第一話:晴れだ!
ミケの日々を描いたお話です。
短編で書いた『ねこ!ネコ!猫!』の連載バージョンです。
ヘタクソですが、最後まで読んでいただけたら光栄です。
オッス!オレの名前はミケ!吉岡家で飼われてる猫だ。
今日は天気が良くて、オレの野生の心を揺さぶる。
『あぁー…外いきてぇ』
と、オレはひとりごとを言ってみた。
なんで?行けばいいじゃん外に!って思ったやつ…後で職員室来い。
オレの飼われてる吉岡家はペット用のドアが無く、家を出るには我が主人にドアを開けてもらうしかない。
しかも今日は日曜日にもかかわらず、吉岡家の住人は一人もいないに等しい…
お母さんこと吉岡恵(37歳)は、仕事。
お父さんこと吉岡勇作(38歳)は、仕事が休みらしく、買い物へ。
お姉ちゃんこと吉岡千夏(16歳)は、部活へ。
お兄ちゃんこと吉岡勝(17歳)は、部活の練習試合へ。
のこる妹こと吉岡麻美(15歳)は、爆睡中……
駄目だ…使い物にならねぇ…麻美ちゃんを起こすしか道は無いのか…だが、麻美ちゃんのねぞうはすこぶる悪く、前に起こしに行ったときには、寝返りをうった拍子に麻美ちゃんの拳がオレの横腹にクリーンヒット!そして、苦しんでいるオレに追い撃ちをかけるかのように、両腕が襲いかかってきて、オレを締め付けた……………駄目だ、恐すぎる…オレはまだ死にたくない!
そうだ!窓だ!窓がある!あれなら俺でも開けられるはずだ!ひゃっほぅ!
タタタタタ…
居間にある窓まで行くと、窓ガラスで屈折した眩しい光がさしこんでくる。
『おぉ、おぉ、素晴らしい天気だ!まさに、オレが遊ぶにふさわしい天気〜』
さぁ!早速外出をば!
ガッ!ガッ!
『……?』
ガッ!ガッ!
『…………』
あ、開かない…何故…オレの動きは完璧なはずだ!
窓に前足をかけて、後足でふんばりながら、窓を横にスライドさせる…何故スライドしない…まさか!
オレは恐る恐る上を見上げた…
『何!?鍵が…鍵がかかってやがるのか!!…しゃらくせぇ!!』
オレはまた窓を横にスライドさせようとした…
動かない…オレの出せる力を出しきっても開かないなんて…
「にゃ〜…」
オレは鳴いた…いや、泣いた…
「にゃ〜…にゃ〜…」
何度も泣いた…そして…
『こうなったら、麻美ちゃんを起こすしかねぇ!』
タタタタタ!
オレは覚悟を決め、居間を抜け、台所を抜け、廊下に出て、全力で階段を上った。
『くっ…つくづくなんて家だ…扉が全て洋風とはな…日本人も、洋風にそまっちまったか…』
オレは麻美ちゃんの部屋の前で言った。
『洋風は開くときは合言葉のはずだ!』
オレは合言葉を探した…
『開け!ゴマ!』
…………………
駄目か…
『ドア!オープン!』
………………
駄目か……
『オープン!ゲーット!』
………………
これも駄目か…よし、こうなったら!
『アバカム!』
【MPが足りない。】
何だとぉぉぉぉお!
何か、何か無いのか…?
オレの…猫の脳みそはこんなもんなのか…?
『麻美の貧乳ー!バーカバーカ!悔しかったら出てこ…』
ガチャ…
「…何?うるさいよミケ…」
ヤバイ…殺られる…謝るしかない…
「にゃー」
「何?どうしたの?お腹が空いたの?」
つ、通じてねぇ…オレは外にいきてぇんだよー!
「にゃー!にゃー!」
「わかったわかった。下りるから、落ち着いて」
これが落ち着いていられるものか!オレは外に!外にいきてぇんだ!
天気なんだよ!今日は天気なんだよ!?
「にゃー!」
「はいはい猫缶ですよ〜。マグロですよ〜。美味しいですよ〜?」
くっ…麻美ちゃん寝惚けてんのか?
オレは外に行きたいの!外行こう!外!
「あれ?いらないの?」
「にゃー!(いただきます!)」
オレはまんまと麻美ちゃんに猫缶を食わされた…
「食べたね〜。んじゃ、私は寝るから!」
なにぃ!!?まだ寝るつもりか!?今は12時半だぞ?!
『ま、待て!早まるな!オレを外に導いて!』
「何よ?足にへばりつかないでよ〜…もう、しかたないなぁ外で散歩でもしようか?」
やったぜ!ついに外に!
念願の外に!
「あ、雨降ってきた!しょうがない。家で遊ぼうか?」
「にぃー……」
結局、オレはその日は外に出られなかった…
最後まで読んでくださってありがとうございます。
これからも頑張りますので、もしよろしければ、感想などをお待ちしております。