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転生モブ娘(庶民)は大好きな乙女ゲームの世界で、最高の推し活ライフを目指しますっ!  作者: アオイ


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46.最推しと初めての〇〇

「何か、温かい物を持ってこようか」

 再びルカリオが私の傍を離れようとするので、私はその腕に追いすがり首を横に振った。

 最推しの言うことを聞けないなんて最低だと思うけど、今はどうしても一人になりたくない。

 ここまで自分が弱いなんて、何かショックだ。前世の記憶もあって、中身はもっと精神的に大人で図太いと思っていた。


 しばらく一緒にベッドに座っていると、少しずつ私の気持ちも落ち着いてくる。

 少し冷静になると、最推しに甘えまくっているこの状況に罪悪感がすごくなってきた。

「あの、遅くなってしまいましたが、助けてくれてありがとうございました」

「ん?そんなの当然だ。むしろ、事前に防げなくて悪かった」

 申し訳なさそうなルカリオに、私は首を横に振った。

「私、もう大丈夫と思うので。ご迷惑にならないうちに、その、兵舎にお戻りに……」

 どうぞお帰り下さいというのは何か違う気がして、しどろもどろになりつつ伝えた。

「なんで?」

「えっ?」

「だって、こんなに不安そうなシェリル一人残して帰れるわけがない。大丈夫、セディから第二騎士団に報告がいってるだろうし、今日はここにいるよ」

 どうしてと思うよりも先に、嬉しいと心から思ってしまった。

 そしてそれは全面的に顔に出ていたのだろう。

「ふふっ、本当分かりやすいな。ほら、我慢せず素直に俺の傍にいるといい」

「ありがとう、ございます」

 思わず恥ずかしくなって、ルカリオの肩口に少し顔を埋めた。


「シェリル」

 名を呼ばれて、私の頬にルカリオの手が触れ顔を上げさせられた。

「ここ、赤くなってる。洗う時に、こすりすぎたか?」

 親指で、私の口元にそっと触れられる。

「はい。何だか、感触が消えない気がして」

「そうか」

 ルカリオが痛ましい顔をする。

 そんな顔も出来るんですねっ!どんな顔も絵になるほど麗しく、つい状況も忘れて見惚れてしまう。

「じゃあ」

 そう言って、ルカリオの顔が近付いてくる。

 私の口元、唇よりも少し横に温かくて柔らかいものが触れた。

 何が起こったか分からず、茫然としていると反対側にも同じ感触が落とされた。

「上書きしてあげる」

 超絶色っぽい眼差しと共に、耳元で艶っぽい声音で囁かれ私の顔は湯気が出そうなほど真っ赤になった。いや、むしろもう出ているかもしれない。


 固まる私とは裏腹に、ルカリオの動きはどんどん大胆になっていく。

 唇の端の次に、耳朶の下、頬、顎と、犯人に触れられた場所に余すことなくキスの雨を降らせていく。

 私はまるで夢の中にいるようで、されるがまま身を任せていた。

 ふいに、ルカリオは唇を離しじっと私を見つめた。そしてそのまま、私の唇にルカリオの唇が触れた。


 えっ、キス、された……。


 私は一瞬何が起こったか分からず、ただただ茫然としてしまった。

 頭の理解が追いつかず、嬉しさよりも驚きの方が大きい。

 これがヒロインだったら、もっと可愛げのある反応が出来ただろうに。

 私の反応が良くなかったのか、ルカリオは唇を離し私を見つめた。

 その瞳はどこか哀しげだった。

「ごめん、こんな付け入るような真似をして」

 えっ、付け入るって?むしろ謝るのは女子力の低い私の方では?


「本当は、もっと他の時にきちんと場所も考えてって、思ってたんだけど」

 ルカリオはバツが悪そうに顔を顰める。

「我慢、出来なかった」

 再び距離を縮められ耳元で囁かれると、私の身体が甘く疼いてもうどうにでもして欲しくなってしまう。

「ルカなら、何でも……何されても、いっ…んっ」

 言い終わる前に、再び口付けられた。

 先程の触れるだけのキスと違って、強く唇を押し付けられだんだん私の息が絶え絶えになってくる。

「んんっ……、ふっ……」

 息継ぎのために少し口を開けると、その隙を狙ってルカリオの舌が潜り込もうとした時……。


“カチャリ”

ドアノブが動いた。

ルカリオは直ぐ様唇を離し、自身を盾にして私を背中に隠した。


「失礼します。俺です」

 入って来たのはセドリックだった。途端に緊張が解れる。

 ルカリオも警戒を解いた。そして、セドリックから少し気まずそうに顔を逸らした気がした。

 セドリックは部屋の様子、特に私とルカリオの顔をじっと見つめる。

「おやおや、とんだお邪魔をしてしまいましたかね」

 全てを見透かすような目で見られ、めちゃくちゃ恥ずかしくなった。

「早かったな」

「ええ。あの男には大して裏がありませんでしたからね。それに、()()心配でしたから」

 再び意味あり気にこちらを見つめるセドリック。笑顔なのに、目が笑ってない。何か怒ってる?


「全く、俺のことは散々止めて置きながら、自分は先に手を出すなんて」

 セドリックはどんどんこちらに近づいてきて、ルカリオとは反対側の私の隣りに座った。

「あなたのために早く終わらせてきたのですから、俺にもご褒美、下さいね」

 甘く耳元で囁いて、そっと頬に手を添えられたと思ったらそのまま口付けられた。

「んっ」

 あれ?なんで?

 っていうか、そもそもどうやってここに?家の鍵は?いつの間にか、ルカリオがカルラさんを呼んでくれていたのかしら?でも、それならセドリックより先にカルラさんが二階に顔を見せに来てくれるはず……。

 茫然と、離れていくセドリックを見つめる。


「ふふっ、そんな顔しないで。これから俺たちの秘密、教えてあげますから。色々とね」

 セドリックが目の前で、蠱惑的に微笑んだ。


お読み頂きありがとうございます。

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