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白蛇の池の村「4」

ほのかに漂う花の薫り

甘くて切ない季節の変わり目の悲しい出来事

恋は、時折安らぎじゃない心の痛みを生み出していくものかもしれない

赤く染まる大地佇む少女は、無数の骸に囲まれていた。

少女は、青年を見つめていた。

青年は、力尽きるように倒れながら

鎧武者の軍勢に囲まれながら

何かを叫んでいた…何を叫んでいるのかは聞き取れないまま…

折れた刀を手にして立ち上がり鎧武者の軍勢に立ち向かうが無数の槍が青年の身体を貫き

そして、一人の武将らしきものに首を切り落とされた。

少女は、その光景を見て叫び声を上げて泣いた…。


言葉に出来ない思いが込み上げて

ただなくだけの少女は、首のない骸に囲まれて血の海の中で浮かび上がる白い花びらのように見えた。


武将は、少女に近づき青年の首を見せて何かを喋ると少女は、首を振り

近くにある短刀で少女は、自分の首を切り裂き叫ぶ

もはや言葉にならない言葉に、どんな無念な思いが込められていたのだろうか?

武将は、少女の亡骸を抱き締めて泣いた…。


やがて、武将は少女の亡骸を赤く染まる池の中央の舟の上から少女の亡骸を池の奥底に沈めた。


池の回りの村人は、全員首を切り落とされ

池の中に首だけ投げ込まれた


武将は、もはや人間の顔をしておらず

阿修羅の表情で村を焼き払い全てを灰にした。

やがて鎧武者軍勢は去り


残されたものは、池に浮かぶ生首だけだった…

無念な念の塊は、やがて…この焼き果てた村に訪れる者の命を奪っていたのかましれない…。


やがて…この惨劇の真相は隠させれて

奇妙な噂だけが残されたのかもしれない


陽は、町外れの小屋の中で、一人の男性が座りながら

この池のまつわる悲しい過去を聞かされていた。


「あの黒い人影のような化けものは、少女の魂を転生…甦らせようとしてるかもしれない…」


「蘇らせる?」


俺は、男性にそう言うとほんの少し笑いながら

木箱を俺の前に置くと


「無念な思いを絶ちきるしか、この町から出れないですよ」


男性は、そう言うとゆっくり歩くと外の月を眺めていた。


「絶ちきる?」


「そうだ」


「どうやって?」


「その木箱に入っているもので絶ち斬るしかない」


俺は、木箱の箱の紐をほどき中身を見てみると

一本の刀が入っていた。


「その刀は、破魔矢のようなもので魔を絶ち斬る事ができるという」


「そうなんですか…」


俺は、そう呟くと男性は、微かに透けて見える

男性は、ほんの少し微笑み


「そなたのおかげで、思いが叶いそうだ。」


男性は消えていくとやがて小屋の明かりが消えて暗闇の世界にいた。

俺は、まるで夢を見ているような出来事ばかりで本当に現実なのか自分の頬を叩いてみると微かに痛みを感じながら木箱の刀を持つとずっしりした重みを感じていた。


「夢じゃなく現実か…。」


俺は、小屋から出ると辺りは、月の明かりに照らされていた。

遠くに見えるレンガ造りの町には、たいまつの炎が燃えているのが見えた。



鼓動が高鳴り響き

ただ無言の時間が過ぎていく

教会の金が鳴り響く音が暗闇の世界に響く


「茜先生!あれ!」


「どうしたの?あっ!!」


孝平と茜は、レンガ造りの建物に壁に身を潜めながら

教会の方を見ると教会の扉は破壊されていた。

辺りには、静まりかえり静寂な世界が広がっていた。


「如月先輩大丈夫ですかね?」


「分からないわ…行くわよ孝平!」


「はい」


孝平と茜は、ゆっくりと歩き出していく

辺りの様子を伺いながら教会の壊れた扉の所にたどり着くと息を潜めて教会の中を見てみると誰も居ない空間が広がっていた。


「茜先生…如月先輩大丈夫だろうか?」


「分からないわ…」


茜は、足音が鳴らないようにゆっくり教会の中に入っていくと暗闇の中に輝く月明かりに照らされたステンドグラスの輝きが、祭壇の上にあるキリストの像を照らしていた。


「夕美ちゃん?居る?」


茜は、声を潜めて囁くけど何も応答もないままだった。

孝平は、教会の中を見回しながら如月先輩の姿を探していた。


「孝平くん」


「はい、どうしました?」


「小型無線機貸してちょうだい」



孝平は、カバンから小型無線機を取り出して

茜に渡すと小型無線機のスイッチを入れて無線機向かって喋った。


「夕美ちゃん大丈夫?」


茜が喋ると祭壇の方から茜の声が聞こえてきた。


「「夕美ちゃん大丈夫?」」


「茜先生の声が反響してる」


「違うわよ!夕美ちゃんの小型無線機から聞こえる私の声よ」


孝平と茜は、祭壇の方に向かうと誰も居なかった。

茜は、もう一度小型無線機に向かって語りかける


「夕美ちゃん大丈夫?」


「「夕美ちゃん大丈夫?」」


キリストの像の下の祭壇の隙間から茜の声が聞こえてきた。

茜は、懐中電灯のライトをつけて

その隙間を照らすとそこには、気を失っている如月先輩の姿を見つけた。


「夕美ちゃん?!」


「如月先輩!!」


茜は、如月先輩の肩を揺らすと如月先輩は、ゆっくり瞳を開けた。


「!!!」


如月先輩は、一瞬ビックリすると茜の手を払い悲鳴を声を上げた。


「きぁああああ!!」


「夕美ちゃん大丈夫だよ!私!茜だよ!!」


「………茜さん」


如月先輩は、少し動揺していたけど茜の問いかけに冷静さに取り戻し

泣きながら茜に抱きつきながら泣いていた。


「夕美ちゃん…大丈夫だよ!怖かったでしょ…もう大丈夫だからね。」


茜はそう囁くと抱きつく如月先輩の背中を撫でていた。


孝平は、暗闇の教会の中を見渡してみるけど誰も居る気配はしない暗闇を見つめていた。


「どうしたの孝平君?」


「何かに見られてるような気がして…」


茜は、懐中電灯のライトを暗闇の教会の中を照らす

孝平は、茜が照らすライトの光見つめていた。

茜は、懐中電灯のライトを切り


「何も居ないみたいね…孝平くん、とりあえずこの場所より安全な場所に行くわよ」


「えっ?場所移動するんですか?」


「何か違和感を感じるのよ…さっきの教会の金の音もそうだけど…。」


「金の音ですか?」


「誰が鳴らしたと思う?」


「誰がって風のせいじゃせいじゃ?」


「そんなわけないでしょ!!これ!」


「えっ?ナイフ?」


「頼んだわよ勇者君!!私は、夕美ちゃんを抱えるように歩くからちゃんと守ってね!!」


茜は如月先輩とゆっくり歩き出す

孝平は慌てながら茜と如月先輩の前を歩くように二人の前に行く


「ごめんね…孝平くん…」


「気にしなくていいよ!如月先輩!」


「ありがとう」


如月先輩は、涙目でそう言うと無言のまま茜に寄り添いながら歩いていた。




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