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黒き厄災

「走れ!!」


俺の声が遺跡の通路に響いた。

石の床を蹴る音が重なる。

四人で全力疾走。


後ろを振り返る余裕はない。

振り返ったら――

足が止まりそうだった。


それでも。



ズルン……



背後から聞こえる音は、はっきりとわかった。


何かがいる。


そしてそれは。


さっきまでの黒い粘液とは、まるで違う。


圧倒的に巨大だった。



Tekeli-li



遺跡全体が震えた。


「なんだよあれ!」


ガレスが叫ぶ。


「わからない!」


玲奈が答える。


だがその声には、今まで聞いたことのない緊張が混じっていた。


「魔力構造が――」


「ぐちゃぐちゃ!」


俺たちは曲がり角を曲がる。

広間を横切る。

入口はもうすぐだ。


だが。


その瞬間。



ドォン!!!



背後の通路の壁が、内側から吹き飛んだ。


石の破片が雨のように飛び散る。


「伏せろ!!」


俺は叫んだ。


ガレスが玲奈を引き倒す。

神代が横に飛ぶ。


石が床に叩きつけられる。


そして。


その煙の向こうから。


それが現れた。


最初は形が理解できなかった。


黒い。


ただ黒い塊。


粘液のような肉のような、何か。


高さは三メートル以上。


横幅は通路いっぱい。


形は一定ではない。


膨らむ。


崩れる。


波打つ。


その表面には。





無数の目が浮かんでいた。


開く。


閉じる。


動く。


消える。


また生まれる。


そのすべてが。



こちらを見ていた。



「……」


ガレスが言葉を失う。


玲奈の顔が真っ青になった。


「嘘……」



Tekeli-li



その怪物が、声を出した。


音は振動のようだった。


空気を震わせる。


石の壁が軋む。


俺の脳が、その音を拒絶する。


理解してはいけないもののように感じた。



「……逃げるぞ」


俺は絞り出すように言った。


だが。


その瞬間。



ズルン



怪物が動いた。


速い。


信じられないほど速い。


粘液の塊が床を滑る。


通路の距離を一瞬で詰める。


「来る!!」


ガレスが剣を振るった。


バシュッ!!


木剣が怪物を切り裂く。


だが。


その手応えは――



柔らかすぎた。



粘液の中に剣が沈み込む。


ガレスの顔が歪む。


次の瞬間。



ビシャッ!!



黒い触手のような塊が伸びた。


ガレスの腕に絡みつく。


「うわっ!?」



ズルッ



ガレスの体が引き寄せられる。



「離れろ!!」


俺は木剣を振った。


斬る。


触手が裂ける。


だが。


すぐ再生する。


玲奈が叫んだ。


「火炎弾!!」



ボォン!!



火球が怪物に直撃し、煙が立つ。


しかし


煙が晴れるとそこには


無傷の怪物がいた。



Tekeli-li



怪物が大きく震えた。



「効いてない!?」


青ざめながら玲奈が言う。


そして。


次の瞬間。



怪物の体が。



膨張した。



黒い肉塊が膨らむ。


波のように広がる。



ズルン!!



床いっぱいに広がった粘液が。


一斉にこちらへ襲いかかった。



「くそっ!!」



その瞬間。



ドォン!!!



遺跡の入口が、光に包まれた。



「全員伏せろ!!」



低く、鋭い声。



黒鉄だった。



彼の剣が振り下ろされる。



ギィィン!!



衝撃波が走った。



黒い肉塊が――



吹き飛んだ。



石の壁に叩きつけられる。


粘液が飛び散る。


黒鉄は前に立った。


剣を構えたまま。


怪物を睨む。



「……なんだこいつは」



その隣に。


フィオナが立っていた。


彼女は怪物を見て。


そして。


小さく呟いた。



「……嘘でしょ」



「これ」



「記録でしか見たことない」



そして。


震える声で言った。




「ショゴス……」


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