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白蛇の池の村「12」

黒い化け物は、陽を容赦なく斬りつける

陽は、かろうじて受け身をとりながらかわしながら

化け物と陽は、間合いを開けることなく詰め寄り互いの動きを読みながら動く

その仕草は、まるで剣舞を舞う踊り子のように見えた。


「あなたは、この世をさ迷うように亡霊ですね。」


「その刀は…もしかしたら斗真とうま


「いつの頃からか…その名は忘れましたよ…」


「互いに悔いと心残り後悔の念に現世をさ迷う亡霊だな」


黒い化け物は、身構えて陽を見ると踏み出す

陽は、その動きを見ながら身構えると

刃と刃は混じりあいひるがえる刃は、化け物の腹部を切り裂く


「私は、間違えてなかったと思いたい…呪われた血と血が交わる事はあってはならない」


「呪われた血…あなたは、あの時もそう言っていたが俺には理解できないし意味が分からない事…」


「お主には分からない事かもしれないな」


黒い化け物の姿から人間の姿になっていく

厳格な風格の年配の男は、微かに微笑みながら陽をみると


「魂の欠片が一つになる時に全て分かるだろう」


「それは、どうゆう意味ですか?」


「いずれ…呪われた血と血がまぐわりあえば…大きな悲しみを生む…椿つばきを悲しませる事を恐れていたのかもしれない」


「………」


男は、地面に落ちている物体を拾うと

それは、地下室に鎖で繋がれていた少尉の頭部だった。

その頭部を池に投げ込むと

光輝く池の水面の上に佇む女性が、こちらを見ていた。


「時が満ちる時に何が起きるのか…輪廻を繰り返す度に欠けていく魂が一つになる時に人は甦るという」


男は、刀を力強く持ち身構えると陽に語りかける。


「あの時にも言ったが…その愛する気持ちが嘘、偽りなければ、私の首を迷いなく斬り落とせと…愛する気持ちがないから…あの時迷いがあるからお前の首を斬り落とされたのでないか?」


「迷いもない椿を愛しているから…」


「ならば、斬り落とせ…私の首を…椿を愛しているなら私の屍を踏み越えて行け」


一喝の怒声をあげると周囲の空気が変わっていくと陽は、背筋にゾックっとする感覚に負けない気迫の一喝の怒声をあげると

刀を身構えると男の刀を切り裂くと刃が宙を舞うと一気に刃を振り斬ると男は、首をよろめきながら池に後退りながら笑う


「見事…呪われた運命と立ち向かえ…息子よ」


「…………」


男の頭部池に落ちると池は、激しく波打ち始めると池の中央に佇む女性は叫び声をあげる。


「如月先輩!?」


俺は、我に帰るように如月先輩を見つめていた。

不意に語りかけてくる声

頭部のない男の屍を見つめる男が居た。

その男は、小屋で俺に日本刀を渡して消えた男性だった。


「呪われた運命を絶ち斬る事ができたよ…君のおかげで…さぁ、行きなさい彼女の元へ」


男性は、微笑みながら指差すと如月先輩が俺を見て叫んでいた。


「陽さん助けて!!」


俺は、走り出す光る水面の上を

まるで、あの不思議な夢の中のように光り輝く水面に女性に向かって


「如月先輩!」



光の世界に漂う小舟に乗っている二人

だだ漂いながらどこかへ向かう

言葉のないままの二人

だだ、見つめあっていた話す言葉を互いに探していたのかもしれない…

あの時、男は言っていた


「私は、愚かなプライドに全てを失ったのかもしれない」


俺が持つ日本刀を取ると男は、祭壇に向かっていく


「もう、全てを終わらせよう願う事も…」


ふりかざす刃は、祭壇を打ち砕くと粉々になっていく

そして、激しい爆音と共に輝く虹色の輝きが闇の世界を虹色に染めていく


夢の世界のような不思議な空間で、如月先輩は不思議そうに空を見ると

無限に広がる虹色に輝く空が続いていた。


「陽さん…此処は…?」


「俺も分からない」


そう呟くと如月先輩は、俺を見ると驚く


「傷だらけ!!大丈夫ですか?!」


「えっ?あっ…大丈夫だよかすり傷みたいなものだから…」


如月先輩は、心配したように語りかけてくる。

心配する如月先輩に大丈夫だと語り返すと

如月先輩は、安堵した表情をした。


「私、記憶ないんですよ…」


「記憶が?」


「教会で、あの黒い化け物が教会の中に入ってきて気を失ったみたいで…私…」


「たぶん、あんまりにも恐怖を感じると意識が朦朧としたりして記憶が曖昧になる事もあるから心配しなくてもいいと思うよ」


「はい、陽さん…これ?」


如月先輩の手には、紅い勾玉と白い勾玉がふたつがあった。

俺は、それを見つめて何故か微笑むと如月先輩と

ふたつの勾玉を光る水面に投げるとふたつの勾玉は、淡く輝きふたつの光は一つになっていくと

如月先輩は、なぜか涙が溢れて止まらないと言うと俺の手を握りしめていた。

やがて、漂う小舟は止まると光る虹色の世界は霧が晴れるように消えていく

池のほとりに辿り着く小舟から降りると

俺と如月先輩は、辺りの光景に驚いていた。

池の辺りは。何もない草原が広がっていた。

あの奇妙なレンガ造りの町の姿はなくなっていた…。


「陽さん、町が消えてる…」


「如月先輩、心配しなくていいと思うよ 元の世界に戻ってきたんだよ」


「元の世界に?」


「そうだよ」


「あっ!!茜さんと孝平さんは!!」


如月先輩は、そう言うと辺りを見回してみると人の気配がない

俺は、茜と孝平の姿を探すように辺りを見回してみる


「茜さん!!孝平!!」


そう叫ぶと暗闇の草原の向こうから声がした。


「あっ!茜さんと孝平さん!!よかった無事だったんだ!!」


俺と如月先輩は、二人の声がする方へ暗闇の草原の中を駆け出していく




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