白蛇の池の村「13」
激しく光が夜空を染めていく不思議な光景が広がる夜空の下で茜は、白衣を着た男性に銃を向けていた。
孝平は、気を失い地面に倒れていた。
白衣の男性は、茜を見ると優しく微笑むと孝平の腹部を優しく触れて軽く押すと孝平はうめき声あげる
「彼から離れなさい!!化け物!!」
「誤解をしないでほしい、私は、ただ彼の怪我の様子を見ただけで、危害を加えるつもりはないよ」
茜は、鋭い瞳で銃を構えて白衣の男性を睨む
白衣の男性は、ほんの少し溜め息をつくと
茜に近づいていく
「動くな!!」
「あの姿で現れたら誰でも驚き警戒するのもおかしくないか…でも、そんな時間はないよお嬢さん…彼は、あと一時間で死ぬ事になるよ」
「嘘を言わないで!!」
「嘘ではないよ、彼の腹部の内蔵が破裂しているみたいだから」
「………!!」
茜は、孝平を見ると口から血を流している様子を見ると動揺するように涙目になっていく
「泣く事はないよ、お嬢さん あの木のトランクケースに入っていた。薬と注射器があれば彼の命は助かるのだけど…」
「あなた何を空想じみたオタ話しをしてるのよ 私は信じないわよ」
「それなら仕方ない…お好きなようにすればいいよ…彼が死んで後悔しないように…」
白衣の男性は、光り輝く池の方へ歩み始める
茜は、地面に倒れる孝平の所に駆け寄り
語りかけても返事もない
孝平の服を捲り腹部を見ると茜は、白衣の男性に叫ぶと白衣の男性は微笑見ながら茜を立ち止まり見つめていた。
孝平の腹部は、青紫に腫れ上がり所々出血していた。
おそらく瓦礫の下敷きになった時の怪我だった。
茜は、近くに落ちている木造りのトランクケースを開けると銀色に輝く小さなケースを取り出すと
白衣の男性は、孝平の横に立ちながら手を差し伸ばし茜から銀色のケースを受け取ると
「お嬢さんも医学の知識でもあるのかな?この薬は、私が昔造ったものでね。試作品だけど効き目があるから心配せず私を信用してほしい」
「えっ!!あなたが作った??」
茜は、驚きながら白衣の男性を見ると
白衣の男性は微笑みながら呟く
「そう、大昔に私が作ったワクチンだけど何か質問あるかい?」
白衣のワクチン入りの小瓶に注射針を射し込みワクチンの液体を注射器の中へ吸い上げて
孝平の動脈を計り、肘の辺りを軽く叩き
注射針を皮膚に差し込むとゆっくりと白衣の男性は、茜の前に歩み寄りポケットから名刺を取り出し茜に渡した。
「えっ?名刺?でも、そのワクチンを作った人なら…」
「シワシワのおじいちゃんじゃないとまず理解できないだろうね…それか、死んでいないとね…。」
「そう!それ!」
「……お嬢さん面白いねぇ、度胸あると言うか天然?」
「よく言われる…どうして?」
「普通の人とリアクションとか表情の仕方ないから場慣れした感じする…かな?とりあえず、あの男の子は、一応大丈夫だけど完全に大丈夫じゃないから街に帰ってから私の病院に連れておいで」
白衣の男性は歩み出す
茜は、名刺の名前を見ると唖然としながら
白衣の男性に語りかける。
「あなたは、一体何者で、この場所に…」
「ごめん!今は、貴重なサンプルを回収するのに忙しいから説明は後で…それに、あの老いぼれボケたおっさんの最後のシーンを見届けなきゃいけないから」
「??」
「物語りの終りのラストシーンと新しい幕が開く物語りの始まりを…」
白衣の男性は、そう言うと変貌していく
あの黒い化け物の姿に
そして、物凄い雄叫びを一度叫ぶと物凄い速さで池に向かっていく姿を無言のまま見つめていた。




