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転生モブ娘(庶民)は大好きな乙女ゲームの世界で、最高の推し活ライフを目指しますっ!  作者: アオイ


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36.シェリルの日常

 王立学園を卒業し『夢の箱庭』をオープンさせてしばらく、お店は順調に回っていた。

 大々的な宣伝なんかはしなかったけど、口コミで少しずつお客様が来てくれるようになった。

 最初は意外にも貴族街からのお客様だった。

 貴族のお屋敷に勤めるメイドさん達が、休憩の時のお茶菓子にと買いに来てくれたのだ。

 それから徐々に王都民にも広がり、最近では定食屋に来たついでにと騎士達もたまに買いに来てくれるようになった。

 騎士達が来てくれるなら今はもう幹部になった最推しも!と思ったけど、現実は甘くない。

 開店祝いのお花やお祝いのメッセージは頂いたけど、本人達には一向に会えない。

 

 メッセージと言えば、このお店の名前!

 なかなか決めれなくて悶々として悩んでいたら、花束にセドリックのメッセージが添えられていた。


“ 愛しいシェリル


『夢の箱庭』なんて、

素敵な言葉だと思いませんか?


セドリック=オーブリー ”


 それで、このお店の名前を決めたんだよね。

 我ながら単純と思いつつも、最推しが名付けてくれたんだよ?もう最高過ぎない?


 あと、このお店の重要な立役者、カルラさん!

 この店舗兼住居、本当に過ごしやすくて素晴らしいんだけど、やっぱり一人でお店をやりながら住居部分と店舗の掃除なども……となるとさすがに大変で、父が雇ってくれたお手伝いさんなんだよね。

 カルラさんは、お店の営業日にいつも朝から夕方まで通いで来てくれている。

 多分、元はどこかの貴族なんだろうなと思うほど所作も美しい、クールビューティなお姉さんだ。


「いらっしゃいませ」

 今日もお客様が足を運んでくれる。

 最近は、騎士以外の男の人が一人で来るようなことがある。

「あの、少しいいですか?」

「はい」

 お客様の若い男性に呼ばれたので、商品説明のために近寄った。


「こちらで人気のものって……?」

 男性が目の前の紅茶の棚を指して聞いてくる。

「スタンダードなアッサムも人気ですが、最近はこちらの各種フレーバーティも人気ですよ。贈り物でお探しですか?」

 彼女にプレゼントかな?と思いつつ、いくつか提案しようと商品に手を伸ばす。

 すると、何故か商品に伸ばした手にそっと手を添えられてしまった。

 何で?

「ちなみに、あなたの好きなフレーバーは何ですか?」

 男性は柔らかく微笑みながら聞いてくる。

「ええっと……」


「店長」

 この状況に戸惑っていると、カルラさんが私の手ごと商品を取った。

「今日の予約分について、ラッピングをあちらでお願いします。私ではお得意様の好みを把握しかねるので。こちらは代わります」

「分かりました。では、お願いします」

 カルラさんはクールな表情のまま、先ほどの男性に向き直った。


 正直助かったわ。

 最推し以外の男性なんて眼中に無かったから、どう接していいかわからないもの。

 まあ、そんなのでよく客商売をやるなって感じだけど、まさかスイーツのお店でこんなスキンシップ過多な男性客なんて想定していないわよ。

 これ幸いと、私はその場を抜け出した。ラッピングに集中している間に男性客は帰ったようだ。

一体何だったのかしら?


「カルラさん、ありがとうございました」

「いえ。ああいう輩は私にお任せください」

「ああいう?」

「ええ、ナンパ目的ですね」

「ええっ!?私、さっきナンパされてたの?」

 知らなかった。お店にそんな目的で来る人がいるなんて。

 でも、私で良かった。他の女性のお客様が私の店で嫌な思いをしたら許せないもの。

「本当、助かりました」

 カルラさんがいてくれて良かった。

 初めて父から紹介された時は、商会の方でも見たことが無かったし、父も何だかよそよそしかったからどうなるか心配だったけど。今では、無くてはならない人だ。

 本当、頼りになるわ。


 この日はもうこれ以上何も事件は起こらず、つつがなく一日を終えることが出来た。

 予約分も無事に受け渡し出来たし、あとは閉店準備だけだ。

 そして、私はいつもとっておきを置いてある棚から、マフィンとスコーンを取り出した。

 この棚には、お得意様が急遽いらした時用に一部商品を分けて置いてあるのだ。

 今日は誰もいらっしゃらなかったから、まだ色々揃っている。

 マフィンには今日残った分のポップな色のクリームや、アラザンなどで可愛くトッピングして、お礼の文字を書いたプレートを置いた。

 それらを簡単にラッピングして、帰りがけのカルラさんに渡した。

「これ、今日というか毎日助けて頂いているお礼です。良かったら召し上がって下さい」

「そんな。仕事ですし、当たり前のことなので」

「いえいえ、カルラさんは何人分もの仕事をこなして下さっているのでこれでも足りないくらいです!」

遠慮して受け取ろうとしないカルラさんに強引に手渡す。

「ありがとう、ございます」

 クールビューティなカルラさんが、目を瞠った後フッと笑った。

 同じ女性なのに、その笑顔はドキッとするほど魅力的だった。


 お店の片づけが終わると、カルラさんは全ての戸締りを確認してから帰って行く。

 あとは明日の下準備をしたり、自分の支度をして夜が更けていく。

 父やカルラさんのおかげで、毎日安心安全で充実した日々。

 そのうち壁紙や絨毯も濃い紫やエメラルドに変えて、完全に最推しを感じる部屋に模様替えとかしちゃおうかな。

 前世ほどグッズ作りは出来ないけど、今日も寝る前に最推しの存在に感謝を捧げて満たされた気持ちで眠りにつこう。

 これがいつもの私のルーティン。

 しばらくパレードなどのイベントも無いから、明日も精神的な推し活、頑張りますっ!


お読み頂きありがとうございます。

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