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過去に戻る時がある。現実に戻される時もある。
今の私、どう見えてるの?
20年で成長した?
私のいない20年ってどうだった?
「孝一は変わってないから直ぐ気付いた。」
甲斐はそう言って孝一の顔を見た。
目尻のシワがあり前髪にほんのり白髪が見える。
銀縁眼鏡の奥の目は20年前と変わらずギラギラしていた。
笑うと広角が上がり目がクシャとなるのも20年前と変わらなかった。
すると孝一が何かを思い出したかのように。
「甲斐!ごめん!打ち合わせの時間に間に合わなくなる!行くね!」
そう言って慌ただしく車にかけ乗り車内から小さく手を振った。
甲斐も小さく手を振り返した。
孝一の車が見えなくなると甲斐も車に乗り込みバックミラーで自分の顔を見た。
「はぁ~。20年か・・」
「頑張ろう!」
そう呟いて車を動かし帰路についた。