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Another Eden Online  作者: 平民のひろろさん
1ー1 第一次βテスト
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第六十三話:閑話:ささやかながら

 祝賀パーティーの様子。

 AEO開発スタッフの視点。

 鈴原さんと面会後、岩崎・梅原の二人と合流して、スタッフ全員が入れる広さの大会議室へ。

 時間前ではあるが、既に半数ほどが来ていて席について話をしていた。

 その話の内容も、これまでの成果とこれからの課題と、帰還した二人のこと。


 さっきのことを思い出し、つい、ちっと舌打ちしてしまう。


 鈴原さん、平気そうに見えたが、実際のところはどうだったのか……。


「なあ岩崎、小林さんの方はどうだった?」


「はい、主任。一見落ち着いているように見えました。体の方は問題なさそうですけど……」


 岩崎には、βテストから帰還したもう一人の女性について口を濁す岩崎を見て、つい、問い詰めるようなことを言ってしまう。


「けど、なんだ?」


「……えーと……私見ですが、まだ実感がわかないというか、戸惑っているというか……。元気なのが、どこも痛くなく苦しくないのが違和感って、言っていて、……その、戸惑ってました」


 マジか……。健康なのが違和感って、どんだけ辛い思いをしてきたんだ……?


「主任の方は、どうでした?」


「あー……。若返ってたな。(ひょう)(ひょう)としてたのは変わらずだったから、元気そうには見えた」


「しゅにーん、あたしにはなんもないんですかー?」


「梅原、お前は黙ってろ」


 ……こいつ、叱るように言われたのに、なんで恍惚とした表情になってんだろうな……?


 そのまま二人と話しているうちにいい時間になり、部長も姿を現した。


 その部長が言うには、乾杯したあとコース料理が振る舞われるのだそうだ。

 だったら、こんな会議室じゃなくて……などと思っているうちに、部長のスピーチが始まる。

 (ねぎら)いの言葉が主だったために聞き流していたが、食前酒代わりのドリンクが配られ、それで乾杯するのだという。



「では、今後とも励んでもらいたい。こことは違う、新たなエデンに乾杯」


 乾杯。上がった声は、さすがにバラバラ。

 透き通った緑色のドリンクは、爽やかな香りとほどよい苦味。

 ……なんというか、お茶? 少なくとも、酒ではない。

 首を捻って、周りを見てみれば、同じように首を傾げている者もいた。


 そのうちに、前菜の皿が配られ、食事が始まった。

 酸味の利いたソースが美味だし、ソースで花の絵を描くとか、芸は細かいのだが……。俺としては、もっとガッツリと食べたいところだ。

 ものすごく美味いんだけどな。


 次はスープ。具は野菜みたいだけど……。うん? とんこつ、みたいな味? 飲んだら、余計に腹が減ってくる不思議な感じだ。


 次は、魚料理か。白身魚の……。あ、ムニエルだって。岩崎が教えてくれた。

 骨も取り除かれてるし、柔らかくて食べやすくて淡白な味。

 岩崎は美味しいですって言ってるけど、俺にはよく分からんかった。


 次は、肉料理。と思ったら、メインディッシュらしい。

 見た目は豚肉のステーキだが、……なんだこれ? 匂いを()いだ瞬間から、よだれが止まらないぞ?

 無我夢中で食べ、気が付いたらなくなっていた。

 これはヤバい。天にも昇る心地だった。

 自分で言ってて意味分からないが、この美味さをどう表現すればいいのか、まるで見当がつかなかった。


 生野菜のサラダで口をさっぱりさせたあとは、デザートの果物がたっぷり乗ったタルト。

 見た目は華やかだし、甘さと酸味のバランスがよく、上品な味わいだった。


 コース料理としては、これで終わりらしい。

 足りない人にはもう一品出すということで、俺は少し足りないからもう一品を頼むが、岩崎と梅原はもう十分だそうだ。


 今日のところはこれで解散なようだ。


 部長が一声かけて退席したあとは、帰宅することにする。

 岩崎と梅原は、落ち着いたら合流するらしい。

 とりあえず俺は、帰ったら寝ることにするよ。また明日から頑張るためにな。



※βテスターレポート (簡易版)


 ・名称 :小林(こばやし) 佐知子(さちこ)

 ・性別 : 女性

 ・年齢 : 五十四

 ・状態 : 病気による余命宣告、寝たきり(詳細は個人プロフィール参照)



※アバター獲得後


 ・外見年齢 : 二十代後半

 ・・補足 : 年齢は半分ほどになると思われる。


 ・状態 : 健康 (予測)

 ・・補足 : 外見上は、病気の痕跡は認められない。精密検査の結果待ち。



 ・スキル :

 ・・杖LV1

 ・・短剣LV1

 ・・攻撃魔法LV1(水属性)

 ・・回復魔法LV1

 ・・生活魔法LV2

 ・・料理LV3

 ・・目利きLV2

 ・・包丁(さば)きLV2

 ・・食材知識LV1

 ・・調剤LV2

 ・・植物知識LV1

 ・・薬草知識LV1

 ・・毒物知識LV1

 ・・応急手当LV1



 ・EXスキル :

 ・・苦痛耐性LV3

 ・・精神耐性LV3

 ・・スマイルLV3


 


※フルコース(wikiより抜粋。)

 ・前菜

 ・スープ

 ・魚料理

 ・肉料理(ロースト以外)

 ・ソルベ(口休めとして)

 ・ローストの肉料理(肉料理と一緒にする場合も)

 ・生野菜

 ・甘味

 ・果物

 ・コーヒー

 

※他のあちこちを見ていると、ソルベがなかったり、ローストの肉料理の名前がメインディッシュだったり、甘味と果物を合わせてデザートだったり、コーヒーじゃなく名前がドリンクだったりします。


 料理に詳しい人から見ると、本文内のコースはなんじゃこりゃかもしれませんが。



※本文内でのコース

 ・乾杯した食前酒 (AEO世界産薬草茶)

 ・前菜

 ・スープ (オークジェネラルのドロップ《オークジェネラルの骨》使用)

 ・魚料理

 ・肉料理 (兼メインディッシュ)(オークキングのレアドロップ《天上の豚肉》使用)

 ・生野菜

 ・デザート (AEO世界産果物)


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― 新着の感想 ―
[良い点] そっかー、人を持ってこれるならアイテムも持ってこれるよね......。 上手く使えば食糧自給率が賄えるのでは・・・!? 等と思いつつも、事故が起きない事を願いたいものですね。(モンスターし…
[良い点] いやぁ なんとも不思議な世界観ですね。 VRMMOからSFにまで繋がる。 面白い発想だと思います。 [一言] 完全に姿が変われば、新たな人間として 生きていくしかないでしょうけど、 これっ…
2021/03/30 07:28 退会済み
管理
[一言] >「では、今後とも励んでもらいたい。こことは違う、新たなエデンに乾杯」 Another Eden Online!!! 《天上の豚肉》食べたい( ˘ω˘ )
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