20年のウイスキーと21歳の高校生だった私
私はは21歳で高校を卒業した。
今飲み屋で飲んでいるウイスキーと同じ年数だ。
つまり私の高校生活は20年ものである。
今はコールセンターのOLの女子社員をして生活している。
この辛い飲みにくいお酒を飲んでいると
複雑な事情を持った子が多かった高校生活を思い出す。
悩んだこと、困ったこと、傷ついたこと
いじめられた経験、自殺未遂をした経験、
思い出したくもない過去、最悪の家庭環境、
複雑な家庭。
高校を中退した子が行く通信制高校だから
私はこんなマイナスな経験を持った女の子の生徒が多い高校に通っていた。
こんな生徒の女の子同士の仲も悪いし一ヶ月に5回の通学で卒業できる高校、
私も含めまともな生徒はいないだろう。
そう思っていた。
だけど不思議な現象が起こった
この通信制高校では自殺未遂の悩みなどを打ち明けると
共感してくれる生徒の女の子が多いのだ。
自殺を考えるほど苦しい経験を知った子は
不登校や自殺未遂をした人や
家庭崩壊を経験をした人の
気持ちに寄り添えるのかな。
苦しかったこと。
悲しかったこと。
困ったこと。
この辛い経験が人を育てるのかも。
それから私は大学生になり社会人になり、
仲間の子はどんどん変わっていった。
もうあの通信制高校の
仲間とは関わりは一切ない。
あの頃の仲間は定職に就いて
社会的に評価されるような人は
ほとんどいないだろう。
今みんなどうしてるかなんて興味はない。
「マスター、追加でテキーラもらえる?
近くのビジネスホテルを予約してるから終電過ぎまで飲むつもり」
全部忘れたい。
お酒の力に頼ってあの頃の記憶を消したいんだ。
全部忘れさせて。
深夜の暗闇が私の古い思い出を黒く包み込み
ビジネスホテルのベッドで眠りにつく頃には
あの頃の記憶は綺麗に消失していた。