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転生錬金術士のほのぼのスローライフ ――拾った少女とモフモフと、なぜか聖騎士もついてきました  作者: しぃ太郎


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第7話 二日酔いと神聖力の副作用


 翌日のエルは二日酔いで、顔が真っ青だった。

 床に転がせてた私も悪い……。

 しかし、か弱い女性にこんな大柄な人を運べるわけがない。


 仕方がないので、お祖母ちゃん秘伝の「二日酔い薬」を作った。

 私は味見して、顔を顰める。

 これは、薬というより飲み過ぎた人への罰なのではないか。

 そう思う味だ。


 でも、自業自得、是非もない。

 幼い子供の前で醜態を晒す方が悪い!とコップに入れて薬を持っていったが……。

 眩しい。

 なんだこれ。


 何度もおじちゃん達の薬を用意してきた私は、別次元の映像に頭が混乱する。

 普通なら、もっと見苦しくなっていていいはずだ……。

 何故。


「ミーナ嬢?」

 名前を呼ばれて、コップの中身が零れそうになった。

 朝の陽の光と銀髪が目に優しくない。

 髪をかき上げて、少し乱れた服も宜しくない。


「薬!ここに置いておきますから!」


 顔を合わせるのも気まずいので、視線を逸らせたまま私は部屋を出ていった。


「これは……」


 背後から聞こえた声は戸惑っていたようだが、薬だと伝えたから大丈夫だろう。

 リリが、心配そうにエルを見ている。


 仕方がないので、看病を頼めるか聞いておいた。

 彼女は頷いてくれた。

 昨日で随分と打ち解けられたらしい。良かった。


 私は、最近大量に依頼のあった、フライパンと鍋を強化するために工房へ向かった。





 そしてさらに困った事がある。主に幼馴染のトーマだ。


「なぁなぁ、兄貴は元気か!?今度、剣術を教わることになってるんだけど!」

「二日酔いでダウンしてるわよ」


 強化用の素材が足りなかったので、鍛冶屋に行ったらもうこの調子だった。兄貴?仲間認定が早すぎる。


「そういえばお前さ、『分解』も出来るんだよな?素材なら、分解すればいいんじゃないの?」


 トーマの疑問は最もだが――、


「分解っていっても、綺麗に二つに分けられるわけじゃないのよ。例えば――」

「あぁ、いいや。面倒な話は。そこのリストのやつは持っていっていいって。費用はいつも通りに纏めてよろしく」


 こいつは……。

 人に質問しておいて、面倒だと??


 私は、十キロ以上ある金属を一人で抱えて工房まで戻った。





 家に戻ると、リリが何故かぐったりしていた。

 代わりに、エルはもう大丈夫そうだった。


「どうしたの!?この子、今朝は元気だったよね?」


 エルがリリを布団にくるんで、抱え込んでいた。

 あ、部屋の場所も教えてなかったか。

 薬は飲んだらしく、もう大丈夫そうだった。


「リリアーヌが私に神聖力を使ったみたいです。その副作用が……」

「は!?副作用??神聖力を使うと副作用で倒れるの?」


 もっと万能な力かと思っていた私は、驚いて声を上げた。

 こんな小さな子が聖女候補で、さらにはこれからも副作用に悩まされると?


「はい……。もう少し大きくなれば倒れることもないでしょうが……。大抵は副作用で一次的に体調が崩れると聞きます」


 エルが肩を落として説明しているが、私はきっぱりと言った。


「もう、リリには神聖力を強要しないで」


 彼の腕から少女を取り戻す。

 たかが二日酔い。そんなものを治すために、この子はこんなに消耗しているというの?


「はい。……ですが、私が頼んだわけでは……」

「どっちでもいい。この子が善意でやったとしても、今度から気づいたら止めて。私も使わせないようにちゃんと言い聞かせるから」


 その後、リリをベッドに運び様子を見る。

 さっきはトーマに遮られたが、錬金術は『分解』も出来る。物の持つエネルギーの波長が違うからだ。

 錬金術は波長を読んで発動させる。


 ――今のリリの波長は、ぐちゃぐちゃだ。

 しばらくすればもとに戻るだろうけれど……。


 一度しっかり話をしよう。

 そう思って、彼の所へ向かった。



 エルの落ち込みように、私は声をかけるのを躊躇った。

 椅子に座り込み、地面をずっと見ている。


 明らかに落ち込んでいる。

 うーーん。

 さっきは言いすぎたかな……?


「あの……?そっちも大丈夫?」

「……はい。お気になさらず」


 心なしか声が弱々しいけれど、会話は可能みたいだ。

 とはいえ――、


「ねぇ、ちょっと言いすぎた。ごめんね。あと、リリは休んでれば治るから」

「……良かった」


 強張っていた肩から力が抜けたように見えるが、視線は合わない。

 エルを責めるために話をしたいわけじゃない。


 何故、リリが帰りたがらないのか。

 神官長に報告したらしいけれど、神殿の考えがどうなっているのか……。


「神殿から指示はきたの?」

「聖女候補が納得するまで、自由行動の許可が下りました」

「じゃあ、リリが帰りたがらなければ?」


 力なく首を振る。


「私には知らされていません」

「そう……。どうなるかわからないわね」


 ふぅ。こっそりと溜め息をつく。

 エルが悪い人だとは思っていないけれど、立場の違いを頭に入れて置かなければ……。


 ――リリが目覚めたら、本音を聞いてみないと。

 まずはそれからだ。


 でも、こっちも不安定な所があるから、放っておけないんだよなぁ。

 落ち込んだ彼の様子を、本人に気づかれないように確認する。

 エルに悪意がないことは、もう一緒に過ごしてわかっている。

 でも『純粋な思想』でも、人を傷つける事があり得てしまうのが世の中だ。


 やはり部外者にしか過ぎないから、実感が湧かないのだろうか。



 

ここまで読んでくださってありがとうございました。

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