第1話 唐突に黒歴史!Vテラーだった少年(1)
新連載です。
全24話で想定しています。
前回の反省を活かして今回は話数にパートを振っていこうと思います。
今回は初回更新ということで1話全4パート+おまけパートを書いてきました。
今年中の完結を目指して更新していこうと思うのでよろしくおねがいします!
神話や妖怪といったものが信仰からコンテンツへと変わったのは一体いつからなのだろう……
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バーチャルモンスターズ -現実と非現実の境界-
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キーンコーンカーンコーン
「じゃあな太陽!」
「おう!また明日!」
「おや?珍しい、今日は一人かい?」
「いや、霙が日直で職員室に日誌出しに行ってるから待ってるとこ」
「相変わらずお熱いこった!」
「そりゃあな!」
「寺川くん。ごめんね、待たせちゃって……」
「いや、全然待ってないよ。」
「あー。お邪魔なようなので私はこれで失礼しまーす」
俺の名前は寺川 太陽。どこにでも居る普通の高校1年生だ!
成績は学年でも上位で得意教科の現代文に関しては常に1位をキープ!
部活は軽音楽部で、若干1年生にして校内No.1人気を誇る期待のバンドで作詞ボーカルを務めてる。
そんなもんだからスクールカースト最上位でクラスの中心、最近は超絶かわいい彼女まで出来たんだ!
まぁ、普通と言うには順風満帆過ぎる勝ち組リア充だけどな!
「ごめんね?お話中だったのに……」
「良いんだ、あれは話に入らないから。」
「ふふっ♪」
「じゃあ帰ろうか!」
この日もいつも通り、彼女の霙と楽しく下校!のハズだったのだが……
「おまわりさん困ります!」
「違う!ちゃんと刑事さんと呼んでくれ!」
なんだか校門の辺りが騒がしい。
「なんだろうね。みんな校門のとこに集まってるけど……」
「さぁ?刑事って聞こえたしなんかあったのかもしれないな。野次馬とか面倒くさいし裏門から……」
俺がそう言いかけた時、一人の生徒が俺達に気づいたと思った次の瞬間
「あ!いたぞ!寺川太陽だ!」
何故か大声で俺の名前を叫び指をさしてきたと思うと多くの生徒の視線がこちらに集まった。
「……え、なに?」
「君が寺川太陽くんかーー!!」
「ちょっと刑事さん困りますって!警察呼びますよ!」
「私が警察だーー!!」
なぜかその声の大きい刑事が俺の方に向かって来た。
もちろん俺には警察のお世話になるようなことをした心当たりがない
今はこの注目のされた状況に怯えている霙を避難させてあげるのが最優先だろう。
「寺川くん……。」
「きっと人違いかなんかだろうから大丈夫。ここは目立つから霙は向こうで待ってて貰ってもいいかな?」
俺がそう言うと霙はコクリと頷き心配そうに一度振り向いてから生徒達の視線の外へと離れていった……
「いやー!悪いね!学校まで押しかけてしまって。それだけ重要な事件の捜査中なんだ!」
どう見ても悪いと思ってる態度じゃないだろ。
普通の高校生の俺にはこの生徒たちの視線は色々と痛すぎるんだが……
「お疲れ様です。それで、僕に何か用ですか?悪いことした覚えも無いですし人違いってことは……」
「そうだった!まだ自己紹介していなかった!私は怪奇犯罪対策室の春日 弘道巡査部長であります!」
このKYでバカそうなお兄さんが本当に刑事なのか。しかもエリート……
というか怪奇犯罪対策室ってなんだ?
KY刑事は自己紹介を済ますとその捜査中の事件について一方的に語り始めた。
……話を要約すると
どうやらこの刑事が追っている事件というのは最近ネットで噂の怪奇事件の数々
刑事の話を聞く限り、噂の域だと思っていたその事件はどうやら実際に起っているらしい……
「……とまぁ、こういった事件の捜査をしている中で、私はそれらの事件の中にいくつか昔聞いたことの有る作り話と一致する事件を見つけた!」
「は、はぁ。それで、それと僕とに一体どんな関係が……」
「この中の2つの事件は君が昔投稿したVモンの話とそっくりなんだ!」
最悪だ。
ザワザワ ザワザワ……
「Vモンってあれだよね?なんかオタクが妄想のキャラクター作ってネットに投稿してイキるやつ」
「え、寺川くんってオタクだったの?やだー!」「そう言えばあいつと同中の奴が元不登校って話してたな」
「あいつめっちゃイタい奴だったのか」「えー。カッコいいと思ってたのにキモオタとか残念」
「そう言えば寺川のバンドの歌詞って厨二病っぽいよな……」
ザワザワ ザワザワ……
「いやー。あの第一世代のVテラーの一人がまさかこんなに若い子だと思わなかったよ!
もう三年前だろ?ってことはまだ中学生1年生だったってことだよね?凄いな~
私も伝説のテラーVリヴァイアサンのブーム以降人気Vテラー目指して何度も投稿していたんだけど……」
何故話を続けられるんだ?
このKY刑事は今俺が置かれている状況が理解できていないのか?
「やめてください……」
「おっと!すまんすまん。私はVモンが大好きなもんでな!リヴァイアサンも勿論好きだけどその前に第一世代のVモン像の基盤となった作品が大好きなんだ!だからVモンが閉鎖した時はとてもショックで……」
周りの視線が痛い。
俺はとにかくこの状況からいち早く逃げ出したかった……
「やめてください。彼女を待たせているんです。」
「……そうだったな。それで今回の内の一つ目の事件というのは君の過去に投稿したVモン『無邪鬼』が実際に現れて子供を襲っているといった事件だ。」
「そんな馬鹿な話の為にわざわざ学校まで来たっていうんですか?ふざけないで下さい!」
「馬鹿な話なんかじゃない!実際に被害者が……」
「帰ります。もう僕に関わらないで下さい。」
「ちょっと寺川くん!いや、Vテラーのソール!」
ソールだ?そんな名前で俺を呼ぶな。
こいつは俺の人生をどうしてくれるつもりなんだ?
「刑事さん!これ以上学校に迷惑かけるなら本当に通報しますよ!ここは私がなんとかするので、君は早く帰りなさい?」
「警備員さん。ありがとうございます。」
警備員さんに助けられ俺はいち早くこの場から離れるべく霙の元へ向かう。
ひそひそ……
「うわぁ。オタクがこっち来る。」「オタクが伝染るわ~」
クラスメイトの女子から心無い言葉が投げかけられる
「ごめん。霙……」
「寺川く……」
「あんたキモオタの癖に霙に近づいてんじゃないわよ。」
「今まで霙を騙してたのね!最低!」
「行きましょう霙!」
「あ、寺川く……」
――こうして、俺の勝ち組リア充高校生ライフは幕が