第九十六話:閑話:そもそも
戦闘戦闘飽きずに戦闘。
休憩食事を挟んでまた戦闘。
暗くなったら食事してお風呂入って寝て。
明日起きたらまた戦闘。
素材が貯まっていくのが楽しくて仕方がないね。
……と、言ってはみても。
……《姫騎士》 アキラ
拠点内の闘技場 《コロッセオ》で戦闘し続ける日々も十日目になると、リザードマンのレアドロップ《トカゲの尻尾》も200個は貯まっちゃった。
十分な数とは言えないかもだけど、リザードマンばかり倒すのも飽きちゃって。
トカゲの皮とか肉とか骨とか999個でアイテムボックスの数字カンストしちゃってるし。
正確には「999個+」だけど。
そんなわけで、十一日目には武装ゴブリンや武装オークを倒しまくって木や石や革や銅や鉄などのいろんな装備を大量ゲット。
ティータに頼んで銅の斧と銅の槌、鉄の槍に鉄の斧、長い木の棒などを作ってもらい、さらに戦闘。
クナイとか投げナイフとか手裏剣とか作ってもらって投げてたら《投擲》スキルが生えたし、鉄製の長剣とかナイフとかはあるけれど武器の種類をもっと確保しようか考えてみたところで、そもそも論。
「ねえ、ティータ? 闘技場の『ランダムバトルモード』でのドロップ品は1個だけなんだよね?」
『そうよ。前に確認したでしょう?』
「そうなんだよね。……よし、じゃあ、実験開始。……《コロッセオ》、ランダムバトルモード、起動!」
演習場の中心部に大きな魔法陣が描かれ、ドーム状の空間として区切られる。
魔法陣が淡く輝き、陣の内側の指定された箇所から、魔物が召喚された。
体長2m近い巨体の二足歩行のブタ、オークだ。
出現と同時に、ニチャアと気持ちの悪いニヤケ顔を晒す気持ち悪いブタは、右手に鉄のこん棒、左手に虫の甲殻のような黒光りする丸盾を装備していた。
《戦闘開始》
で、改めて、そもそも論。
拠点内の闘技場で行えるランダムバトルモード、その報酬は魔物のドロップアイテムのうち、どれか一つのみ。
普通に倒せば確定ドロップの魔石すら、確定じゃない。
そのためか、ゴブリンだろうがオークだろうが、どれだけ倒してもほとんど手持ちの武器や防具がドロップしてしまう。
では、《闘技場》の《ランダムバトルモード》で1個しか出ないはずのドロップ品を増やす方法は?
結論。
『…………ねえアキラ。あんたのそのキモい発想、どうにかならない? 本当にキモいのだけれど?』
「酷い!?」
改めて、結論。
1、肘を切り飛ばして武器防具を奪ってアイテムボックスへ。
2、手足を槍で貫いて地面に縫い付けて、動けなくしてから皮を剥ぐ。
3、腹や腿から肉を採取。睾丸も素材になるみたいだから採取してアイテムボックスへ。
4、骨など、取れるだけ取ってからとどめ。
5、ドロップ品もゲット。魔石だったけど。
皮、肉、骨など、オークの素材全体の五割か六割くらいは採取できたんじゃないかな?
『オークの皮は服や靴や荷袋などの生活用品から防具まで幅広く扱われている万能素材の一つ。肉は食料。骨は矢じりや槍の穂先など。どれも常に一定の需要があるわね』
そこで一旦言葉を切るティータのぼくを見る目は、汚物でも見るように嫌悪と侮蔑に染まっていた。
『いくら相手が魔物だからって、生きたまま皮を剥ぎ取り解体するとか…………。なんてむごいことを…………。その発想が狂気じみていて本当にキモいわ』
「酷いっ!?」
『まあ、実際に、一つ限りのドロップ品を、手間ひまかかるものの入手できる数を増すことができるのは大きいと思うわよ? アキラのくせにお見事ね。《剥ぎ取り》や《解体》のスキルもいずれ生えるんじゃないかしら?』
……と思ったら、ケロッとしていて、微妙に褒めてくれている。
……ツンデレかな?
『だから、その発想がキモいのよ』
「やっぱり酷い!?」
・リザードマンの皮(小) × 999+
・リザードマンの皮(大) × 709
・リザードマンの皮(全身) × 237
・リザードマンの骨 × 999+
・リザードマンの肉 × 999+
・リザードマンの尻尾 × 524
・リザードマンの魔石 × 919
・トカゲの尻尾 × 202




