?」


 ズシンと沈んだ土人形から距離をとり観察する、マネキンと同じように光の粉になるのだと思っていたのだが違うのだろうか。

 

 ――ズズッ


 その変化はすぐに起きた、打ち抜いた足が繋がって土人形が再び立ち上がろうとする。するがその体は崩れて光の粉へと変わっていく、どうやら倒せた……のだろう。


 最後のあれはきっとリジェネとか復活とかそんな物だったのだろうか……でもそのまま倒れたのだから部位の修復だけだったりするのだろうか。

 次はもう一発打ち込んで確実に仕留めよう、そうしよう。


 それはさておき戦利品、マネキンの物よりも多めの光の粉からアイテムを拾う。


 ・魔石 ランクG 属性:土

 魔物の体内で生成される結晶、土の魔力を帯びている。


 すこし黄色っぽい魔石だ、なんというか薄いべっこ飴っぽい。おいしくはないのだろうけどもね。

 他にドロップは無いようだしドンドン先へ行ってみようね、行ける所までね。


 ……いや、流石に帰れる程度にしておこう。うん。

 HPもおおよそ8割程度には回復しているのを確認できたので更に上流へ足を進める。


 時折釣りが出来そうな深場、淀み、岩によってできた滝壺の様な流れ込み、メモなんて取ってはいないが覚える努力だけしておこう。

 魚影も見えるので早速釣りがしたいが今回はそういう日じゃないと自分を律する、敵も出てくるかもしれないからね。


 ――


 先ほどよりも岩が多く、大きくなってきたのを明らかに感じられるようになってきた所で聞こえる川の物とは違う水音。

 

 「おーなかなか絶景」


 高さは10mほど、いやもう少し高いかな。岩肌がむき出しになっているが、所々に木が生えている。生命力を感じる。

 そしてその崖から流れ落ちる滝に思わず声が漏れる、秘境感があってちょっと得した気分ではある。

 滝つぼも深く青く暗い、魚も居そうである。


 それと残念というか滝の裏には通路はなかった、この規模程度ではまぁないよね。

 

 ――ガルルルルゥ


 景色に気を取られていると聞えてきた唸り声、振り向けば合ってしまう獰猛な6つの目。


 オオカミです、本当にありがとうございます。


 「防御展開っ!」


 目が合った瞬間に3匹のオオカミが跳びかかってくる。それも広角に、対処が難しい攻撃である。

 まずは直線、ないし3匹を視界に入れられることを意識する。その為のバックステップ、連続攻撃なんぞその場で凌げる気がしない。

 

 1歩、2歩とオオカミの攻撃を躱し最後の1匹は頬を叩き落とすようにいなす。咄嗟ながらも完璧な対応だと自分で自分をほめてあげたい。


 相手が体勢を立て直す前に距離を取りたいが後ろは滝である、猶予は5mほどではあるがこれ以上追いつめられたくはない。


 正直初撃は対処できたが多分これ以上はまずいだろう、まず複数のまだ出会ったことの無い敵である事。そしてその動きの速さである。

 こういった素早い敵は攻撃力も高い場合がある、というか多分そう。だって見るからに危険そうな牙してますよ。


 「そうとなれば……!」


 三十六計逃げるに如かず、呼吸を整えて振り向いて走り出す。

 もちろん相手に背を向けるのだから、相手も絶好の機会だと追ってくるだろう。


 逃げる先は崖、失敗は死に戻り。実際に死ぬわけじゃない、そう考えれば思い切った事だってできる物だ。

 崖の全体を確認しながらつま先に力を込めて跳躍、振り出したもう片方の足で崖の壁面の岩肌を更に蹴る。三角跳び……だっけか、その要領で跳ぶ。


 この程度ではオオカミの牙は届いてしまう、だから更に体を捻り振り返るような体勢でアーツを発動させる。


 「マジックバースト!」


 今回は特に威力は気にしてなんていられない、自分にもダメージは承知の上だ。

 丁度オオカミが跳びかかってきていたタイミングであったため、お互いに吹き飛ばされる。俺は上に、オオカミは下に。


 以前試した時は直上へ飛ぶことは出来なかったが、斜め上に跳びながらだったらいけるんじゃないかと思っていたが案外いける物である。


 そうして衝撃に耐えながらも腕を伸ばしてもがく様にしがみついたのは崖に生えている木である、それも1番太そうなやつ。

 この時点でおおよそ5mほどだろうか、これではオオカミも届かないだろう。


 「あー緊張した……」


 なんとか木と岩肌を登り一息つく、教会での経験は無駄ではなかった……。

 下を覗くとオオカミ達はもう諦めてくれたのかもういない、暫くは会いたくない相手である。

 

 HPも確認してみるが50%ほど、意外とダメージを受けたようだ。ケチってもこの後が怖いのでポーションを使うことにする。残りは4本、あと1本使う事になれば帰る事にしよう。


 とは言っても行ける所までは変えずにどんどん進むことにしよう、あとそろそろ釣りができる所に出たい。

 



 「おー」


 本日2度目の感動。


 あれから土人形とマネキンに喧嘩を売り、川を上ってきたわけであるが。現在大きな池……でいいんだろう、にやってきた。

 一応オオカミとは遭遇していないのでポーションの在庫もバッチリである。


 ――レストポイントに初めて到達しました、ヘルプ画面に項目を追加します


 澄んだ水と穏やかな水面、森の中故に感じる神秘な感じに黄昏ていると突然のアナウンス。ビクっとなりながらも追加されたという項目に目を通すとこの場所は『レストポイント』と言って敵mobが入ってこれない安全地帯らしい、安全地帯故に夜を明かしたり場所によっては生産活動ができるのだとか。

 というか生産活動できる安全地帯ってなんだよ……。


 ――レストポイントに関する項目の既読により『火打ち石』がプレゼントボックスに送られました


 これは面白そうなアイテムをもらえたものである。

 

はんだ

種族:ケットシー 職業:魔術師 Lv.3

装備-武器:なし

   頭:なし

   胴:冒険者のローブ

   腰:なし

   腕:なし

   足:なし

   他:快速の腕輪

スキル

 <体術 4><釣り 4><魔力操作 on><発見 2><採取+ 2>

 <投擲 2>

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