第2話 家庭崩壊?女子高生式神使い現る(2)
「へぇ~ここが高校ってやつか!性格の悪そうな奴らばっかりだな!」
学校にグラ太郎の姿が見えている生徒はどうやらいないようだった。
ただ一つ、通学中に明らかにグラスターをガン見している子供が一人いたのがすごく気になったが……
「それでVモンの気配はあったか?」
「うーん。特定はできねぇがかすかな匂いは残ってはいるな?」
「Vモンと接触のあった人間がいるってことか……」
「普通に生活してれば多少接触すんじゃね?憑魔に憑かれている人間なら分かんだけどな~」
Vモンには大きく分けて3種類いる
無邪鬼のように直接的に人を襲う殺魔、人や物に取り憑く憑魔、環境や空間に作用する生魔だ。
ちなみにグラスターはVモンを消し去るという特性から生魔に区分されると思われる……
「少なくとも校内に憑魔に憑かれている人間はいないってことだな?」
「今のところはな……」
キーンコーンカーンコーン
授業が終わると同時に話したこともないようなクラスメイトがこちらにやってきた……
「ね、ねぇ寺川くん。」
彼は確かオカルト研究会の関くん。
ってことは、またかVモン絡みか……
「最初に言っとくが俺はオタクじゃないしVモンが好きなわけでもない。
ただ、暇つぶしに得意の作文の腕試しをしていた時期があっただけだ。」
「そ、そうなんだ。僕は寺川くんの……ソール先生の作品を読んでVモンを好きになったから……」
てか、ソールってペンネームそんなに独り歩きしてたのか?
ペンネームは割とコロコロ変えてきたからピンポイントでその名前出てくると普通に恥ずかしいんだが。
「幻滅したか?」
「ううん!寧ろイメージ通りだったよ!だから、その……」
イメージ通りってどういう意味だ……
それにしても関くんはVモンに詳しそうだな?
彼ならもしかしたらなにか知っているかもしれない。
「関はこの前の刑事が言っていた事件についてなにか心当たりはないか?」
「えっと……。一つは忘れちゃったけど、もう一つは多分ドメポラだと思う……」
ドメポラ……。すまん、あまり覚えてない。
「ドメポラってあのアンテナのやつか?あんなの俺でも忘れかけてたのに……」
「ソール先生は活動期間が短くて作品数が少なかったからファンの間では全作品が名作って言われているんだよ!」
「そのソール先生ってやめてくれないか?」
「ご、ごめん。」
キーンコーンカーンコーン!
次の授業の予鈴が鳴った……
「教えてくれてありがとな!」
俺がそう言って手を振ると関くんは少し嬉しそうに駆け足で自分の席に戻っていった。
「次の獲物が決まったな?そのドメポラって奴は一体どんなVモンなんだ?」
「うーん……。あんまり覚えてないから家帰ったら調べてみるよ」
「自分のテラーに覚えられてないなんて……。少しそいつに同情するぜ。」
そして放課後、俺はパソコンの片隅に残っていたドメポラのデータを確認した……