第四十九話:色々作る
拠点の周囲を歩くだけでも、結構な時間がかかる。
けれど、薬草を収穫して種にしてまた植えてとやってみても、昼にはまだ時間がある。
野菜や果物を収穫できるようになれば、半日はかかると思うけど、今はまだ、時間が半端に余ってしまった。
うーん、なにをしようか?
……そうだ。
「トールくん、服を作るよ。拠点に戻ろう」
「うん、分かったよ」
あ、これは、なにをするか、誰の服を作るか、分かってない感じだね。
リビングに当たる畳の部屋に集合。
ここからは、ワンコ二体は退屈かもね。
トールくんが剣やナイフが取り付けられた腰のベルトを外すのを見て、武器などを収納しておけるアイテムボックスに近い装備などが無いか、ちょっとだけ気になったけど。
「……えーいっ」
腰にギューッと抱きつく。
ちゃんと意味のある行為だけど、しばらくこのままでいたいなーと思ったり。
……えーと、細く見えるのに、しっかり筋肉付いてる感じで、なんか、ドキドキしちゃうよ。
「ミコト、どうしたの?」
「えへへー。ナイショ」
笑ってごまかしつつ、腕と手を使って、胴回りや肩幅などを測定。大きさをイメージしていく。
……でも、前から後ろからしがみついているけれど、トールくんは特に反応しない。僕はドキドキなのに。
おかしい。男の子なら、なんというか、こう……。
『ご主人さま、ワタシもだっこして欲しいですわんっ!』
メグがしっぽをブンブンさせながら甘えてきたので、今度はメグをハグしてナデナデした。かわいい!
既に目的から逸れているけど、楽しいからいっかー。
などと思いつつ、トールくんを見てみれば、穏やかな表情でジョンの背中を撫でていた。
ジョンもまた、ゆさりゆさりとしっぽを振り、気持ち良さそう。
こういう穏やかな日、いいなあ。
さて、メグと戯れて満足したあとは、生産の時間だ。
素材はアイテムボックスにたくさんあるから、ちゃちゃっと行こうか。
鬼の腰布×6を消費して、グレーのジーンズ×3を生産。
鬼の腰布×3を消費して、黒いトランクス×3を生産。
鬼の反物×3を消費して、白いワイシャツ×3を生産。
鬼の反物×3を消費して、白いTシャツ×3を生産。
鬼の反物×3を消費して、白いソックス×3を生産。
鬼の腰布×10を消費して、グレーのツナギ×2を生産。
今のところは、これでいいかな?
ツナギ一着は、僕用として、あとは全部、トールくんにプレゼント。
「トールくんトールくん。これ、着てみてほしいんだけど。多い分は予備ね」
「……え? ……えっと、これは……?」
「みての通り、服を作ってみたんだよ。さっきギューッとしたのは、服のサイズを測ってたの」
戸惑うトールくんに、にこにこしながら応えれば、しばし呆然としていた。
「……ありがとう。大事に着させてもらうよ」
そして、瞳を潤ませながら、本当に嬉しそうに笑っていた。
トールくんが嬉しそうで、僕も嬉しいよ。
さて、次は、労働力の問題を解決できないかな?
現在、手元にはこんなものがあるんだよね。
・ゴーレム・コア×4
これを核にして、ゴーレムが作れるらしい。
なら、利用しない手はないよね。
……いざ。
・ゴーレム・コア×1を消費して、クラフトゴーレム (人型)を生産します。
・素体となる素材を選択してください。
ワイバーンの魔石×1
ワイバーンの頭蓋骨×1
ワイバーンの骨×4
ワイバーンの尾骨×1
ワイバーンの牙(小)×6
ワイバーンの爪×4
ワイバーンの翼(片翼)×1
ワイバーンの皮(大)×1
ワイバーンの鱗×20
・素材とMPを消費して、クラフトゴーレム (人型)を生産します。Y/N
もちろん、イエス!
その、瞬間。
スイッチを切ったように、視界が真っ暗になって…………
「ミコト!?」
誰かの慌てたような声が、聞こえた気がした。
リザルト
クラフトゴーレム (人型)を生産しました。
素体:竜人 (スケルトン/変異)
所持スキル:
・槍LV2
・弓LV2
・体術/格闘LV2
・爪牙LV2
・尾撃LV2
・飛行LV2
・ドラゴンブレス (ワイバーン)LV2
・料理LV1
・掃除LV1
・洗濯LV1
・採取LV2
・農業LV2
・酪農LV1
・動物の世話LV1
・植物の世話LV1
・生産LV1




