表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Another Eden Online  作者: 平民のひろろさん
1ー2 家族
94/186

第九十四話:閑話:ユーノたちの道中

 ユーノといると、毎日が楽しいねっ!


 ……若き妖精 ファウ



 九日目。


 ログハウス型の《拠点》を出て、ファウとインデックスによる転移で距離を稼ぐ。


 この妖精の転移は、現状一日一回一定距離のみと決められているらしく、朝イチで転移したら、何度か言ってみてももうしてくれなかった。


 ……ナイショって言ってなかったっけ?


 しょうがないので、前衛に俺、サーシャ、ニア、後衛にシオリ、カティ、ティアの布陣で街道を進む。


 みんなとおしゃべりしながら進むのは楽しいけれど、前衛がこれでいいのかと密かに悩む。


 割りと真剣に、ちゃんとした壁役(タンク)の人がほしいと思っていたときだった。


「みんな、ちょっと、待って。……どうしたの? インデックス?」


 シオリの無口な妖精は、じっと一点を見つめながら指をさしている。


 なるほど。そっちに、優先した方がいいなにかがあるってことか。


「なあインデックス? そっちの、急いだ方がいいのか?」


 シオリの相棒(妖精さん)は、無表情ながら、指先で何度も宙を突くような仕草は、()かしているようで。

 こくこくとうなずく様子を見て、決断する。


「みんな、予定変更。向こうにあるなにかを確かめる。ファウ、インデックス、転移は…………って、一言言ってくれよ……」


 俺が予定変更を告げると、速攻で転移したらしく、周囲の景色がガラリ変わっていた。


 視線の先には、二足歩行のトカゲの「リザードマン」と、緑がかった毛色のオオカミ「草原ウルフ」に騎乗する「ゴブリンライダー」それを指揮していると思われる黒いゴブリンが、誰か、あるいはなにかを取り囲み、攻撃しているようだった。


 今の俺たちの位置は、黒いゴブリンの後方。まだ誰もこちらには気付いていないようだ。


「シオリ、カティ、ティア。魔法と弓で先制攻撃を。その後俺が《ファストトリック》で先制するから、みんなはそれに続いてくれ」


 気取られないように小声で指示すれば、しっかりとうなずいてくれる。


「先に私が足を止めるから、続いて……《グレイブ》」


 シオリが地属性の魔法を発動させると、黒いゴブリンの足元から土で構成された槍が突き出て足を貫いた。


「当たれっ!」


「《ウインドボール》」


 斜め上に射ち上げた矢と風の球が黒いゴブリンに突き刺さり、


「《ファストトリック》」


 短距離転移ともいえるステップ系の上位アーツで一気に距離を詰めて、


「《二段斬り》」


 高速の二連攻撃で確実に仕留めた。……と、思ったが、黒いゴブリンはまだ倒れず反撃をしてきた。足が貫かれていて反撃は当たらなかったけどな!


「《フロントステップ》、《バックスタッブ》」


 ニアがステップ系のアーツで一気に加速、ブレーキして反転、黒いゴブリンの無防備な背中にナイフを突き立てて止めを刺していた。


「ニア、お見事! 次いくぞ!」


 ゴブリンライダーと草原ウルフのセットはサーシャとニアに任せて、俺はパワーも防御力も上のリザードマンに斬りかかる。


「《シールドバッシュ》」


 普段聞かない強い声に目を向ければ、サーシャが盾による殴打で草原ウルフを殴り飛ばしていた。


「やるなサーシャ! 《二段斬り》」


 アーツはある程度コントロールできるようで、斬り上げでリザードマンの武器を弾き首をはねることができた。


「《シールドチャージ》」


 知らない女性の声が響いたと思えば、リザードマンが数体まとめてこっちに向かって弾き飛ばされてきた。

 ナイスアシストと思いながら、空中で無防備なリザードマンにタイミングを合わせて剣を振るい次々と首をはねる。


 残ったゴブリンライダーと草原ウルフも、サーシャが受け止めカティが矢で射貫き、ニアはナイフでティアは魔法で仕留めていた。


 シオリは残ったリザードマンを《グレイブ》で貫き動きを止めて、襲われていた女性がメイスで止めを刺していた。




「こんにちは、助かったわ。多勢に無勢でさすがにまずかったから」


 大きな鉄の盾を掲げて朗らかに笑って見せる女性。


 ……と言っても、彼女、鑑定してみた結果俺より強い。


 速さでは俺に分があるとは思うけれど、それ以外の総合力では勝ってる。

 助けが必要だったとはとても思えないな。


「……ねえ、坊や。初対面の女性をじろじろ見るのは感心しないなぁ?」


「あ、ごめん」


 スキル《鑑定》で得られた結果から若干身構えてしまったけれど、不愉快だったか、あるいは警戒させてしまったかな?

 反射的に謝ったら許してもらえたけれど。


「うん、素直に謝ったから許すわよ。私はマキ。危ないところを助けてもらってありがとうね。妖精が居るってことは、きみたち2人はプレイヤーなのね? あとの4人は現地の女の子たちか……。見た目高校生くらいでハーレムなの? やるわねぇ坊や」


 厚手の布の服の上下に革の前掛けと革手袋という職人みたいな姿のショートヘアーの女性は、猫みたいに目を細めて笑った。


「私、これでも40過ぎてるから、若い子には着いていけないかもだけど、それでも良いなら一緒に連れていって欲しいのよ。一人旅はなにかと不安だからね?」


 そして、見た目二十歳くらいにしか見えない女性は、見た目年齢不相応に妖艶に笑って見せた。




 ……そんな、妖しげで魅力的な姿を見せられたなら、俺みたいな16歳童貞にしてみれば、生唾飲み込んでも仕方ないと思うんだ。

 



 みんなと相談しようとしたら、耳とか脇腹とか強めに摘ままれてしまった……。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  ハーレムみたいと言いつつ加入しようとは、心臓強い。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ