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第1話 唐突に黒歴史!Vテラーだった少年(2)


どうして世界はこんなにも理不尽なんだ……


「ほんと、しょーもねー」

日が落ちふて寝から覚めた俺の第一声だった。


あの一件の後、

俺の元にはバンドの解散と彼女の友人達から今後霙に近づくなという内容メッセージが届いた。


中学に上がるとわんぱくだった周りの友達は皆一気に大人びた

周りの評価を気にして夢も目標も無いのにただ勉強に励み

異性からの視線を気にして無駄に色気付き今までのように自由にはしゃぐこともなくなった。

そして、その変化について行かず行けずだった自由で合理的な人間から社会からはみ出していく……

そうやって皆大人になっていき、型にはまった中で優れた人間のみがカーストの上位の座を手に入れる。


本当にバカバカしい

当時の俺はそう思いくだらない社会の縮図から離脱した

……それは都合の良すぎる表現か?

そう思ったから自分の本気で高校デビューをしてみたんだ

実際に社会なんてチョロかった。

やはり、俺が正しかったんだ……


「って、分かったし。まぁ、収穫はあったかな……」


不登校の時期はネットに入り浸った。

ゲームやSNSで知り合った大人たちの多くはニートだったが、彼らは皆そこらの人よりも賢くて気が合う大人たちだった。

彼らも当時、俺と同じように考えこの理不尽な社会を否定していたという

だけど皆それを後悔していた。そして口々にこう言った……

『その非合理的で理不尽な社会は人間の習性と歴史が作り出した尊き文化だ

それを理解し受け入れられる人間こそが最も賢く合理的であるのだ』……と。


俺だって今はそう思っている。

「頑張ってみた結果がこれか……。まさかあんな黒歴史のせいで全部台無しになるなんてな。」


『バーチャルモンスターズ』

通称Vモンは、パブリックドメインの投稿サイトとして俺が不登校時代に設立したものだ。

内容は現代風の都市伝説。時代と共に信仰を失った神話や妖怪といった存在を新たに生み出すといったコンセプトで始めたこのサイトは一時オタクたちの間でプチブームを起こしたのだが、それが原因となりコンセプトから外れてしまったという理由で現在は投稿サイトを閉鎖している。

だが、どうやらそのころ有名だったVモンの話は本当に現在の都市伝説と化して由来を知らない子供を中心に社会に浸透しているとか……


それにしても俺の順風満帆なリア充ライフがまさかあんなバカバカしい理由で台無しになるなんて

どう考えてもVモンが実際に現れたとかそんな馬鹿なことがあるわけないだろ……


「てか、なんで無邪鬼なんだよ。俺が書いたもんにしろもっと有名なのが沢山あるだろ。」


でも、もしそれが本当だとしたら

それを仮定として解決策を講じてみるのも良いかもしれない……


天井を眺める


…… ……。


「……久しぶりに書いてみるか。」


――埃の被ったパソコンを起動する。


カタカタカタ……


テーマはバーチャルモンスターを存在ごと喰う強欲で暴食なバーチャルモンスター。

「名前はそうだな……。」

ハムスターの名前の由来には強欲や溜め込むといった意味があると聞いたことがあるから……


「暴食のハムスターで……グラトニー……ハムスター……」


そうだ!

「グラスター!グラスターにしよう!」


カタカタカタ…… カタカタカタ……


「出来た。」

って、こんな事をしてもなにも起こるわけが……


ビリビリビリ

「な、何だ!?」


パソコンが激しく点滅しだす


ビビビビビーーーッ!


そして、家が停電した……。


「な、何だったんだ……」

「何だったんだじゃねぇよ!お前がオレを語ったんだろぉ?」


幻聴か?真っ暗な俺の部屋の中から声が聞こえたような気がした。


「冷てぇじゃねぇかマイテラー!」


パチッ……

電気が元に戻る


…… ……


母さんがブレーカーを上げたのだろう。


…… ……


よーし晩ごはんにするか!結構寝ちゃってたし冷めちゃってるだろうな~


…… ……


今日はあまり良い日じゃなかった!明日はもーっと良い日になるよね!

「って無視すんじゃねえ!さっきから何度もチラチラと目を合わせやがって!コミュ障かよ!」


喋るハムスターに話しかけられている。

どうやら俺はまだ夢の中のよ……


ガジッ!


「痛ってぇ!なにすんだ!」

「やっと認めたかマイテラー!」

「ふざけるなバカバカしい。あいにく俺はこんな非現実的な事を信じられない程に賢いんでね。」

「じゃあなんでVテラーなんてやってんだよ?」

「ファンタジーってのはけして現実とは混じらないから面白いし憧れるもんなんだよ」

「じゃあもう楽しむことはできなくなったな!」


…… ……


「お前は一体何なんだ?」

「オレ様はグラスター!」


俺のイメージしたグラスターはもっと強そうなVモンだったんだが……


「なるほど。」

「信じられないって顔してるな?良いだろう着いてこい……」

そう言うとグラスターは窓から飛び出し外へと出た……。


“これは夢だ”



――俺はそう確信すると、上着を羽織り玄関を飛び出した。


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