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アオムシについて  作者: 鈴木瑠衣
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奇妙な体験

 左開きか、右開きか。本は通常どちらから開くものなのか、

考えていた。

部屋にある数少ない雑誌や本を眺めながら、「左開きのものも右開きのものもあるな。」

と特段ルールなどはないように思えた。

教科書はどちらから開くのだっけ?確か国語の教科書は右から頁を開いた気がする。社会の教科書は左からだった。

「きっと、どちらでも良いのだろう。」と、自分の中で結論付けた。





 5月も半ばになる頃、私の思考はアオムシに移っていた。

卵で生まれたその後に、緑色の美しいアオムシになり、くねくねと身体を動かしながら葉の上や地面を這っていく。そしてある時その身体は動きを止め、奇妙な形になりながらずっと動かなくなる。緑だった皮膚は茶色になり、何者でもなくなった時に、薄い皮を破り、ある時蝶となって外に出てくる。


一生を通して行われるその姿、形状の変化には驚きを隠せない。

小さな卵が緑の青虫となり、次第に動かぬ物体となり、ある時急に外に出てきて飛んでいく。

一体どうやったらそんな展開になるのだろうか。どうしたらそんな劇的な人生を送ることになるのだろうか。


成虫となり、美しい羽を持った蝶になった姿よりも、私はそこに至るまでの過程と変化に魅力を感じる。

そして全くの静の中にいるサナギの姿の中に、永遠に飽きることのない可能性という神秘を感じるのである。







 何かが終わりに近づく時、きまっていつも物事が急に動き出し始める。


今まで何もなかったところから、なにも起きなかったところで、

想像を超えるような出来事が物凄いスピードで起こり始めるのだ。



いつもそうだった。



 夏になったら帰らなきゃいけない。帰国日までもう1ヶ月も残っていない。

そんな時期だった。

彼らに出会ったのは。


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