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2×××年2月28日(月):第4章開始

 ログイン1回目。


<第4章開始!>


 家の外に出ると、街は薄ぼんやりと暗くなっていた。

 山村ドスに死病を齎した邪気が、世界を覆っているのである。

 最古の聖女にして最強の聖女と呼ばれた女性が大昔に封印していた物が、ビーン一味の手によって解き放たれたのだ。

 因みに、その女性はアズキの先祖らしい。

『これも、俺の所為なのか……?』

 ダイズが空を見上げて呟いた。

 多分、アズキ達に洗脳されたのだろう。もしかしたら、弓使いに見せない所で何かやらかしたのかもしれないが。

 視線の先で、ダイズはお城に戻って行った。


 ダイズを追って城に入ると、庭で焚き火をしている人達がいた。

『これ、聖女様からダイズ様への手紙なんでしょう? 勝手に焼いて良いのかしら?』

『お渡しする必要が無い内容だからと、焼くように言われたのよ』

『返事が来ないと、襲撃して来たりしないかしら?』

『だとしても、襲撃して来た犯人と王族が懇意にする訳にはいかないじゃない』

『そうね。それにしても、聖女様は一体何の為にダイズ様を連れ回したのかしら?』

『良く分からないけれど、聖女様の邪魔をしたからだそうよ』

『それだけで? なら、やっぱり、返事が来ないと襲撃してくるかもね』

 【聖女伝説4】では、ビーン一味の悪事は全て伏せられた。

 故に、第1章冒頭の襲撃も、ダース王国に遊びに来てそれをちょっと邪魔されたのが原因と思われてもしょうがない事になっている。

 尚、実際のアズキは、聖女としての公務を放棄してビーンを殺しに来たのだ。

 勿論、アズキのそれを問題行動と思っていない人間が作ったゲームなので、公務放棄に文句を言うキャラは1人も居ない。


『聞いた? ダイズ様の噂?』

 廊下を歩いていると、そんな言葉が聞こえた。

 声を顰めているようだが、話の都合か良く聞こえる。

『ああ。偽物という噂?』

『そう。本当なのかしら? すり替えられたなんて』

『信じられないわよね。しかも、すり替えたのはデモンス教の大神官らしいじゃない』

『貴女達何を話しているの!? 緘口令が敷かれているのよ。誰かに聞かれたらどうするの!』

 緘口令が敷かれているという事は、すり替えたのはビーン一味かな?

『緘口令が無くても、根も葉もない噂を口にするものではないわ。ダイズ様はあんなにエンレイ様に似ていらっしゃるじゃない』

『それもそうですね。済みませんでした。気を付けます』

 すり替えが一度とは限らないよね? エンレイ王子もソイ王女もすり替えられていたりして。



『え? ササゲが?』

 漸くダイズを見付けた。王様と話をしている。

『そうだ。神子の召喚では仕方ない。聖神国に行って来るように』

『はい』

 そこで、画面が一瞬白くなった。



 ストーリーイベントが終わっても、薄ぼんやりとした暗さはそのままだった。

 【弦打】を使ってみたが、邪気は世界中を覆っているのだ。意味は無かった。

 こんな天気(?)で激しい運動をする気にはなれず、船で川を下る事にした。

 その前に、一旦ログアウトしよう。



「ねえ、七星? ダイズってさ、洞窟爆破以外に何かした?」

「何も」

「第4章の邪気の蔓延を、自分の所為だって思っているみたいだったけど」

「そりゃあ、洗脳されたんだろう。罪悪感を持たせたり・自己批判させたり・同調圧力かけたりとか、散々してたからな」

 嫌なパーティーだなあ。

「リメイクして、居心地の悪さをアップさせるとか酷いよね」

「そうだな。それが理由で引退したプレイヤーも3000人を超えたし」

 何で判るんだろう? ……あ! 引退前に一言残すスレ!

「アズキアンチスレは20を超えたし」

「超え過ぎ!」

 2ヶ月弱で20スレ以上って……。

「ファンスレは知ってる?」

「ファンスレは3だ」

 約7分の1?



 2回目のログイン。

 船で川を下って来た。

 明日は、聖神国に向かう。

 その後首都まで歩いて移動するから、明日一日は移動で終わりかな?

ステータス等に変更無し。

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