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Another Eden Online  作者: 平民のひろろさん
1ー2 家族
81/194

第八十一話:黒の手勢

《クエスト:黒の手勢の討伐依頼》


 プレイヤー:ミコトに対しクエストを依頼。

 黒の手勢を討伐せよ。

・依頼者:運営

・対象:黒の手勢の討伐。


・報酬:白金貨1枚 + 成果次第。

・制限時間:なし

・補足事項:黒の手勢 = ダークゴブリンとその手先となったモンスター

・特記事項:結果次第で追加報酬を検討。(確約ではない)


「こっち向け外道どもぉっ!」


 先制で鏑矢(かぶらや)を射ち、ヘイトを僕に向ける。

 狙いは、儀式を実行していたダークゴブリンシャーマン。

 法衣姿の魔法職なら、僕でもそれなりのダメージを与えることができるのでは? と考えたからだったけど、周囲にいたダークホブゴブリンが割り込み、矢を盾で防いでしまった。


「……ん……ぐ……」


 盾に矢が当たった瞬間、僕の胸が握り潰されるような衝撃が走った。

 手早くログを確認すると……。


「盾はダメっ! ダメージ反射!」


「「了解」」


 九体いるダークゴブリンシャーマンを、三体のダークホブゴブリンが守っている。

 早く前衛を突破しないと、後衛のシャーマンどもが魔法の詠唱を始めてしまっている。

 けれど、遠距離ではまた……。あ、そうだ!


「これなら! 《曲射》」


 真上に近い角度で鏑矢を射ち上げる。

 ゴブリンどもの視線も上を向き、


「《ウォーターボール》ッオラァッ!」


 ミナトが魔法で生み出した水球をぶん殴って加速させ、シャーマンの顔面にぶち当てていた。


「まあ、やりようはあるってことだ《ダブル》《ウインドカッター》《ミラー》」


 ヤタが両手で風の刃を二重起動、さらに初めて見る魔法で倍加させて、合計八枚の風の刃が不規則な軌道でシャーマンどもを襲い、魔法の詠唱をくい止めていた。


 魔法の詠唱が止められたのを見てか、冠を被る大きな黒いゴブリン、ダークゴブリンビショップが号令をかける。

 それに合わせて、盾持ちのホブが叫びながら前進。狙いは……? 僕か、ヤタかな?


「《二本射ち》」


 一体のホブの、足を狙って矢を射る。

 矢じりが鉄の矢は、狙いどおりに足を撃ち抜き、転倒させることができた。


「まずは、数を減らそう」


 トールくんの声に合わせて、ミナトがホブに腕を振りかぶりながら飛びかかる。

 狙われたホブは、ミナトの打撃を受け止めようと盾を突き出す。

 これでは、ミナトにダメージ反射が!? と思ったものの、


「……どっ……せいっ!」


 盾のフチを掴んで飛び越え、ホブの顔面を蹴り、連続で殴り付ける。

 その後ろから、もう一体のホブをやり過ごしたトールくんが、首を一撃ではねていた。


「ひとつ」


 次のホブへと、また飛びかかろうとしているミナトを警戒して距離を取るホブ。

 そのホブの足に矢を撃ち込めば、痛みに体勢を崩し、


「ふたつ」


 トールくんが、淡々と剣を振るって首をはねていた。


 矢を二本撃ち込んで足止めしていた三体目のホブは、ミナトが滅多打ちにして頭が潰されていた。


「三匹目」


 壁役を失ったシャーマンどもに動揺が走る。

 その動揺を突いて、空からぐれ太とゴスケさんたちが強襲、シャーマンどもがパニックを起こす。

 狙いはシャーマンどもではなくワイバーンたちだけれど、勝手にパニックになってくれるならありがたい。


 壁役を倒した今なら、一匹ずつ確実に仕留めるだけだ。


 強襲を受けた三体のワイバーンたちは、体が上手く動かないのか、飛び上がることもできずに口から火炎放射してぐれ太とゴスケさんを牽制している。

 けれど、ゴスケさんたちはその炎がシャーマンどもに向かうように調整しながら動いているみたいで、何匹ものシャーマンが火だるまになっていた。


 一匹、また一匹と数を減らしていくシャーマンどもを見て、ビショップが耳障りな咆哮(ほうこう)を上げた。

 そして、髑髏(どくろ)の杖を振り、闇の魔力球を撃ち込んでくる。

 それだけにとどまらず、毒の霧や闇の魔力槍、多数の闇の魔力球など、絶え間なく闇属性の魔法を撃ち込んでくる。


 どれほど強力な魔法だったとしても、当たらなければなんてことない。けれど、絶え間ない魔法に、近付くことができなくなってしまっている。


 ミナトが水球をぶん殴って加速させても、たいしたダメージにはなってないみたいだし、僕が矢を射ってみても、杖で弾かれてしまう。


 それでも諦めずに、闇魔法の合間にミナトと二人で遠距離攻撃を繰り返す。


 僕の矢も、ミナトのMPも無限ではない。

決定打に欠ける状況に、少しずつ焦りが募っていく。

 その様子に何を思ったか、ビショップはニチャリと気持ちの悪い笑みを浮かべ、大きな闇の魔力球を発生させた。


 ……と、思ったら、


「うわぁっ!?」


「な、なんだこりゃ!?」


 僕とミナトの影から、闇の触手がいくつも発生し、僕たちに絡み付いてきた。


 触手に絡めとられて完全に動くことができなくなった僕たちに、勝利を確信したような笑みで近寄ってくるビショップ。




 ……だけど、ね?




『《ダブル》《ウインドカッター》《ミラー》』


 ビショップの真上から、ヤタの両手で二重起動された風の刃が、さらに二重起動された増幅魔法で合計十六枚にまで増幅され、一斉に降り注ぐ。


 とっさに防御は間に合ったものの、頭を(かば)ったビショップの両腕はズタズタに。そして、


()った」


 真上にいるヤタの姿を見るために上を見た隙を突き、ビショップの死角で息を(ひそ)めていたトールくんが、首へ剣を振るった。


 斬り落とされたビショップの首が地面に落ちるのに合わせるように、三体のワイバーンもまた撃破されて地に伏せることになっていた。


「おっと、二人とも、大丈夫かい?」


 ビショップを撃破したことで闇の触手から解放された僕とミナトはトールくんに抱き止められ、


「ぎゃあおおぉぉぉぉーーーっ!」

《勝利》


 ぐれ太は勝利の雄叫びを上げ、


 ゴスケさんたちは、左右対称のポーズを取っていた。



《クエスト:はぐれ発生の調査依頼》 crear!


 プレイヤー:ミコトに対しクエストを依頼。

 パートナーの先触れ:ヤタと共に、はぐれワイバーン発生の原因を調査せよ。

・依頼者:運営

・対象:はぐれワイバーン発生の原因を調査。可能であれば解決。

 評価 : S

・報酬:ワイバーンの死体(全身)×1

  + 追加報酬

 ・ワイバーンの死体(全身)×1

 ・グリフォンの羽根×30

 ・トレントの丸太×10

 ・トレントの大枝×20

 ・トレントの枝×40

 ・トレントの葉×100

 ・トレントの魔石×10




《クエスト:黒の手勢の討伐依頼》 crear!


 プレイヤー:ミコトに対しクエストを依頼。

 黒の手勢を討伐せよ。

・依頼者:運営

・対象:黒の手勢の討伐。

 評価 : S

・報酬:白金貨1枚

  + 追加報酬

 ・金貨×130枚

 ・宵闇色の邪法衣×1

 ・しゃれこうべの杖×1

 ・呪いのサークレット×1

 ・闇の法衣×9

 ・苦悶の杖×9

 ・苦痛返しの盾×3

 ・呪われた服×3

 ・呪骨のメイス×3

 ・《呪与:攻撃》の魔道書

 ・《呪与:防御》の魔道書

 ・《呪与:速度》の魔道書



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[一言] 当たらなければどうということはない( ˘ω˘ )
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