第七十三話:ミナト
「ごちそうさまでした」
家族が一人増えた朝、いつものように全員で朝食をとる。
……前にも増して、ゴスケさんたちがポーズを取るようになってるけど、ほんと、なんのポーズなんだろうね?
「……助かった。……それで、その……」
「うん、じゃあ、予定どおり自己紹介しようか。トールくんからどうぞ」
「おれかい? おれは、トール。第六開拓村村長トーマスの息子、トールだ。そちらのミコトに命を救われて、以来一緒に居させてもらってるよ」
急に話を振られて少しだけ驚いた様子のトールくん。
けれど、すぐにいつもどおりの優しげな顔になって語りだす。
「得意なものは、《剣術》と《体術》と《投擲》。前衛のアタッカーだ」
「ふーん……」
白い少女は、興味深そうにトールくんを見つめていた。
「じゃあ次は俺でいいか? 俺は、ミナト。20歳の大学生のはずだったんだが……。気が付いたら森の中で、衝動のままに魔物を狩ってた」
白い少女改め、ミナトは、中々威力の高い爆弾を放り投げてきたよ……。
「武器は壊れるし食料もろくにないし、いつの間にか身体はこんなんなってるし、『魔物を探して、見つけ次第仕留めなきゃならない』って衝動がどうしても抑えられなくてな。落ち着いたのは、お前さんらと会って……会ってでいいのか? 保護されて、にしとくか。まあ、それからだよ」
それまで意識はあっても正気じゃなかったな……。と、光彩の失せた瞳で語っていた。
……なんとなく、むぎゅっと抱きしめる。
それに釣られてか、トールくんもミナトの頬をなで、頭を抱き寄せていた。
「なんだよう……。なんで優しくするんだよう……」
トールくんの胸に頭を押し付けて涙を流すミナト。
一人で、おかしいと思いながらも衝動に抗えずに戦い続けたとか。
いったい、どんな気持ちだろう?
本人ではない僕には、察することも難しいけれど。
これからは、離れないからね。
そんな意思を込めて、ミナトが落ち着くまで三人で抱き合った。
「じゃあ、今度は僕だね。僕はミコト。気が付いたらこの『拠点』で、こっちのヤタと一緒にいて、森に行ったらトールくんを見つけて、また森に行ったらミナトを見つけて今に至るよ」
ミナトが落ち着いてから、ひとまずお茶を淹れて、一息ついてから自己紹介。
「えっと、ポジションは後衛になるのかな。《回復》と《付与》ができるから、サポートは任せてね」
『オレはヤタ。妖精だ。ミコトから《ヤタ》の名をもらった中位妖精だ。《索敵》と《攻撃魔法:風》によるサポート役だな』
僕が名前をつけた小さな妖精さんは、ちょっと偉そうに胸を張っていた。
……でも、なんというか……。
「……サポートっていうよりか、アタッカーだと思うんだけど……?」
『運営とのやり取りは任せておけ』
あ、無視した。
『ジョンですワンっ!』
『メグですワンっ!』
順番とばかりに、シェパードっぽいジョンとゴールデンレドリーバーっぽいメグが声をあげる。
「お、おう……。……なあ、ミコト? こいつらコボルトだよな?」
二足歩行もできる大型ワンコ二体に、若干ひいてるミナト。
僕も最初はビックリしたっけなぁ……。
「よかったら、撫でてあげて? ワンコ苦手じゃないなら」
「……えっと、その……いいのか?」
迷いながらも、メグの方に問いかけるミナト。
ちょっとうずうずしてるっぽいところから、ワンコ好きなんじゃないかな? とか思ったり。
『なでてほしいですワン』
しっぽフリフリしながらミナトにゆっくり近づいていくメグ。
その間も、ジョンはお行儀よくお座りしていた。
「おお……。ふさふさだな……」
決して驚かさないようにおとなしくしているメグは、やはりとても賢いと思う。
「最後に、ゴスケさん1号と2号。ワイバーンの骨から作ったゴーレムなんだけど、なぜか変なポーズを取るんだよね」
二体とも、変な、と言ってしまったせいか、両手両ヒザついて落ち込んでいるっぽい。
でもすぐ復活して立ち上がり、なんかポーズを取っていた。
ゴスケさん1号の方が右側で、両手を右斜め上にビシッと伸ばして、2号の方は左側で、両手を左斜め上にビシッと伸ばしていた。
……片ヒザも上げているから、ほんとによく分からないポーズになっているけど。
「……指を合わせると、合体するのかな……?」
『しねぇぞ』
なんか、ミナトがよく分からないことを言ってヤタにツッこまれていた。
や、合体とかするわけないじゃん。
・ミコト : 15 : ♀
ジョブ : 巫
ポジション : 後衛
役割 : ヒーラー、バッファー、サマナー
ジョブ固有スキル :
禊LV1
奉るLV1
神降ろしLV1
※所持スキルは未掲載
・トール : 16 : ♂
ジョブ : 戦士
ポジション : 前衛
役割 : アタッカー
ジョブ固有スキル :
装備適性:武器
装備適性:鎧
※所持スキルは未掲載
・ミナト : 13 : ♀
ジョブ : 魔法少女
ポジション : 前衛
役割 : アタッカー
ジョブ固有スキル :
攻撃魔法:水LV2
体術/格闘LV2
マジカルチェンジ☆ (封印中)
・ヤタ ♂
種族 : 中位妖精
属性 : 風
ポジション : 中衛
役割 : 索敵、指揮、アタッカー
取得スキル :
攻撃魔法:風LV4
ダブルスペルLV3
ツインスペルLV3
索敵LV3
気配遮断LV4
他
・ジョン : ♂
種族 : コボルト
属性 : 地
ポジション : 前衛
役割 : スカウト
取得スキル :
爪牙LV2
嗅覚強化LV2
聴覚強化LV2
体力強化LV2
索敵LV2
気配遮断LV1
吠えるLV2
他
・メグ : ♀
種族 : コボルト
属性 : 地
ポジション : 前衛
役割 : スカウト
取得スキル :
爪牙LV2
嗅覚強化LV2
聴覚強化LV2
体力強化LV2
索敵LV2
気配遮断LV1
吠えるLV2
他
・ゴスケさん1号 (クラフトゴーレム (人型))
種族 : スケルトンゴーレム (変異)
素体 : 竜人 (スケルトン/変異)
属性 : 無し
ポジション : 前衛
役割 : タンク
取得スキル :
槍LV2
弓LV2
体術/格闘LV2
爪牙LV2
尾撃LV2
飛行LV2
ドラゴンブレス (ワイバーン)LV2
技巧LV2
ポージングLV1
他
・ゴスケさん2号 (クラフトゴーレム (人型))
種族 : スケルトンゴーレム (変異)
素体 : 竜人 (スケルトン/変異)
属性 : 無し
ポジション : 前衛
役割 : タンク
取得スキル :
槍LV2
弓LV2
体術/格闘LV2
爪牙LV2
尾撃LV2
飛行LV2
ドラゴンブレス (ワイバーン)LV2
剛力LV2
ポージングLV1
他