一緒にお出掛けしてくれなかったら泣いちゃうんだから!
涙のいらない泣き方。
伏せた顔を手で覆い、しおらしく震える。
グスンと時折鼻を鳴らしてやれば上出来!
「……ウソ泣き止めなさい」
「あら。気の無い返事」
私のキュッと上がった口角にうんざり溜息を吐くひと。
でも私の勝ち。
「仕方ないな」
ほらね?
だからスキよ。
「子供には敵わない」
む!
「私そんなに子供じゃないわ」
そういうところが子供なんだよ、と鼻先をつつかれる。
私あなたのそういうところ大キライ。
だから子供らしく意地悪したり、精一杯我儘を言ってあげる。
でも見てなさい。
今に誰もが振り向く女になってやるんだから、と私は髪を掻き上げる。
おいでと差し出された手に「はぁい、パパ!」と飛び付いて、マフラーに付いた長い耳を靡かせ、うさ耳少女が不敵に笑う。