第四十六話:次は牛舎へ
例えば、そうだな……。
他のプレイヤーは、拠点の整備と施設ポイントは得ているのだろうか?
もし、ポイントを得ていなかったり、拠点を整備していなかったりした場合……。
……中位妖精 先触れ:ヤタ
牛舎へ行くと、なんとなく、鶏舎より空きが目立つような気がした。
実際は半分以上埋まってるから、気のせいだと思うけど。
現在の《牛舎LV1》では、飼育可能数が二十頭となっている。
チケットで交換した数は、十二頭。
あと、八頭は増やせるね。
水と飼料は自動で供給されるみたいだけど……?
な、なんだか、牛たちみんなが僕を見ている気がするよ?
「……と、トールくん? なんか、どうしよう……?」
興味津々といった様子の牛たち。その圧に負けて助けを求めれば、
「大丈夫。牛たちも、ミコトのことか気になるみたいだよ?」
まずは、挨拶してみようか? と、トールくんが一番近い牛に手を伸ばせば、牛も手に頭を擦り付けてきていた。そしてそのまま、慣れた様子で鼻から頭へと撫でていく。
「ふわー……。トールくん? 牛を育てたことはあるの? なんだか、慣れてるみたいだね?」
若干尊敬の眼差しで見つめてみれば、なんだか照れくさそうに頭を掻くトールくん。
「……うん、まあ、ね……」
けれど、なんだか歯切れの悪い返事。
聞いちゃいけないことだったのかな?
そういえば、トールくんのこと、まだあまり知らないや。
生まれはどこで、家族や……その、こ、恋人、とかは……?
うん、僕のこともあまり話してないし、いずれ近いうちにちゃんとお話ししないとダメかも。
『どうせ聞かれるだろうから先に言っとく。鶏舎と扱いは同じだ。メニュー画面の《拠点》、《各施設》、《牛舎》の項目から、色々いじれるぞ』
《拠点》の項目の下に《各施設》。その下に、《鶏舎》、《牛舎》と並んでいて、そのうちの《牛舎》を確認してみる。
・自動給餌設備LV1 × 20頭分
・自動給水設備LV1 × 20頭分
・自動空調&管理LVー
・自動搾乳器LVー
・その他 : 快適化施設LVー
上二つの飼料と水は最初からセットされていたけれど、下三つ……一番下のその他は、項目がたくさんあるので割愛……は、灰色になっていた。
つまり、鶏舎のように設備を買えということだね。
・自動空調&管理LV1 : 2000 ポイント必要
・自動搾乳器LV1 : 2000 ポイント必要
・その他 : 快適化施設LV1 : 4000ポイント必要
・所有施設ポイント : 0 ポイント所有
最大で牛二十頭飼育できる施設の設備を買うのに、金貨一枚(銀貨100枚)でお釣りが出るというのも……。
『一応言っておくが、通常はここまで安くないからな?』
「あ、はい」
しっかりと釘を刺されちゃった。
施設の値段、普通はもっと高いみたいだね。
なら、今の僕は恵まれてるのかなぁ?
各施設を購入すれば、牛舎内が一気に様変わりする。
これまでの自動給餌・給水に加え、天井には空調、壁際に搾乳器、消臭のための換気扇、牛の体を洗う洗浄機、ウォーターベッドなど、色々追加された。
心なしか、牛たちも嬉しそう。
トールくんが牛に話しかけたり撫でたりしてる間に、牛乳を採れるか確認しようかな。
「《鑑定》」
・乳牛
状態 : 健康 ・ 搾乳可
容量 : 16%
健康なのは良いことだけど、容量って……。
表示はリットルじゃないんだね。どれくらい牛乳が採れるのか、これじゃはっきりしないなあ?
実際やってみようか? と、一頭の乳牛を見ていれば。
他の牛たちも興味深そうに近寄ってくる。
柵に阻まれているとはいえ、体の大きな牛たちの圧は結構なもので、ちょっとビビる。顔も大きいし。
けれど、目は優しそうな感じなので、そーっと手を伸ばせば、待ちきれん。撫でろ。とばかりに頭を押し付けてくる。
最初は遠慮しながら撫でるけれど、もっと撫でろー。とばかりに頭を動かすので、ちょっと強めに撫でたり、カリカリと掻いてあげたりすると、気持ち良さそうに目を細めたりするんだ。
「な、なんか、可愛いかも……」
ごく自然に、そんな言葉が出てきた。
そのまま少しの間撫でたかと思えば、満足したとばかりに自分の場所へ戻る牛。
そしたら、次の牛が撫でろーと頭を押し付けてくる。
……これは、全部撫で終わらないと次に行けないやつ……?
他の牛を見てみれば、まだかなー? とばかりにじっと見つめて様子をうかがってくる。
よーし、それなら、全員満足するまで撫でてあげようじゃないか!
リザルト
《牛舎LV1》 : 最大飼育可能数 : 20頭。
飼育中 : 牛12頭。
・乳牛12頭。
《自動給餌設備LV1》 × 20頭分(設置済み)
《自動給水設備LV1》 × 20頭分(設置済み)
《自動空調&管理LV1》 × 20頭分
《自動搾乳器LV1》 × 20頭分
《快適化施設LV1(各種)》 × 20頭分
各施設、20頭分購入、設置。
・現在、施設レベルを上げることは出来ません。