第五十一話:閑話:六日目
AEOスタッフルームにて。開発室主任:赤井視点。
(注)連勤六日目。色々突き抜けたっぽい。
今日も朝からミコト嬢を見守って、拠点が充実していくのを我がことのように喜ぶ。
ああ、ミコト嬢は今日もかわええなあ。そう思いながら見守っていると……。
「ふぁあっ!?」
なんと、ミコト嬢が倒れたではないか!?
しかし、トール少年、グッジョブだ。
……あー、心臓に悪りぃ……。
ほっとひと息つきながら、たった今確認された不具合をイラつきながら修正し、その後目を覚まし昼食を世話されているミコト嬢の様子をニマニマしながら見ていると……。
「……うっわ、主任キモ……」
小さな声に振り向けば、全身で嫌悪感を表現している梅原。
……なるほど、喧嘩売ってるんだな。もう許さん。お前は今すぐ泣かす。
梅原を、隣の仮眠室まで無理矢理引っ張り、ベッドに転がす。
……さて、悪い子には、オシオキだ!
しばしの間、仮眠室に部下にして後輩の情けない悲鳴が鳴り響いた。
「……ふう、スッキリした」
オシオキを終えて、大きく延びをする俺と、
「……あの、主任。まだお尻痛いんですけど……。いえその、上司に対しての態度じゃなかったのは認めますけど、ヤりすぎじゃないです……?」
尻を押さえて中腰でフラフラしてる梅原。
まだ、減らず口叩くか?
右手をゆっくりあげれば、ビクッと震えてすぐに謝ってきた。
「ご、ごめんなさい。許してください」
手を下ろせばほっとする梅原。
で、また手を上げれば、またビクッとする梅原。
面白い……いや、面白くはないんだが、そろそろ学習して欲しい。
この梅原と岩崎とは、学生時代からこんな感じで、いつも梅原が何かやらかして、いつも俺と岩崎がフォローしていた。
さっきだって、この梅原がいつの間にか勝手にスキル取得条件設定していて、ミコト嬢が新たなスキルをゲットしていたからな。グッジョブ。
……いやいや、こんな簡単にスキルを取得されてたまるか。相手がミコト嬢なら、喜んでなんぼでもあげるけどな!
梅原に聞いてみれば、
「MPを使いきって成長とか、常識じゃないですか!」
と力説していた。
……これは、AEOは、お前が責任者のゲームじゃないんだが。
スキル一つの扱いだって、会議にかけて部長のゴーサインがいるんだが。
こんな風に、今まで何度も勝手にやってきて、この都度、俺と岩崎が尻拭いをしてきているんだ。
OSHIOKIしないと、すぐまた勝手に設定を変えたりするんだよ。
暴力反対? ハラスメント行為?
俺たち三人は、ずっとこんな感じでやってきたんだよ。バカ騒ぎの一環だ。
それを証拠に、梅原はよだれを垂らしながらニヤニヤ笑いを浮かべて、腰をくねらせながらキモいセリフを吐いていた。
「うへへへへ……また、先輩にオシオキされちゃった……♪岩崎先輩より、また一歩リード♪」
……こいつ、ヤバイかもしれん……。




