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白蛇の池の村「10」

瓦礫だらけの地下室から孝平を抱えながら歩く茜は、崩壊診療所の部屋で、孝平の傷の手当てをしていた。

突然崩壊する地下室の天上を見つめるだけしかできない自分自身の弱さに悔しさを感じていたのだろいか茜は、無理に微笑みながら孝平の傷痕を手当をしていた。


「茜先生…ありがとう…」


「お礼なんていいの!当たり前の事をやってるだけなのだから孝平君、足以外痛い所は?」


「背中だけかな」


茜は、孝平の背中をさすりながら孝平に優しく勇気づける言葉を語りかける。


「俺、茜先生に惚れちゃいそうだわ!」


「何、バ、バカな事を言ってるのよ」


しばらくの間、孝平と茜は、見つめあっていた。

茜は、孝平のお尻を力強くシバいた。


「いっ痛い!!茜先生、俺病人だよ」


「まったく大人をからかうものではないわよ!」


先ほどの緊迫感が嘘みたいに安心感に変わっていく

茜は、ほんの少し笑いながら

地下室の鉄の扉の向こうにあった木造りのトランクケースを開けると

古めかしい2丁の銃と弾丸が入っていた。


「コルト?」


「茜先生、それマグナムでは?」


「マグナムだけど、弾が込めれる数が4つしかないわね。」


「なんか…日本刀の次は銃が出てきたり…ますます現実離れしていく感じがするような…」


「あっ!!私もそう思った!!」


茜は、いつものように笑いながら孝平の肩を軽くと孝平も笑っていた。


「茜先生、陽と如月先輩大丈夫だろうか?」


「わからないわ…」


しばらくの沈黙の時間が過ぎる間

二人は、地下室の天上が崩れる前の事を思い出していた。


茜は、木造りのトランクケースの脇に置かれた。

手紙を読み終えると木造りのトランクケースの一つを開けると…

そこには、この遺伝子操作に実験、調査記録らしきものが入っていた。


孝平は、宙吊りにされた少尉の亡骸を懐中電灯で照らすと


「まるで、作り物のような感じがするね…。」


そう孝平がつぶやくと宙吊りの少尉の姿が揺れ動き始めると天上の壁が崩れ始める。

少尉の亡骸の瞳は見開き

如月先輩の姿を見つめていた。

何かを喋っているようだけど聞きとれない

やがて少尉は、奇声をあげて暴れだす。


天上が崩壊して孝平は、茜をかばい瓦礫の下敷きになった。

陽は、不意に鎖で繋がれた少尉亡骸が動き出して陽を吹き飛ばすように壁に叩きつけた。


如月先輩は、呆然と立ち尽くすばかりだった。

いきなりの出来事に四人は動揺したまま

少尉が如月先輩を連れて行くのを見ているしかなかった。


「時が満ちるのね」


陽は、如月先輩がそう呟くの聞いたように壁に持たれたままだった。

少尉は如月先輩は、如月先輩を抱き上げると陽を見ると微笑んだような気がした。


全ての流れが一つになり物語りが進んでいく

誰かが仕組んだものかもしれない物語り

何が目的なのか分からないまま

人は、戸惑いながら生きていく

どれが正しい道なのか間違いの道なのか分からないまま歩いているのかもしれない


だだ、何かの仕組みに従い生きているのかもしれない

不自然な運命の巡り合わせの中で人は見つけていく

自分の生きている意味を…

何故存在しているのかを…


この奇妙な出来事は、どんな運命に導こうとしているのかは、誰も分からないだろう

人は、何かの試練を乗り越えて見つけていくのかもしれない


生きている意味を…


自分自身の存在している理由を…



茜は、木造りのトランクケースの書類の底にある銀色の何かの紋章を装飾された小さなケースを開けると

何かのワクチンらしき小瓶と注射器が入っていた。

銀色の小さなケースの裏には、英語でこう書かれていた。


神が創る命の法則を変える

生命の雫


「永遠の命?」


「茜先生どうしたの?」


「何でもないわ孝平君は、動かず此処に居て私は、陽君が心配だから行くわ」


「だったら俺も…」


孝平は、無理に動こうとしたが身体の痛みに動けずベッドに横になると少し溜め息をつく


「ほら、無理したらダメだよ!」


茜は、2丁のうち1丁の銃に弾丸を込めると孝平に渡すともう1丁の銃は、腰のベルトの所に銃を挟むと弾丸をポケットに入れた。

小型無線機1つ孝平の寝ているベッドに置いた。


「30分後に連絡入れるから待てて…」


「分かった茜先生…陽と如月先輩を頼むよ」


「分かったわ…孝平君もあの化け物が現れたら胸か心臓の部分を狙って撃つのよ」


茜は、崩壊した診療所の薬品の棚を見ると

その戸棚の引き出しを開けると


「これ、頓服薬?鎮痛剤になるものは…」


茜は、白い紙に包まれた薬を持ってくるとミネラルウォータを孝平に渡す


「昔の鎮痛剤だから効くか分からないけど飲んでみて…少しは痛みが楽になると思うから」


「大丈夫ですかね…体調不良になるならマシだけど…あの化け物になったらどうします?」


「賭けね!!」


「………マジありえないって茜先生…。」


孝平は、戸惑いながら悩むけど、激しく痛む身体の痛みに耐えれそうなぐらい痛む足を見つめてから茜から受け取った粉末状の鎮痛剤らしきものを飲むと


「ニゲェ…茜先生、俺がおかしくなったら助けてくださいよ」


「はい!はい!分かったわ」


何故か茜は、不気味な微笑みながら孝平の頭を撫でるとそう呟く


「茜先生…なんか恐いだけど…」


「そう?私…ゾクゾクするのよね。若い男が弱音吐いてる所を見てると…」


「あの黒い化け物より茜先生が恐い感じがする…俺…。」


茜先生は、少し笑うと孝平も少し笑いながら

茜は、崩壊した診療所から見える不自然な光が見える池の方を見ると


「一体…何が起きてるのこの町で…」


茜は、真剣な表情で歩みだしていく

暗闇の中の崩壊した瓦礫だらけの町を見ながら

まるで、大きな地震が起きたような感じがしていた。

現実なのか幻なのか分からない違和感が心を刺激していた。



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