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ふたつ名の令嬢と龍の託宣【なろう版】  作者: 古堂素央
第6章 嘘つきな騎士と破られた託宣

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第7話 星読みの神殿

【前回のあらすじ】

 公爵夫人としての生活が板についていく中、ジークヴァルトとの夜の営みに頭を悩ませるリーゼロッテ。突拍子もない行動を阻止するために、ジークヴァルトの観察日記をつけることにして。

 そんな時に呼ばれた王妃の離宮で、臨月を迎えたアンネマリーと久々に再開。悩みの相談に乗ってくれたアンネマリーに、閨の指南書とともに媚薬の小瓶を渡されます。

 思いがけず媚薬を口にしてしまったリーゼロッテは、夜の主導権を握ろうと熱に浮かされるままジークヴァルトに迫ります。結局は形勢逆転されて、いつも以上に甘い夜を過ごすふたり。

 その頃、王城奥に幽閉された神官マルコは、ひとり不安な朝を迎えているのでした。

 目の前に立つ騎士服姿の(おい)に、イジドーラは目を細めた。小さかったあのカイが、いつの間にかこんなにも立派になったものだ。


「今回は長くかかりそうなのね」

「この天候ですし、ティビシス神殿は国のはずれにありますからね。それに王都を出たついでに、あちこち回ってこようと思うので」

「そう……」

「白の夜会までには戻りますから。今年は令嬢姿になる必要はないんですよね?」

「ええ、残念だけれど」


 口惜しく言ったイジドーラを見て、カイは小さく笑う。その表情(かお)は幼いころの面影を残したままだ。


「もうそろそろ諦めません? オレもそれなりに背が伸びましたし、最近カロリーネの声も出しづらくって」

「あら、まだまだいけるわよ。話さなければどうとでもなるわ」

「では必要に応じて、イジドーラ様の仰せのままに」


 大仰に、カイはゆっくりと腰を折った。


「じゃあ行ってきます。大雪にならないこと、どうか祈っててください」


 琥珀の瞳が遥かを見やる。心はすでに遠い任務の地にあるのだろう。


 ――これが今生(こんじょう)の別れになるかもしれない

 そのつもりで、イジドーラはいつもカイを送り出す。


「戻ったらすぐに顔をお見せなさい。ティビシス神殿の話もそのときに聞きたいわ」

「はい、いちばんに報告に上がります」


 それでもふたりは、次の約束を交わし合う。いつか果たされなくなる時が、必ず来ると知りながら。


 静かに閉められた扉を、長い時間イジドーラはひとり見つめていた。失意のうちに亡くなった姉の顔が、その脳裏にふとよぎる。


 ティビシス神殿はベアトリーセが熱心に通っていた神殿だ。敬虔(けいけん)で、あれだけ慈悲深かった姉が、カイに与えた傷はあまりにも深すぎる。


「龍の託宣……」


 すべての始まりはそれに尽きた。いまだ続く理不尽な悲劇は、青龍の手で定められたのだから。だがどうしてこれが、国の泰平へと結びつくというのか。


 口には出せない問答が、今日もまた胸の内で繰り返される。


 再びこの手でカイを抱きしめる日が、何事もなくやってくることを、イジドーラはただ願った。


     ◇

 初雪が舞ったあとすぐに、ジークヴァルトはリーゼロッテと共に小旅行に出た。夕べはダーミッシュ伯爵家に一泊し、さらに北の山あいにある古びた神殿へと、これから馬車で向かうところだ。


 その地でリーゼロッテと式を挙げ、婚姻の披露を行うように。アンネマリー王妃の突然の命令に、公爵家当主として逆らうことはできなかった。


 神殿などに二度と関わりを持たせたくない。余計なことをと思いつつ、どうにかこうにか調整をつけ、ようやく出発にまでこじつけた。


 シネヴァの森で神事を終え、夫婦となって数か月は経つ。リーゼロッテとの婚姻は社交界で既に周知のことだ。

 形骸化した神殿での式など、欲深い神官どもが貴族から金を巻き上げるための口実でしかない。今さら披露目の婚儀を行う意味など、ジークヴァルトは何ひとつ見いだせなかった。


「ヴァルト様、ご覧くださいませ! あの建物がティビシス神殿でしょうか!?」


 膝の上、揺れる馬車の窓に張り付きながら、リーゼロッテが瞳を輝かせる。山脈の岩肌に、石造りの建物が垣間見えた。


 ティビシス神殿は女神が(まつ)られた数少ない神殿だ。

 王都にあるビエルサール神殿よりも歴史が古く、記録ではこの国最古の神殿とも言われている。青龍信仰が主となる世間では、女神神殿は忘れ去られた存在となっていた。


「あの神殿には女性の神官様がいらっしゃると聞きましたわ。建物は思っていたよりずっと大きいみたい! ヴァルト様、覚えていらっしゃいますか? 本神殿でのアンネマリーの婚儀は、(おごそ)かで夢のように美しかったですわよね。わたくし今思い出しただけでも胸が熱くなってしまって。あ! あの坂を登ればもう神殿でしょうか!? 近くで見ると本当に立派な建物だわ。ああ、早く着かないかしら……!」


 頬を上気させ、リーゼロッテは支離滅裂にしゃべり続ける。出かけるときは多かれ少なかれそんな感じだが、今日はいつも以上にそわそわと始終落ち着かないでいた。


 その様子にジークヴァルトははたと気づく。もしかしたらリーゼロッテは、神殿での婚儀を以前から望んでいたのではないのかと。


「……神殿で式が挙げられるのがそんなにうれしいのか?」

「はい、とても! だってあの日のアンネマリーはみなに祝福されてとてもしあわせそうでしたもの。わたくしずっとアンネマリーが羨ましくて……」

「どうして早くそれを言わなかった」

「だって、わたくしとヴァルト様では、異形たちを騒がせてしまいますでしょう?」


 だから諦めていたのだと、リーゼロッテは静かに微笑んだ。ぎゅっと眉根を寄せて、ジークヴァルトはやわらかい頬に指を滑らせる。


「そういうことは我慢などせず素直に言え」

「ジークヴァルト様は毎日お忙しくしてるのに、そんな我が儘、わたくし言えませんわ」


 唇を尖らせるリーゼロッテが愛おしくて仕方がない。


「ですがティビシス神殿は完全な聖域で、異形の者がまったくいないと聞きました。安心してお式が挙げられるなんて、本当にアンネマリーには感謝ですわ!」


 その上アンネマリー王妃は、護衛として王城騎士まで派遣すると言ってきた。しあわせそうな顔を向けられて、ジークヴァルトの胸がずきりと痛む。リーゼロッテを笑顔にするのは、この己であるべきなのに。


 誰よりも近い自分が、誰よりも彼女を理解していたい。心からそう願うのに、リーゼロッテが望むものを少しも分かってやれないでいる。そのことがたまらなくもどかしい。


「我が儘でもいい。思っていることをオレには隠さず話せ」

「こうしてヴァルト様といられるだけで、わたくしとってもしあわせですわ」


 はにかみながら頬を染める姿に、胸が押しつぶされそうになった。夫婦となった今も、リーゼロッテを求める心は際限なく膨らんでいく。


 永遠に閉じ込めて、誰の目にも触れさせたくない。欲しいのは、ただ無邪気な笑顔のはずなのに――


 浅ましい本心が透けて見え、口先ばかりの自分が呪わしく思えてくる。



 指にリーゼロッテの髪を絡め、渦巻く欲望をひたすら抑えるうちに、馬車は神殿へとたどり着いた。


     ◇

 神殿の地に降り立ち、護衛を務める王城騎士の顔ぶれにリーゼロッテは目を見張った。


「アデライーデ様! 大公様まで……」


 式典用の正装をした騎士たちがずらりと並ぶ。義姉となったアデライーデに大公バルバナス、エーミールにニコラウス、いちばん奥にはカイの姿が見えた。


「アンネマリー王妃直々に護衛の(めい)を受けたのよ。リーゼロッテとジークヴァルトの婚儀だもの。任務でなくても駆けつけるに決まっているでしょう?」


 指先に忠誠の口づけを落とされて、リーゼロッテの頬がぽっと染まった。


 黒い眼帯に同色のサテンの刺繡が施されていて、それが光加減でなんとも美しく光沢を放つ。騎士服姿のアデライーデはまさに理想の男装の麗人だ。ここにいる騎士の誰よりも凛々しく思えて、つい目を奪われてしまう。


 そんなリーゼロッテの腰をさらい、ジークヴァルトが自身の胸に引き寄せた。


「もう、ホント相変わらず心の狭い男ね。そんなんじゃ早々にリーゼロッテに愛想をつかされるわよ?」


 呆れるアデライーデからふいと顔をそらすと、ジークヴァルトはバルバナスに向けて礼を取った。


「大公殿下、本日はわたしどものためにご足労いただき感謝いたします」

「礼ならアンネマリー王妃に言うんだな。まぁ、めでたい席だ。ふたりとも遠慮せず黙って祝われてろ」

「たまにはまともなこと言うじゃない。バルバナス様も随分と大人になったわね」

「あぁん? アデリー、お前オレに喧嘩売ってんのか?」

「なによ、出発前まであんなにぶつくさ言ってたくせに」

「あーもう、ふたりとも! こんなとこまで来て痴話喧嘩なんてみっともない」

「あんだと?」

「なんですって?」


 慌てて止めに入ったニコラウスが、ぎりっとふたりに睨まれる。


「うわっ、めっちゃとばっちり! エーミール様もなんとか言ってくださいよぉ」

「知るか。自業自得だろう」

「そんなっ! オレ、孤立無援っすか!?」

「はは、ブラル殿は相変わらずたのしそうにやってるね」

「デルプフェルト様までっ」


 涙目のニコラウスを無視して、カイはジークヴァルトとリーゼロッテに笑顔を向けた。


「主役のおふたりはこれから準備に入られるんでしょう? オレも末席ながら式に参加させていただきます。さぁ、早くしないと。ダーミッシュ伯爵たちも今か今かと待っていますよ」


 カイのひと声で、急ぎ婚儀の支度に取り掛かった。


     ◇

「お綺麗です、リーゼロッテ様」

「ありがとう、エラ」


 控えの部屋で姿見に映った自分の姿を見つめた。森の神事の衣装と違って、今日は思い描いていたようなウェディングドレスだ。


「本当にお綺麗です……」


 涙声のエラにつられて瞳が潤む。泣いては化粧が崩れてしまうと、リーゼロッテはなんとか涙を押しとどめた。


「エラも大事な時期なのに、長距離を移動させてごめんなさい」

「そのようにおっしゃらないでください。リーゼロッテ様の晴れの舞台に、このエラがおそばにいなくてどうすると言うのでしょう」


 メイク道具をフルで持参して、エラは完璧に化粧を施してくれた。長年リーゼロッテに仕えてきたエラだ。自分でも目を奪われてしまうほど、リーゼロッテは美しい花嫁姿となっていた。


「そろそろ準備はできたかしら?」


 ノックとともにクリスタがやってくる。その後ろにいたのはジークヴァルトの母ディートリンデだ。振り向いたリーゼロッテの姿に、ふたりは同時に感嘆のため息を漏らした。


「綺麗よ、リーゼロッテ……本当に立派になって……」

「クリスタお義母様……」


 涙ぐむクリスタを前に、リーゼロッテはまた泣きそうになってしまった。血のつながりはないとは言え、クリスタはリーゼロッテにとって本当の母親だ。


「ジークヴァルトにはもったいないくらいの花嫁ね。そのドレスもとても似合ってる。今のあなたをご覧になったら、マルグリット様もきっとおよろこびになると思うわ」

「ありがとうございます、ディートリンデ様」


 この身に纏う花嫁衣装は、フーゲンベルク公爵夫人となる者が代々大切に受け継いできたものだ。そのドレスに袖を通せたことを、リーゼロッテは誇らしく思った。


「リーゼロッテお姉様、素敵! とっても綺麗よ……!」


 ドレスをたくし上げて飛び込んできた未来の妹を、リーゼロッテは笑顔で迎え入れた。飛びつきそうになったところを、ツェツィーリアは寸でで踏みとどまった。


「ありがとうございます、ツェツィーリア様」

「もうっ、ツェツィーでいいわ。お姉様は公爵夫人になったのだし、わたくしに敬語なんて使わないで」

「そうね、ツェツィーはもうわたくしの妹だものね」


 義弟のルカも式に参列する予定だ。可愛らしく着飾った婚約者に会えて、きっとよろこんでいることだろう。


「まぁ! リーゼロッテ様、なんて美しい花嫁なのかしら……! ね、ルチア様もそうお思いになるでしょう?」

「はい、とても……」


 次にやってきたのはヤスミンとルチアだった。急な招待にもかかわらず、ふたりとも快く出席の返事をくれた。移動の馬車はフーゲンベルク家で用意したが、今日に合わせて華やかな装いをしてくれている。


「ヤスミン様、ルチア様……わたくしたちのために遠路はるばる来てくださって、本当にありがとうございます」

「ふふ、妖精姫のお式とあっては駆け付けないわけには参りませんわ。それにアンネマリー王妃殿下から、リーゼロッテ様の晴れ姿をしっかり見てくるよう仰せつかっておりますのよ」

「もしかしてヤスミン様が王妃殿下に式のことを……?」

「リーゼロッテ様がお式ができなくて残念そうにしてらしたと、確かにわたくしがそうお伝えしましたわ。でも今日のこの場をお決めになったのは、アンネマリー様ですから」


 いたずらな笑みを向けるヤスミンに、リーゼロッテは胸が熱くなった。こんなにも自分を気にかけてくれるひとたちがいる。よろこびが溢れて、またまた涙が出そうになった。


「リーゼロッテー? ねぇ準備はどう? バルバナス様がまだかまだかってうるさくって……っと、ここは随分とにぎやかね」


 騎士服姿のアデライーデがくすりとみなを見回した。そう広くない部屋で、リーゼロッテを中心に着飾った淑女たちがひしめき合っている。


「支度は済みましたので、すぐにでも参りますわ」

「今日のあなたはいつも以上に輝いてるわ……本当に綺麗よ、リーゼロッテ」

「ありがとうございます、アデライーデお姉様」

「ジークヴァルトもきっとしびれを切らしてるわね」


 新郎は祭壇前で新婦を待っているのがしきたりだ。真っ先に花嫁姿を見たいだろうに、いちばん最後まで会わせてもらえないというから皮肉なものだ。


 仕上げにと、結い上げられた髪に長いヴェールがかけられる。繊細な薄いレースを通しても、蜂蜜色の髪は(つや)やかに輝いて見えた。クリスタの手でヴェールが降ろされると、リーゼロッテは非の打ちどころの無い完璧な花嫁となった。


「では行きましょう。あのひとも今頃そわそわして待っていると思うから」

「フーゴお義父様が?」

「ええ、シネヴァの森での婚姻の神事に参加できなかったこと、ずっと残念がっていたのよ。今日この日を迎えられて、わたくしも本当にうれしいわ」


 クリスタに手を引かれ、移動した先でそのフーゴが待っていた。みなは一足先に聖堂に向かい、フーゴとふたりきりで残される。


「……本当に綺麗だ。リーゼロッテはもう公爵家の方になったが、今日だけはまだお前の父親でいさせてくれるかい?」

「もちろんですわ、フーゴお義父様」


 貴族階級の中で生きていくには、身分を無視することなどできはしない。だがそれは(おおやけ)の場だけのことだ。


「これからもずっと、お義父様の娘でいさせてくださいませ」

「リーゼロッテ……父親として今この手を引けることが、わたしは本当に誇らしいよ」


 言葉を詰まらせながら、フーゴの瞳に涙がにじむ。それにつられて、リーゼロッテも本格的に涙が溢れ出そうになった。


「泣いては駄目ですわね。お義父様も……これ以上みな様をお待たせしてはいけませんわ」

「ああ、そうだな。なんだかリーゼロッテの白の夜会のときを思い出すよ。だが社交界デビューで緊張していたリーゼと、今のわたしが立場逆転してしまっているな」


 いまだ泣きだしそうな顔で、フーゴが肘を差し出してくる。そこにそっと手を添えて、ふたりは扉の前に並び立った。


 押し開かれた扉をくぐり、父と共にステンドグラスが(いろ)を落とすバージンロードを渡る。肌寒い聖堂は思った以上に広く、また天井が果てしなく高かった。見上げた祭壇には瞳を閉じた女神像が(まつ)られ、慈愛の表情で広げた両の手のひらを軽くこちらに向けている。


 左右に置かれた長椅子には、多くはない参列者が。進む先、祭壇前に女性神官が立ち、すぐ脇で正装をしたジークヴァルトがひとり(たたず)んでいた。


 その頭上で守護者(ジークハルト)が浮いている。リーゼロッテと目が合うと、ひらひらと手を振ってきた。反応することもできずに瞳を伏せると、ジークハルトは楽しげにすいと上に昇っていった。


 泳ぐように天井付近を旋回し、事もあろうにジークハルトは女神像の唇にちゅっとキスをひとつ落とした。出そうになった声を何とか押さえて、リーゼロッテは前方に意識を戻す。


 一歩一歩を踏みしめて、リーゼロッテはジークヴァルトの元へと目指した。振り返った青の瞳を、真っすぐに見つめ返す。

 誰よりも、この姿をよろこんでもらいたかった。それなのにジークヴァルトは、一瞬だけ苦しげに目を細めた。リーゼロッテでなかったら、誰もが見逃してしまいそうなわずかな変化だ。


 夫婦となった今も、ジークヴァルトは時折あんな顔をする。心の奥が見えなくて、リーゼロッテの胸のうち、不安の火が小さく灯った。守られるだけで、自分はいまだ頼りのない存在だ。


 そんな思いも式の流れに消えていく。たどり着いた祭壇で、フーゴからジークヴァルトの手に引き渡される。並び立ったふたりを見て、司祭を務める女性神官がやさしげに微笑んだ。


 経典を開き、まずは祀られた女神に祝詞(のりと)をあげていく。女神を(たた)える言葉に続き、誓約の祝詞が聖堂の中、朗々と響いた。

 結婚式といえ、似たような手順はあっても、作法はこの国独特のものだ。市井(しせい)で一般的な指輪の交換も、式の最中には行わない。永遠の愛を誓い合うしるしに、神前で口づけを交わすことだけは同様の風習となっていた。


「女神シイラはあなた方の婚姻を祝福します。ふたりを死が分かつまで、この絆が固く守られ、シイラの加護がたゆみなくあらんことを」


 ジークヴァルトと死に分かつなど、言葉にしただけで胸が張り裂けそうだ。決まり文句だとは分かっているが、リーゼロッテは潤んだ瞳で横に立つジークヴァルトを見上げた。


 ヴェールを持ち上げられ、包み込むように両肩に大きな手が乗せられる。前かがみになったジークヴァルトの顔が、ゆっくりと近づいてきた。無防備な唇を捧げるように、軽く上向いたままリーゼロッテはそっと瞳を閉じた。


 やさしく、触れるだけのキスに、参列者の歓声があちこちから湧き上がる。みなの前での口づけに、我に返った頬が一瞬で色づいた。


 そんなリーゼロッテを隠すように、ジークヴァルトが無作法に抱き寄せる。崩れるバランスの中、あっという間に抱き上げられた。

 抗議の言葉は、はやし立てる声に掻き消されてしまった。ジークヴァルトの腕の中で、フラワーシャワーが降り注ぐ聖堂を、リーゼロッテはぐるりと見回した。


 祝福に包まれて、ただしあわせを嚙みしめる。森の神事では味わえなかった至福が、この胸をどこまでも満たしていった。


 この日を生涯忘れることはない。瞳に焼きつけようと思った風景は、(こら)えきれない涙であっという間にぼやけたのだった。


     ◇

 最後尾の列から、カイは寒々しい聖堂の様子を見守っていた。

 ここにいるすべての者の視線が、リーゼロッテへと注がれている。カイが冷めた表情をしていても、誰も気に留めることはないだろう。


 その過程がどうであれ、対の託宣を受けた者が進む先に待つのは、約束された安寧(あんねい)だ。それはあのハインリヒにしてもそうだった。苦悩の果てに龍が与えるのは、輝ける未来と充足の日々だ。


 高揚した様子の参列者の中で、ひとりうつむき加減でいるルチアが見えた。着飾った淑女の誰よりも、カイの目にはルチアの赤毛が鮮やかに映る。


 ルチアがブルーメ子爵家に迎え入れられてから、一年以上が経過していた。母親から教え込まれた作法のおかげか、思いのほかルチアはこの場に溶け込んでいる。だが彼女自身は、いまだ貴族社会に馴染めきれていないようだ。


 ジークヴァルトが花嫁に口づけた瞬間、静まり返っていた参列席から感嘆の声が溢れかえった。あのルチアでさえも、紅潮した頬を祭壇へと向けている。


 絵に描いたようなしあわせな場面だ。自分にもあんな日が来ることを、疑いもせずルチアは夢見ているのだろうか。


(ルチアはいずれ、異形の者に殺される)


 その日は確実にやってくる。龍の託宣によって定められた、誰にも(はば)むことのできない、ルチアが迎える無慈悲な結末だ。


 ハインリヒは最期まで、ルチアに託宣の存在を知らせる気はないでいるらしい。むしろその方がいい。いつ来るかも知れない死に(おび)えて生きるより、泡沫(うたかた)の夢を見続けている方が何倍もマシと言うものだ。


(聖女の力が――)


 感極まったリーゼロッテの体から、緑の力があふれ出る。制御の利かなかった昔と違って、それはさざ波のように流れていった。聖堂の壁までたどり着くと、(きら)めきながら穏やかに吸い込まれていく。


 壁伝いに何かが走ったのを感じて、カイはそれを目で追った。開けられたままの通用口から、薄暗い廊下が垣間見える。

 模様を描きながら、緑の筋が暗がりの奥へと消えていく。音を立てず、カイは聖堂の席をそっと離れた。


 まっすぐに伸びた廊下の遠く、不規則な軌道で緑の輝きが壁伝いを流れていく。やっとの思いで追いつくと、その光は壁の模様をなぞりながら進んでいることが見て取れた。


(古代文字か……?)


 目で追う光は速く、すぐに消えゆく文字は所々も読み取れない。それでも繰り返される文言(もんごん)があって、カイは意味を探して呟いた。


「女神……シイラ……に、祝福と、最も高い喜びを……」


 ティビシスは女神シイラを(まつ)る神殿だ。(いにしえ)の時代に、シイラはこの地に封印されたとの伝承が残っている。廊下に刻まれた古代文字は、その存在を(たた)(しず)めるための言霊(ことだま)のようだ。すべてを読み解けはしないが、大まかにでもそれは理解できた。


(でもなぜ聖女の力に反応を……?)


 駆け抜ける緑に追いつけなくなって、カイは途中で足を止めた。乱れた息を整えながら、壁の模様に指を這わせる。


 青龍には関わりのない神殿だとしても、こんなことでもなければ入り込めない場所だ。国内最古の建造物でもあるし、託宣にまつわる見聞(けんぶん)が何がしか得られるかもしれなかった。


 カイは各地を回り、いまだ龍の託宣の情報を集めていた。それでもここ二年の間、目新しい見地(けんち)は得られていない。


 ジークヴァルトとリーゼロッテが婚姻を結んだ今、降りた託宣のうち、果たされていないものは残り三つとなった。そのうちのひとつが、カイの(たまわ)った託宣だ。


 託宣を(はば)もうとする者は、龍の手により死が与えられ、やがて禁忌(きんき)の異形となり果てる。それは「星を堕とす者」と呼ばれ、誰からも忌避(きひ)される存在だ。

 そんな異形の者になるという不可解な託宣を、カイは龍から授かった。


 ラスの名を受け、星に堕ちる宿命(さだめ)を持つ者として、生まれながらに罪を背負わされたという訳だ。


 ふたつ目はルチアに降りた託宣だった。ルチアは王族の血を引きながら、カイと同じく過去に例を見ない、過酷な託宣を受けた哀れな少女だ。


 いずれ異形に殺されるルチア。やがて星に堕ちるカイ。


 何かとルチアを気にかけてしまうのも、同類を憐れむ気持ちからなのだろうと、カイは自嘲気味に(わら)った。


(そして、あとひとつ……)


 見つからないままの託宣が存在していた。神殿の書庫に記録は残るものの、該当者が行方不明となっている託宣だ。


(――オーンの名を受けし、星に堕とす者)

 この二年、カイは国中を探し回っていた。ラスの対となるべく生まれた、その人物を。


 自分と対になる託宣を受けた者がいる。カイを星に堕とすためだけに、龍が用意した存在が――


 本神殿にある託宣の書庫で見つけた情報だった。ハインリヒの託宣の相手を探していた時に、カイはこの事実を偶然知った。いや、むしろ知らされたと言うべきだろうか。偶然と片づけるには、今思うとあまりにも都合がよすぎる状況だった。


 龍の手のひらの上で、すべては順調に進んでいるのだろう。目隠しで歩まされる人間たちは、ただそれに翻弄されるしかない。


 そんな中でも降りる託宣のほとんどは、婚姻の(つがい)を定めたものだ。それなのに自分に与えられた託宣は、なぜこうも理不尽なのか。


 新たな手掛かりを探して、壁に刻まれた文字に指を滑らせる。そこにひとつの模様を見つけ、カイは無意識につぶやいた。


「これはラウエンシュタイン公爵家の……」


 星と塔を(かたど)ったリーゼロッテの生家の紋章だ。見渡すと、それは一定間隔で壁に施されているようだった。


「あの光の筋は……聖女というより、ラウエンシュタインの力に反応していたのか……?」

「元々ここはラウエンシュタイン所縁(ゆかり)の土地。星読みの帰参に歓喜しておるのじゃろう」


 気配なく放たれた声に、条件反射で距離を取った。帯剣を許されない神殿で、隠し持った短剣に手をかける。


「ふぉっふぉっふぉ、ここは神域。物騒な真似をするでない」


 そこにいたのは老齢の、腰の曲がった背の低い(おんな)神官(しんかん)だった。奇妙な薄っぺらい二輪の車にまたがり、しわくちゃの顔をカイに向けている。


貴女(あなた)は……」

「わしはこの神殿の古株のおばばじゃ。こんな奥まったところにまで来て、お主こそ何奴(なにやつ)じゃ」

「これは失礼を。わたしの名はカイ・デルプフェルト。アンネマリー王妃殿下の(めい)により、本日ここで行われるフーゲンベルク公爵の婚儀の警護に遣わされた王城騎士です」


 礼を取りつつも、カイは内心舌打ちをしていた。禁忌(きんき)の異形に堕ちるという託宣により、神殿からは()み嫌われている立場だ。早急にここから追い出されることを覚悟する。


「ほほう、お主がラスの託宣を受けたという……なるほど、なかなかいい(つら)構えじゃな」


 刻み込まれたしわを深め、おばばと名乗った神官はカイに好奇の目を向けた。


「あの……いいのですか?」

「何がじゃ?」

「わたしが()()と呼ばれているのはご存じなのでしょう? そんなわたしがこの場にいて、貴女は不快に思われないのですか?」

「なんじゃ、そんなこと」


 欠けた前歯を隠そうともせず、おばばは快活な笑い声を立てた。


「確かにお主は神殿界隈(かいわい)でいろいろと言われておるようじゃな。だがお主も好きで龍から託宣を賜ったわけではなかろう? それにお主の渾名(あだな)とわしの認識に、一体なんの関係があるというのじゃ」


 不服とばかりに片眉を吊り上げる。予想と違うおばばの態度に、カイは少々面食らった。これまで神殿で受けたと言えば、忌避(きひ)すべき(けが)れ扱いばかりだ。


「で、お主はこんな場所で何をしておったのじゃ?」

「それは……」


 言葉を探して、リーゼロッテの力が走っていった先を見やる。そんなカイを前に、おばばは納得したように頷いた。


「そうか、そうか。星読みの力を追ってきたという訳じゃな。ならばもっと良いものが見れるじゃろう」


 そう言って、おばばはまたがっていた二輪車のペダルに足をかけた。ぶるぶる震える手でハンドルを握り、その足をえいやと踏み出した。


「何をしておる。置いてゆくぞ」


 小刻みにぶれるハンドルさばきで進む二輪車は、カイの歩みよりも果てしなく遅かった。倒れそうで倒れない。見ている方がハラハラする運転ぶりだ。


「どうじゃ、この鉄の乗り物は。カッコええじゃろう?」

「これはフーゲンベルク家の……?」


 最近貴族の間で、フーゲンベルク製の二輪車が流行っていると聞いていた。もっぱら敷地内の移動用として、馬の代わりに使用人が使っているらしい。


「おお、よく知っておるな。公爵家が寄付してきよった最新のからくりじゃ。神殿内を素早く移動できて重宝しておる」


 自慢げに言う割には、先ほどからほとんど前進していない。この速度でなぜ倒れないのか、不思議でならないくらいだ。


「もしよろしければ、わたしが代わりに運転をしましょうか……?」


 しばらくの間、黙ってのろのろと横を歩いていたものの、恐る恐る問いかける。なんとも調子の狂う相手を前に、これまでにない戸惑いを感じるカイだった。


「そうか、なかなか気が利く男じゃな。お主、おなごにモテるじゃろう?」

「いえ、騎士として当然のことかと」

「ふぉっふぉ、謙虚な態度も気に入った! さぁ、このまま真っすぐ進むが良いぞ」


 おばばを後ろに乗せ、見よう見まねで()ぎ出した。しばらく左右に大きくぶれながら進むも、バランスを取るにはある程度のスピードが必要であることを理解する。


「おばば様、しっかりつかまっててくださいね!」

「心得た!」


 長い廊下を風を切って進む。馬とはまた違った爽快な走り心地だ。


「そこについている取っ手が車輪止めじゃ。急に使うと前につんのめるゆえ、加減に気をつけるんじゃぞ?」


 おばばにレクチャーを受けつつも、感覚で使いこなしていく。感心すべきはこの二輪車の無駄のない構造で、さすがフーゲンベルク製といったところだ。


 駆け抜けた先、途切れた廊下でいきなり空間が(ひら)けた。勢いで進んだ広間の真ん中で、ようやくふたりを乗せた二輪車は停止した。広すぎるドーム状の部屋に出て、見上げた一面の壮大な壁画(へきが)に、カイは言葉もなく魅入られる。


 天井には星空が刻まれており、壁にはぐるりと人の営みが描かれていた。それはひとつの物語のようで、カイは入り口からその壁画を辿るように見回した。


 水害、戦火、飢え、疫病。そして祈りを捧げる、目隠しをしたひとりの女性――


「孤独な龍と星読みの王女……」


 壁画に刻まれた絵物語は、この国で知られる童話を思わせる。盲目の王女が辿る、国守りのストーリーだ。王女自身が犠牲となって、青龍に救いを求めるという子供向けの話だった。


 壁画の王女はやがて龍の元へとたどり着く。花嫁となった星読みの王女は、青龍とともに国を守り続けるという結末を迎えるはずだ。


 最後の壁には、とぐろを巻いた龍の手の内で、静かに眠る王女が描かれていた。それは崇高で美しく、神の世界を切り取ったかのごとく、胸を震わす荘厳な眺めだった。


 二輪車を降り、言葉を失ったままのカイは、もう一度広間を見渡した。


 その間にも、先ほどの聖女の力が壁を走り、夜空を()す天井にまで広がってゆく。刻まれた文様をなぞりながら、迷路のように拡散していく(さま)を見上げていると、やがて光はドームの中心へと集約していった。


 ちょうど星空の真ん中で、最後に光はひと(またた)きした。かと思うと、緑の力が瞬間()ぜる。


 目のくらむような輝きに、カイは腕で顔を覆った。流星のごとく降り注ぐ緑が、全身を床へと押しつぶす。ままならない呼吸に苦悶(くもん)の汗がにじみ、圧倒的なリーゼロッテの力を受けて、カイはなす(すべ)もなく片膝をついた。


「これはまた見事じゃのう」


 のんきな声とともに、ふっと圧が軽くなる。崩れかけた体を起こし、呆然とおばばを見やった。神聖な白の輝きが、ふたりを守るように結界を作っている。


「この光景は幾度か見たが、今日ほどのものは初めてじゃな。見よ、シイラの魂があんなにも歓喜しておる」

「おばば様……これは一体……」

「元はと言えば、ここはラウエンシュタイン国の王城があった場所じゃ。星読みの力に反応するのも道理じゃろうて」

「ラウエンシュタイン国?」

「なんじゃ、知らぬのかえ? ブラオエルシュタインが国を成す以前、ラウエンシュタイン王家がこの地を治めておった。ここティビシスはラウエンシュタイン最後の王女と、犠牲になった(たみ)たちの魂を鎮めるために建てられた神殿なのじゃ」


 絶え間なく降り注ぐ緑の光は、床を跳ねては雨粒のように消えていく。結界に包まれながら、カイはしばしその光景を見上げていた。


「マルグリット様のお力も相当なものだったが、次の星読みはそのさらに上を行くのう……」


 感慨深くつぶやかれた言葉に、カイの意識が戻される。収束していく緑の雨を、しわの刻まれた小さな瞳でおばばは静かに見やっていた。


「マルグリット・ラウエンシュタイン……彼女は龍の花嫁になったと、そう聞きました」

「いかにも。星読みを継ぐ者として避けられぬ宿命じゃ。マルグリット様は毎年多額の寄付をくださってのう……あの頃は随分と贅沢(ぜいたく)な暮らしができたものじゃ」


 突然(ぞく)な話題を持ち出して、おばばは沈痛な面持(おもも)ちでため息をついた。


「ときにお主はベアトリーセ様の息子であろう? 母に見習って、わしに袖の下を包んでも良いのじゃぞ?」

「は……?」


 いきなり母親の名を出されたカイは、騎士の仮面をつけることも忘れて、あからさまな態度で顔をしかめた。


「ベアトリーセ様はマルグリット様を随分と崇拝なさっておった。マルグリット様が龍の元に行った後しばらくは、ベアトリーセ様がくれる布施(ふせ)が頼みの綱でのう」


 あの頃は本当に良かったと、おばばはもう一度大きくため息をついた。


「あいにくわたしは信仰心を持たない人間なので」

「そうかそうか。ふぉっふぉ、正直なところも気に入った」


 敵意を隠しきれないでいるカイに、おばばは調子を崩すことはなかった。飄々(ひょうひょう)とした顔で、カイのことを面白そうに見上げている。


「気に入ったついでに教えてやろう。女に振り回されるのも男の宿命じゃ。諦めて従うが良いぞ?」


 カイがいぶかしげな顔をすると、おばばは愉快そうに笑った。


「シイラはわがままな王女じゃった。龍すらそれには逆らえぬ。従うのが嫌なら、せめて星読みに(こび)を売ることじゃ」

「一体どういう……」

「ばば様! また勝手にこんなところに……!」


 駆け込んできたひとりの若い(おんな)神官に、カイは言葉を飲み込んだ。


「ああ! また補助輪(ほじょりん)もつけずに二輪車に乗って! 倒れて怪我でもしたらどうなさるんですかっ!」

「補助輪などダサくてつけていられるか。(ぬし)は本当に口うるさいのぅ」

「お歳を考えてください! さぁ、ばば様、わたしが漕ぎますから早く後ろに乗って! 騎士様もご迷惑をおかけしました」


 落ち着きなくまくし立てると、神官はまたがったペダルを踏み込んだ。


「お主もそろそろ戻るが良いぞ。式も終わる頃合いじゃろうて。では達者でな。お主の行く先に、女神の加護があらんことを」


 布施はいつでも歓迎じゃからな。最後にそんな言葉を残して、後部座席に乗せられたおばばが遠ざかる。何も聞けないまま、カイはドームの中心に取り残された。

 見上げた壁画も天井も、既に沈黙の場と化している。


「女神の加護、ね」


 冷えた瞳が遠くを見やる。神官から祝福をもらうなど、生まれてこの方一度もなかった。



 しばらく周囲を探るも、託宣にまつわる情報はないと判断したカイは、足早に式の末席へと戻ったのだった。


【次回予告】

 はーい、わたしリーゼロッテ。ティビシス神殿での式を終え、ヴァルト様と次に向かった先はなんと生家の公爵家! 足を踏み入れたラウエンシュタイン城で、蘇ったわたしの記憶とは……?

 次回、6章第8話「陸の孤城」 あわれなわたしに、チート、プリーズ!!

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