第九十八話:閑話:これからのこと
運営より、メールが届いています。
《シークレットクエスト:テストプレイヤーの合流》 crear!
第1次βテストプレイヤーへ。
テスト期間中にプレイヤー3人以上が合流して行動を共にする場合、シークレットクエストを達成したと判断する。
ただし、運営側のテストプレイヤーはカウントしない。
また、達成後別れても報酬の撤回・回収はしないものとする。
評価 : A
報酬 : 金貨10枚 × 合流したプレイヤーの人数 3人 。
= 30枚
+追加報酬
・飛竜の盾+3 《付与・装備強化、自己修復、防御》 ×1
・飛竜の軽鎧+3 《付与・装備強化、自己修復、自動回復》 ×1
・飛竜の胸当て+3 《付与・装備強化、自己修復、自動回復》 ×2
・飛竜の手甲+皮手袋+3 《付与・装備強化、自己修復、攻撃》 ×3
・飛竜のロングブーツ+3 《付与・装備強化、自己修復、活力》 ×3
・飛竜のローブ+3 《付与・装備強化、自己修復、自動回復》 ×1
・備考 : こちらの防具は3人で仲良く分けてください。
《シークレットクエスト:現地人との合流》 crear!
第1次βテストプレイヤーへ。
テスト期間中にイベント以外で現地人 (NPC)3人以上と行動を共にする場合、シークレットクエストを達成したと判断する。
ただし、達成後別れても報酬の撤回・回収はしないものとする。
評価 : A
報酬 : 金貨10枚 × 合流した現地人の人数 4人 。
= 40枚
+追加報酬
・上質な布の服 × 4
・白のプリーツスカート × 4
・上質な革の胸当て × 4
・上質な革の手甲+布の手袋 × 4
・上質な革のロングブーツ × 4
・上質な布の下着(上下) × 4
・備考 : 報酬を参考に、アキラくんちゃんから革素材を分けてもらって防具を作ってみてください。
・備考 : インナーはゴブリンやオークなどの標準ドロップ「汚ない腰布」を利用した上位素材「鬼の反物」から作れる布製品がオススメですよ。
さて、これからどうしようか?
報酬の防具を全員に配って装備変更。俺、シオリ、アキラの3人が揃ったから、連携も兼ねて《拠点》内の《闘技場》で10回ほど戦闘。
ドロップが確定じゃないことに驚きつつも、意外と上手く動けているんじゃないかと自画自賛。でもってみんなを称賛。
それにしても、装備が変わったことで俺、シオリ、アキラのプレイヤー組3人は全体的に緑色になってる。
それに対して、布の服や革の胸当てなどが上質なものに強化されたサーシャ、ニア、カティ、ティアの現地人組は、色的にはあまり変わらなくても見た目がグッと良くなった。
マキさんもまた、運営側としてボーナスが出たみたいで、布の服と革の前掛けからトカゲ革の鎧になっていた装備が、鉄製の鎧に変わっていた。そのおかげで、マキさんの見た目は全体的に鉄っぽい色になっていた。
アキラの妖精ティータに聞いたところ、《上質な装備》は、専門の生産職が《生産クリティカル》を発生させる必要があるとのこと。
俺たちは生産職ではないので、上質な装備を作ることはできないが、上質な装備をベースにすれば別の装備を上質な装備にできるらしい。
では実験。
サーシャたちに許可をもらって、
・上質な革の胸当て × 4
・上質な革の手甲+布の手袋 × 4
・上質な革のロングブーツ × 4
を、妖精たちに頼んで作ったリザードマンの革製の各種装備を《合成》してみる。
・スキル《合成》を使用。
: 成功。
・上質なトカゲ革の胸当て × 4
・上質なトカゲ革の手甲+布の手袋 × 4
・上質なトカゲ革のロングブーツ × 4
出来上がった装備にさっそく《鑑定》をしていくと、性能が段違いに上がっているのが確認できた。
こりゃすごい。全員が全身を上質な装備で固めることができたら……。
『念のため言っておくけれど、《上質な装備》を作るための《生産クリティカル》は、専門の生産職が上位のスキルレベルにならないと無理だからね? 例外もあるにはあるけれど、今は期待するだけ無駄よ?』
…………そっかー…………残念。
『それよりも、《汚ない腰布》をスキル《錬金術》で変化させた方がいいと思うわよ? 在庫は?』
プレイヤー組がアイテムボックスを確認する間、現地人組はティータに頼んで《闘技場》に挑戦していた。
新しくなった防具での動きを確認しながら、同数の獣系や鳥系などの魔物と危なげなく戦う4人を見てほっとするが、シオリにつつかれて改めてアイテムボックスを確認する。
……すると、他のプレイヤーからトレード申請が来ていることに気づいた。
《トレード申請》
各プレイヤーに対しトレードを申請。
・依頼者:シン (プレイヤー)
・対象:魔物の素材。種類は問わず。
・報酬:腐った肉、古びた骨、死霊の衣、呪われた骨、呪いの血、灰、古い和紙
「あれ? あのさみんな、なんか、トレード申請が来ているんだけど?」
「私のところにも来ているけれど、後にしなさいよ」
「ぼくは、リザードマンの骨とかトレードしてみようかな?」
「私は、ゴブリンの素材を出してみようかしら」
三者三様に反応があるが、シオリが出した汚ない腰布が一番少ないのをみてちょっと気になったから聞いてみると、
「あー……。それは、この《飛び出る魔物図鑑》っていう本に原因が、ね」
その本のことや使用した状況も重ねて聞けば、MPと素材をたくさん消費するけれど状況に応じて魔物を召喚できるそうだ。つまり召喚士を装備で再現できるのか。となれば、専門に扱う人がいてもいいなと思う。
闘技場での戦闘を終えたサーシャたちを呼んで、休憩しながら今後のことについて話し合う。
今必要なもの、今十分にあるもの、これから必要になるもの、あれこれ意見が飛び交う。
食事はマキさんが得意だし、装備の修理など妖精を頼りにしている生産系スキルのことなどは、俺としては優先順位が低いと思われたが、
「ごはんが美味しいのは大事!」
と強く言われてしまっては、まあ受け入れるのもやぶさかではない。
とはいえ、専属の料理人や生産職の人員確保は、急務か? 直近の目標にすることか? 俺としては、馬とかの移動手段の確保の方が大事だと思うんだが。
「冒険者が依頼で街から遠くの村とかに移動する場合、どういう手段があるんだ?」
「徒歩だね」
「馬かな」
「乗り合い馬車の護衛として雇われることも聞いたことあるけど」
「騎獣とか。でも高い」
サーシャ、カティ、ティア、ニアの順で答えてくれたが、この人数を一気に移動させるにはやはり馬車なんだろうなと思う。引くのは馬でなくてもいいんだろうからさ。
あるいは、シオリの持ってる魔物図鑑で毎回召喚するのと、魔物とか手なずけるのとどっちがいいのかな?
とにもかくにも、一旦街まで戻ってから足りないものを買い足して、それからまた考えてみる。ということに決まった。
……また、徒歩か……。
妖精による転移もあるとはいえ、やはり、騎獣になる魔物をテイムできると全然違うんだろうな……。
あと、全員乗れる馬車がほしいな……。
……あ、テイマー居ればいいんじゃね?