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51 ギリギリの応酬


 バチバチバチ!


 雷光が飛び散り、それぞれの魔法陣から、デーモンが現れる。その中央に立っていたモニカは、合計三体のデーモンに囲まれる。その図体は大きく、見ているだけで気圧されそうになる。

 しかし、モニカは怯むことなく手に持った赤い宝石から、それぞれのデーモンの背後に配置した浮遊する宝石に、一斉に赤い光線を放った。


 ギャアァアァァア!!!


 召喚された瞬間に、強烈な攻撃を食らい、デーモンは身もだえた。怯んだ隙にニーナは攻撃を繰り出し、デーモンの体力を削っていく。デーモンが素早く動いても、その後ろに宝石を漂わせ、モニカは再び光線を撃つ。デーモンの悲鳴が響き、のたうち回る。


「任せたよ、モニカ!」


 私はそう言いながら、デーモンから距離を取り、セレニアとモニカとニーナの三人、全員を見渡しやすい位置へと逃れた。


「”ヒーリング・オーバータイム”!」


 セレニアに継続回復魔法を唱え直す。

 セレニアはうまく、足と脇腹への攻撃を繰り返し、徐々にベリトの体力を削っていた。

 しかし、決め手に欠けるため、このままだとかなり時間がかかってしまうし、私のMPが持たない。


 モニカはデーモンから距離を取るように逃げながらも、宝石を操り、三体のデーモンを攻撃し続けている。デーモンがモニカの攻撃を抜けて、モニカに届きそうな距離まで近づくと、ニーナはすかさずそのデーモンにうまくスキルを叩き込んで、大ダメージを与えた。


「よし、一体!」


 デーモンの一体はそのニーナの一撃でやられ、崩れ落ちた。

 ニーナとモニカはうまく連携できている。

 でも、まだ油断はできなかった。

 なぜなら……


 デーモンが咆哮し、腕に紫の力を纏う。以前セレニアと戦った時のように、スキルを発動しようとしているのだ。


「くっ……”テンポラリシールド”!!」


 私はモニカに簡易シールドを唱える。これさえあれば、何とかモニカの体力が持つはずだ。

 しかし、これを欠かしたら確実に死んでしまう。


 以前は前衛のセレニアですらそんな体力だったのだ。あれから私たちも魔物を多く倒して力をつけ、装備もいいものに整えたとはいえ、モニカはあくまで後衛だ。

 テンポラリシールドのバリアと今のモニカの元々のHPを考慮しても、瀕死の重傷を負うことになるだろう。まったく油断できない。


「うぐっ⁉」


 光線を食らいながらも、怯まず突っ込んできたデーモンのスキルの一撃に、モニカは血を流しながら軽々と弾き飛ばされる。


「”トリプルヒーリング”!」


 吹き飛ばされたモニカは、地面に倒れる。やはり、シールドを張っていてもこの威力だ。モニカのHPはほとんど無いに等しかった。

 私が唱えた回復魔法が杖先からモニカに届くと、モニカのHPは完全回復した。その瞬間にモニカはすぐに立ち上がり、次のデーモンの攻撃を避けた。

 デーモンの鋭い爪はモニカがいた地面を引っ掻き、その床を削り取った。ただの引っ掻く一撃が、恐ろしい攻撃力だ。


 しかしその隙に、ニーナがもう一体のデーモンとやり合い、とどめを刺していた。

 デーモンはあと一体……


 するとニーナは向きを変え、突然ベリトのほうへと駆けだした。予想外の行動に、私はぎょっとする。


「”電光影裏”!!」


 セレニアと対峙して、全くニーナのことを気にかけていなかったベリトの背後から、その脇腹にニーナはスキルを打ち込んだ。


「ぐうぅ⁉」


 ベリトはその衝撃に、たまらずよろめいた。ニーナは空中を華麗に舞って、着地しながらにやりと笑った。

 ニーナの機転と成長はすごいものだった。デーモンが最後の一体になったこと、そしてその弱り具合を見てモニカに任せていいと判断するや否や、一瞬にしてベリトの方に向かったのだ。ニーナは深く考える方ではないだろうが、いままでの喧嘩屋としての経験、センスによるものだろうか。



「いいぞ! ”ブーストエッジ”!!」


 セレニアはスキルを使い、高速で移動しながらベリトの足を斬りつけた。

 ベリトの黒い血があたりに飛び散る。セレニアは刃に付いたその血を、剣を振るって飛ばし、地面にびしゃりと、叩きつけた。


「観念しろ、悪魔。我々の連携は破れんぞ」


 セレニアは剣を向け、そう言い放つ。


「クソォ……」


 ベリトの体力も徐々に削れてきている。

 ついにモニカの方も一対一になると戦うのは容易になったようで、赤い光線をいくつも浴びせて最後のデーモンを倒し切ってしまった。

 デーモンは三体とも倒し切った。


 焦ったけど、何とかいけそうかな……?


 そう思ったのも束の間、セレニアが再びベリトに迫った時、ベリトは大剣を振るい、それにカウンターを決めた。

 セレニアは勢いよく剣を振る直前に体勢を崩され、持っていた剣を弾き飛ばされてしまった。


「なっ……!」


 はるか遠くに飛ばされた剣を、全員が目で追う。光を反射し、音を立てて、大事な何かが崩れたかのように、剣は転がり、地面を滑る。

 ベリトの大剣が、丸腰となったセレニアに再び迫る。


「……間に合って! ”テンポラリシールド”!」


 私はセレニアに簡易バリアの魔法を唱える。何の防御もなく、ベリトの大剣の一撃を食らえば、さすがに命に関わる。


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