9-2
◇
「これは非常にまずいですねぇ」
リーゼロッテはあの日以来、部屋に籠りきりで姿を見せない。ツェツィーリアもべったりとくっついて、そのそばを離れようとしなかった。ジークヴァルトの呼び出しにも、なんだかんだと理由をつけられて、断られ続けてもう数日が経過していた。
「旦那様、本当にお心あたりはないんですね?」
「ない」
ふいと顔をそらすジークヴァルトを胡乱気に見やってから、マテアスは集まった面々をぐるりと見渡した。
今、執務室内にいるのは、ジークヴァルトとマテアスをはじめ、家令のエッカルト、侍女長でその妻のロミルダ、そしてジークヴァルトの父ジークフリートの従兄であるユリウスだ。
この集会の議題はただひとつ。『ジークヴァルトがリーゼロッテに嫌われちゃったかも! これはなんとかしなければならない由々しき事態、みんなで力を合わせて知恵を絞ろう会議』のはじまりだ。
「リーゼロッテ様のご様子がおかしくなったのは、いつ頃からなのですかな?」
「わたしが感じたところ、ダーミッシュ領からこちらにお戻りになられてからのように思います。それ以前も、多少落ち込んでおられる様子はございましたが」
「そうねぇ……エラ様もいらっしゃるし、わたしはあまりリーゼロッテ様のおそばにはいませんでしたから。これといって感じることはなかったですねぇ」
エッカルトの問いかけに、マテアスとロミルダが順に意見を言った。
「エマニュエル様なら、何かご存じかもしれませんねぇ」
「でも、あの娘は今子爵家のことで手一杯のようだから」
エマニュエルは子爵夫人となったが、ロミルダとエッカルトの娘だ。ダーミッシュ領に滞在していた彼女なら、重要証言が得られるかもしれない。
「そんなもの、ジークヴァルトが一言、リーゼロッテに謝れば済むんじゃないのか?」
「謝るようなことはしていない」
ユリウスの言葉に、ジークヴァルトが無表情で即座に返した。
「理由なんてそんなもんなくたっていいんだよ。女が可愛く拗ねてるときは、とりあえず男が折れとけば丸く収まるってもんさ」
「こちらが怒っている理由が分からないくせに、形だけ謝られても、女としてはちっともうれしくないですけどねぇ」
ユリウスの顔をロミルダは呆れたように見やった。
「エマニュエルの手はいつ頃空きそうですかな?」
「何でも子爵家で、旅芸人を迎え入れての催しをやるそうで、その切り盛りがたいへんだって言ってましたわねぇ。ちょうど今日あたりの日程だったかしら?」
「旅の芸人ですかの?」
「ああ、今、貴族の間で流行ってるやつだな。行商人が芸を見せたり観劇をやったりするんだろう? 女子供が好きそうなやつだ」
肩をすくませてユリウスが言うと、マテアスが突然ガタっと立ち上がった。
「それです……!」
どれだよ。心中で一同がそう突っ込んだとき、マテアスの頭の中では、ジークヴァルトとリーゼロッテの関係修復計画が、着々と練られていたのであった。
◇
「旅芸人ですか?」
「ああ」
執務室のいつものソファに腰かけて、リーゼロッテはこてんと首を傾けた。ここに来るのは久しぶりだ。というより、ジークヴァルトの顔自体、ここ数日ずっと見てはいなかった。
なんとなく気まずくて、ツェツィーリアにかこつけて避けまくってしまった。しかし、呼び出しを延々と断り続けることもできずに、今ここに座っている。
「わたくし知っているわ。市井の者が劇をやったりするのでしょう?」
「まあ、劇を」
いつもは並んで座るふたりの間に、ツェツィーリアがすっぽりと収まっている。おかげでジークヴァルトとの距離が遠い。ほっとしている自分がいて、それがなんだか悲しくなってくる。
「リーゼロッテ様はなかなかお出かけにはなれないでしょう? 気晴らしになればと、旦那様がその一行を呼ぶ手配をなさってくださいました」
「お兄様にしては気が利くのね。わたくし、一度見てみたかったのよ」
「いえ、ツェツィーリア様のためではなく……」
「よかったですわね、ツェツィーリア様」
「ええ、ありがとう、ヴァルトお兄様!」
満面の笑顔で見上げるツェツィーリアに、ジークヴァルトは「ああ」とそっけなく頷いた。
「いや、ですからこれは旦那様がリーゼロッテ様のために」
「これ、おいしいわ」
「ふふ、ツェツィーリア様、お口についていますわよ」
菓子を頬張るツェツィーリアの口元を、リーゼロッテがハンカチでやさしくぬぐっていく。ツェツィーリアがいるとジークヴァルトと会話をしなくて済む。リーゼロッテにしてみれば、その存在がありがたく感じられた。
この状況に危機感を覚えたマテアスが、口に物を入れるしぐさで指令を出した。ここ数日のノルマが溜まったままだ。ここはあーんで強行突破するしかない。
それを見たジークヴァルトが、おもむろに菓子をつまみ上げた。それをリーゼロッテへと差し出そうとする。
「あー……」
「あら、お兄様。今日はやけに気が利くのね」
横からさっと奪い取ると、ツェツィーリアはその菓子を自分の口に放り込んだ。
「ふふ、またお口についておりますわ」
微笑ましそうにリーゼロッテが口元をぬぐう。そうこうしているうちに、エラの迎えが来てしまった。
リーゼロッテが執務室を後にして、マテアスが拳をぐっと握りしめる。
「思わぬ妨害が……」
レルナー家から一向に迎えが来る気配はない。それをいいことに、ツェツィーリアはリーゼロッテに四六時中べったりだ。
「旦那様、そろそろレルナー家に連絡をなさっては」
「いい。迎えが来るまでいさせてやれ」
「はぁ……旦那様はツェツィーリア様にお甘いですねぇ」
その時、ジークヴァルトがはっと顔を上げた。天井を睨み、意識を集中する。いつの間にか宙に現れた守護者が、その空間を同じようにじっと見上げた。
『最近、鼠がうろちょろしてるね』
「ああ、わかっている」
気配がかき消えたことを感じつつ、ジークヴァルトは低く答えた。
「旦那様?」
「いや、何でもない」
不思議そうに首をひねるマテアスを、ジークハルトはおもしろそうに見やっていた。
◇
「フーゲンベルクの青き盾め。いつもいいところで邪魔をしおって」
飛ばしていた意識を体に戻すと、ミヒャエルは忌々し気に舌打ちをした。
「旅の芸人を呼びつけ興を催すなど、いかにも無能な貴族が考えそうなことだ」
鼻で嗤いながらも、ふと思う。ともすれば、これは絶好の機会なのではないか?
深い呼吸を三度して、ミヒャエルは再び深い瞑想に入った。
(紅の女神よ……どうか、どうか我が身にお力を!)
命を削るかのごとくに、強く、強く、乞い願う。
時間も呼吸も忘れたころ、前触れなく下から湧き上がるような熱が広がった。その熱はミヒャエルを焦がしながら、滾るように全身へ侵食していく。玉のような汗をかき、ミヒャエルの口から苦悶のうめき声が漏れて出た。
無慈悲に体の内部を駆け巡る灼熱は、やがてすべてが一所に集約していった。その熱が、完全に我が身の一部となった時、ミヒャエルはようやくその瞳を開けた。
「ふ……はははははははっ」
動かなかった右手を掲げ、ミヒャエルは狂気の瞳でその指先を見た。異様に伸びた人差し指の爪だけが、禍々しいほどの紅玉の光を宿している。
「紅の女神よ……!」
感極まり、熱の籠った声でミヒャエルは叫んだ。
女神は再び力を与えてくれた。この国に、杭を打ち込むために。その望みを叶えられるのは、選ばれたこの自分だけなのだ。
高揚感だけが支配する。
「今度こそ、目にもの見せてくれる。まずは、青き盾――お前からだ」
爪先が妖しい光を放ち、陽炎のごとく揺らめいた。
◇
毛足の長いふかふかの絨毯の上、これまたふかふかのクッションにうずもれながら、リーゼロッテはテーブルの上を見やった。背の低いテーブルには、珍しい食材を使った料理や、見たこともないフルーツが、所狭しと並んでいる。
(アラブの富豪にでもなった気分だわ)
絨毯の上に直接座り、ご馳走をいただくなど、この世界に生まれて初めての事だった。すべてがひと口大に盛られているため、まるで高級ブッフェにでも来たような気分だ。
「不思議な食べ物ばかりですわね」
「西から来た行商人だそうだ。この料理は西部で採れる食材が使われている」
隣であぐらをかくジークヴァルトにそう言われ、リーゼロッテはなるほどと頷いた。出かけるまでもなく、地方の味覚が楽しめるのだ。こうした旅の行商人を招くのが、貴族の間で流行るのも分かる気がする。
これから旅芸人による観劇が行われる。飲食しながら、優雅に劇を鑑賞するのだ。貴族とはこんな贅沢ができるのかと、今さらながらに感嘆してしまった。
「あの、ジークヴァルト様……このような機会を設けてくださいまして、本当にありがとうございます」
最近避け気味とはいえ、人としてお礼は言っておくのが筋だろう。そう思って、隣を見上げたリーゼロッテを、ジークヴァルトは静かに見下ろしてきた。
「ああ」
そう言って、手を伸ばしてくる。髪を梳かれるのだと思った瞬間、反対隣りに座っていたツェツィーリアに、強く腕を引っ張られた。
「お姉様、劇はまだ始まらないの? すぐに見られないなんて、わたくし気に入らないわ」
紅潮した頬で問うてくる。期待に満ちたその顔は、だいぶ興奮しているようだ。
「待つ時間が長いというのも、それほど悪いことではございませんわ。その分、わくわくした気持ちが続きますもの。それに、始まった時にもっときっとたのしいって思えるはずですわ」
「そんなものかしら」
つまらなそうに唇を尖らせながらも、おとなしく菓子をつまみ始める。最近のツェツィーリアは、リーゼロッテの前ではとても素直だ。
「よかった、間に合ったみたいね」
「アデライーデお姉様!?」
突然、ジークヴァルトとの間に、アデライーデが割り込んできた。ドレス姿の所を見ると、今日は騎士業は非番のようだ。
ジークヴァルトを邪魔そうに押しやると、アデライーデは当たり前のようにリーゼロッテの横に陣取った。
「エマから聞いて、わたしもどうしても見たくなっちゃって。あら、これ美味しいわ」
フルーツを口に放り込むと、アデライーデは同じものを手に取った。
「ほら、リーゼロッテも食べてみて」
アデライーデにあーんと差し出されて、戸惑いつつもそれを口にした。
「美味しいですわ、お姉様」
「ずるいですわ、アデリーお姉様。わたくしも!」
不満そうに言ったツェツィーリアが、違うフルーツをリーゼロッテの口元に近づけてくる。有無を言わさず奥へと押し込まれた。
「お、美味しいですわ、ツェツィーリア様」
「次はこれよ!」
「じゃあわたしはこっち」
両脇から交互に差し出されて、訳も分からずリーゼロッテは懸命に咀嚼を繰り返した。
「もうお腹がいっぱいで……」
胃の容積が限界を超えようとしたとき、ようやく観劇がスタートしたのであった。
◇
劇に夢中になっているリーゼロッテたちを後ろから見やりながら、マテアスはひとり歯噛みしていた。
(旦那様との仲直り計画が……!)
ツェツィーリアのみならず、アデライーデまで乱入してくるとは。いかにマテアスをしても、これは大きな誤算だった。綿密な計画を立て、この場を急ぎセッティングしたのだ。それをことごとく妨害されて、マテアスのイライラは頂点極まっていた。
マテアスの計画ではこうだった。
ふかふかの絨毯の上、ジークヴァルトの膝に乗せられたリーゼロッテが、観劇を夢中になって見つめている。
危険なシーンではハラハラした顔で。甘いシーンには頬を染め。そんなリーゼロッテを、ジークヴァルトは愛おしそうに見つめている。
マテアスがリクエストした通りに、悲恋のストーリーが演じられていく。その哀しい結末に、リーゼロッテの大きな瞳から、はらはらと涙がこぼれ落ちた。
それをそっとぬぐうジークヴァルト。
叶わなかった劇中の恋に、リーゼロッテの心は打ちひしがれたままだ。
「ジークヴァルト様……」
「オレはずっとお前のそばにいる」
頬を伝う涙にそっと口づけると、リーゼロッテはぎゅっとジークヴァルトに抱き着いた。
「ヴァルト様、もうわたくしを離さないで」
「ああ、愛してる……リーゼロッテ」
ぶちゅっ
(と、熱い口づけを交わしたおふたりは、永遠の愛を再認識するはずだったのに……!)
がりがりと天然パーマの髪をかきむしりながら、マテアスはアデライーデの背中を睨みつけた。
「せめてアデライーデ様がいなければ……」
夢中になっているリーゼロッテの肩を、やさしく抱き寄せることくらいはできたはずだ。
殺気交じりの視線を感じたのか、ふいにアデライーデが振り返った。半眼で睨み返されて、マテアスは負けじと、しっしと追い払うような仕草をした。
じ ゃ ま を し な い で く だ さ い よ
口パクでそう伝えると、アデライーデは意地悪くふふんと笑みを作った。これ見よがしにリーゼロッテを抱き寄せる。
「なっ!」
思わず出そうになった大声を、マテアスは寸でのところで飲み込んだ。
(き、鬼畜の所業……!)
こうしてマテアスの仲直り計画は、あっさりともろくも崩れ去ったのだった。
◇
終幕に盛大な拍手を送る。哀しい恋の結末に、リーゼロッテとツェツィーリアは目を赤く腫らしていた。すんと鼻をすすり、なんとなくな流れでお互いを抱きしめ合う。いまだ余韻が醒めなくて、いつになくふたりは無口なままでいた。
いつの間にか片付けられたテーブルに、今度は様々な宝飾品が並べられていった。劇中で使われた指輪やネックレス、そのほか縁ある品が目に入る。
ざっと見たところ、それほど高価な物ではなさそうだ。どちらかというと、劇と連動したグッズ販売のようだった。
「さあ、お嬢様方。お気になったものはどうぞ手にとってご覧ください」
重ねた手をもみ込みながら、行商の男はにっこりと笑った。こういった時、何も買わないのはマナー違反だ。価値のない物だと分かっていても、招いた以上はそれなりの施しをするのが貴族の役目だった。
「わたくし、これがいいわ」
先ほどの感動はどこへやら、ツェツィーリアはもう選ぶのに夢中になっている。そのツェツィーリアが手にしたのは、水色の綺麗な石がついたペンダントだった。
「素敵な石がついておりますわね」
その石の色はまるで義弟の瞳のようで、リーゼロッテは微笑まし気にツェツィーリアの顔を見やった。その様子にツェツィーリアは、慌てたように唇を尖らせる。
「べ、別にルカの瞳に似てるからって、これを選んだわけではないわ」
「あら、誰もそんなこと言ってないじゃない」
アデライーデが意地悪そうに言うと、一瞬ツェツィーリアは口をつぐんだ。
「やっぱりほかのにするわ!」
顔を赤くしたツェツィーリアを制して、リーゼロッテはそのペンダントを首にかけてやった。ツェツィーリアの胸に輝く水色を見て、満足そうに頷いて見せる。
「とってもお似合いですわ」
「お姉様がどうしてもって言うなら、わたくしこれにしてあげてもいいわ」
「ええ、そうしていただけますと、わたくしもうれしいですわ」
リーゼロッテがそう言うと、ツェツィーリアもほっとしたような笑顔を向けた。
「そちらのお嬢様には、これなどがおすすめです」
行商の男が青い石のブローチを勧めてくる。リーゼロッテがジークヴァルトの婚約者だと知っているのだろう。男は次から次に、青い石がついた宝飾を並べ立てていった。
「どれもお似合いですよ」
こびへつらうような笑いに、困ったような顔を返す。ジークヴァルトの顔を立てるなら、自分はこのまま青い宝飾を選ぶべきなのだろう。
「青の飾りはいっぱい持っているから、たまにはほかの色もつけてみたいわ」
気づくとそんな言葉が口から漏れていた。はっと我に返るも、一度出した発言をなかったことになどできはしない。怖くてジークヴァルトの顔が見られない。リーゼロッテはぎゅっと唇を噛み締めた。
「それならこれはどう?」
気にも溜めていない様子で、アデライーデが緑のイヤリングを手に取った。リーゼロッテの瞳よりもくすんでいるが、小ぶりな石がゆらゆらと揺れる様は、乙女心をくすぐるデザインだ。
「素敵ですわね。わたくしそれがいいですわ」
自分の色ならば、選んだとしても角は立たないだろう。言い訳がましく思ったものの、ジークヴァルトに笑顔を向けることが、リーゼロッテにはできなかった。
◇
催しがすべて終わって、リーゼロッテはツェツィーリアと共に部屋に戻ろうとしていた。おなかいっぱいになった珍しいフルーツの数々。観劇の感動と、ジークヴァルトへの後ろめたさ。
いろんなものがごちゃまぜになって、なんだかやたらと疲れてしまった。
アデライーデの先導のもと、ツェツィーリアのおしゃべりに笑顔で相槌をうつ。そうしながらもリーゼロッテは、早く寝台に潜り込んで寝てしまいたいと思っていた。
その一歩を踏み込んだ瞬間、空気が変わった。
はっと息を飲み、隣を歩くツェツィーリアを近くに引き寄せた。
「わたくしのそばを離れないでくださいませ」
「リーゼロッテお姉様!」
ツェツィーリアも異変に気付いたのか、不安そうにぎゅっと抱き着いてくる。
いつの間にか、先を歩いていたアデライーデの姿が見えなくなっている。廊下はどこまでも薄暗く、その先を見渡すことはできなかった。
「そこのお嬢様方……」
暗がりから、先ほどの行商の男がふらりと現れる。うつろな瞳をした異様な雰囲気を前に、リーゼロッテはかばうようにツェツィーリアを背に隠した。
「先ほどはお見せできませんでしたが、お嬢様にふさわしい宝飾がございます……」
感情のこもらない声音で言うと、男は手にした箱を掲げ、その蓋をゆっくりと開いていった。
途端に、周囲に瘴気が満ちる。パンドラの箱を開けたかの如くに、その穢れは渦巻きながら、瞬く間に廊下の先へと広がっていく。
(この瘴気は……!)
かつてこの身に感じた紅の穢れを前に、リーゼロッテはただ恐怖で立ち尽くした。
【次回予告】
はーい、わたしリーゼロッテ。突然、広がった紅の穢れに、逃げ惑うわたしとツェツィーリア様。狙われているのはわたしだと悟り、ひとりジークヴァルト様の元を目指します。異形に憑かれた人間たちに、苦戦を強いられるジークヴァルト様を前に、わたしにできることは何もなくて……?
次回、3章第10話「妄執の棘 - 後編 -」 あわれなわたしに、チート、プリーズ!!




