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Another Eden Online  作者: 平民のひろろさん
1ー2 家族
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第七十五話:襲撃イベント

 鶏と(たわむ)れて……というよりは(たか)られて、ようやく解放されたと思ったら、今度は牛が寄ってきて、もうもう言いながら頭とか鼻とかこすり付けてきたので、1頭1頭顔や背中を撫でてあげる羽目になった。


 12頭を3人で分担して撫でたわけだけど、手で牛の背中をなでなでかいかいするのはけっこう大変で、ブラシが欲しいと思ったよ。

 ……どういう形のブラシがいいのかな?


 牛舎に戻っていく牛たちを見ながらそんなことを考えていると、ヤタ、ジョン、メグ、ゴスケさんたちが、一斉に西の方を向いた。



『WARNING! WARNING! 《襲撃イベント》が発生しました。《迎撃ユニット》が起動します。《迎撃設備》は該当ありません』



 警報が鳴ったあと、勝手にステータス画面が表示され、ログに文字が表示されていく。



『《襲撃イベント》 : 危険度 : 高。

 襲撃者 : はぐれワイバーン。

 分類 : レイドボス(移動型)』



『……はは……運営のクソども、ここを潰す気か……?』


 急に(うつむ)いてブツブツと(つぶや)くヤタが、かなり怖いんだけど……?


『…………ミコト!』


「ぴゃっ?」


 首だけぐりんとこちらを向いたヤタの目が、なんだかギラついているように見えて、悲鳴みたいな変な声が漏れてしまう。


『はぐれワイバーンは、群れからはぐれて《魔の森》の外に出てきた危険な個体だ。平地とかならその機動力を存分に発揮できる』


「待って、ヤタ。《拠点》には結界が張られているから、魔物は侵入できないんじゃないのっ?」


『《畑》や《牛舎》が拠点にあると、《襲撃イベント》が発生して魔物でも拠点内に侵入してくるようになる。ただ、ワイバーンみたいな大物は、《拠点》のレベルが上がらないと発生しないはずなんだが……。まあ、運営が故意にイベントを起こすような例外はあるってことだ。今回みたいにな』


「そんな……。じゃあ、畑とか、鶏や牛たちは?」


『ヤらなきゃヤられるだけだ。だから、ヤるぞ』


 西の方から飛来するナニかは、みるみる内に大きくなり、



『カウント、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、《襲撃イベント》スタート!』



『ギャオオォォォウッ!!』



 挨拶代わりの飛竜の咆哮(ほうこう)が、物理的な衝撃となって僕たちを襲った。






※※※




 結論、1分と経たずに戦闘は終了しました。


 もちろん、僕たちの勝利で。



『WINNER! 《襲撃イベント》防衛成功!』



 ゴスケさんたちが変なポーズを取ったら、ワイバーンがゴスケさんたちに突進してきて、


『くらえ、《ダブル》《ウインドアロー》』


 ヤタの両手から放たれる不可視の風の矢がワイバーンの両目に突き刺さって視覚を奪い、


「オラァッ!」


 飛竜のブーツを装備しているミナトにカウンターで顎を蹴り上げられ、


『『いきますワーン!』』


 飛竜爪の小太刀を装備したジョンとメグが両翼を斬り飛ばし、


「……ふぅぅ……斬っ!!」


 飛竜牙の太刀を装備したトールくんが、無防備なワイバーンの首を斬り落とした。



 ……僕? みんなに大急ぎで《付与》したけど、それだけ。

 あっという間だったよ。



 こうしてみると、ワイバーンは意外と大したことないと思うかもだけど、今回のは《はぐれワイバーン》で、体が成長しきってない若い個体だから弱かったのだという。


 ヤタが言うには、本来なら、ゴスケさんたちの挑発スキル《ポージング》で挑発しても、突っ込んで来るとは限らないのだという。


 若くて血気盛んで無鉄砲な《はぐれ》だったから、こんな簡単にいったのだと。


 あと、《特効》付きの武器はハマれば強いってさ。

 他にも、メタがどうとか言ってたけど、よく分かんなかったよ。


「ふい~。突進してくるデカブツ相手にカウンターは、なかなかおっかねぇな。だが、なんとかなった」


 飛竜の小手を装備した両拳を打ち付けているミナトを見ると、ホントそうだよね、とため息が出てくる。


「ミナト、おつかれさま~」


「お、おう。……いやなんで頭を撫でる!?」


 声を上げるわりには、頭を撫でたり髪を手櫛で()く僕の手を払ったりしないけど?


「頭なでなでは嫌だった?」


「…………嫌じゃない」


 不満そう、というよりは困った感じのミナトがかわいい。


『『撫でて欲しいですワーン』』


 ジョンとメグも駆け寄ってくるので、こっちの二体はミナトと協力してワシャワシャやる。


「みんなお疲れさま。なんとかなったね」


「トールくんもおつかれさま~。カッコよかったよ~」


「…………う、うん、たしかに、カッコよかった」


 ジョンとメグを撫でたあと、近くにきたトールくんの左腕にしがみつく。


「ほら、ミナトもっ」


「えっ? ええぇぇ……。し、失礼します?」


 僕に言われて、戸惑いながらもトールくんの右腕にぎゅ~っとしがみつくミナトを見て、今度はなぜかホッとした。




 ……さて、ワイバーンをまるごと手に入れたけど、どうしよう?



※リザルト

 ・はぐれワイバーンの死体(状態:最良)×1

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― 新着の感想 ―
[一言] 話の途中だがワイバーンだ!(迫真)
[一言]  おや? 運営のいじわる? それとも何かのテストかしら?
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