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Another Eden Online  作者: 平民のひろろさん
1ー1 第一次βテスト
40/191

第四十話:閑話:賢者 シオリ

 トライ&エラーは基本。

 だからって、一人で出来ることには限界があるわね……。


 ……《賢者》シオリ

 三日目。

 視線のずっと先にある《大森林》に行くには? 徒歩だけ? と妖精のインデックスに聞いてみれば、しばし首を傾げた後、目の前に森があった。


 その時、いくよ、とインデックスの小さな声を聞いた気がしたけど。


 それで、これは、どういうこと?


 首を傾げたままのインデックス。


 その表情は、森にいかないの? とでも言いたげ。


 ……ああ、もう。言うつもりはないってことね。


「……じゃ、行きましょう」


 言いたいことはあるけれど、まずは戦闘と採取に挑むわよ!



 最初に修得していた魔法は、水と土。

 これは、森の中では猛威を振るうことが出来た。


「《ダブル》《ウォーターボール》《アースボール》」


 消費を増やす代わりに、二連発出来る魔法スキル、《ダブルスペル》と、二種の属性魔法を連発すれば、回避も許さずに魔物を倒すことが出来た。


 ……と、いうか、倒したのは大体ゴブリンだったけれど、想像以上にキモかった。

 ニチャアと粘つくような笑い顔。

 本能的に思ったわ。


 こいつらは、敵だと。


 少しでも距離を取りたい。そのために、次の武器を使ってみる。


「《飛び出る魔物図鑑》起動」


 左手に持った図鑑が自動で開いて、登録されている魔物が文字通り飛び出す。


 ……で、眉をしかめることになった。


 思った以上のMPと、魔物に対応した素材が勝手に消費された。


 ……一切説明がないままに。


 さらに、出てきた魔物……ゴブリン……に、マイナス補正が掛かっていた。


 試しに、武器を持たせた状態で、素手のゴブリンとタイマンやらせてみた。


 で、結果。


 ぼこぼこにされた上武器を奪われてトドメを刺された。


 確認次第、敵の方を《アースボール》でサクッとやった。


「…………想像以上に使えないわね…………」


 最初から便利なアイテムをたくさん手に入れたことで、しばらくは無双出来るかと思ったけれど、どうやらそう楽にはいかないらしい。


「仕方ないわね。やれることをやりましょう。インデックス、ナビをお願い」


 無口な妖精は、何事もなかったように、コクコクと首を縦に振っていた。


 この日の残りの時間は、素材を集めることに専念することになった。

 といっても、魔物を倒すことがメインだったけど。

 食材は、特に必要性を感じなかった。

 拠点にある食材で、特に不満もないから。

 それに、甘いお菓子なんてさすがに無理だろう。

 お茶の葉があったのには驚いたけど、そのまま飲めるわけでもなし。必要は……あるかも。

 インデックスにトレードの素材になる? と聞いてみれば、他の妖精に確認を取ってくれた模様。

 結果は、オーケー。しかも、そこそこ高いレートで引き取ってくれるそう。

 ……それなら。


「インデックス、このお茶の葉、採り尽くしたら、どんな問題がある?」


 首を横に振る妖精。つまり、問題はない、と。


「インデックス、最適な採取方法を教えてちょうだい」


 採取だヒャッハー、となる性格でもないので、淡々と、慎重にこなす。

 葉を丁寧に摘み取っては、木の皮を編んだような(ざる)に乗せていく。

 ある程度盛り上がったら別の笊へ。

 また貯まったら、また別の笊へ。

 数えもしなかったけれど、十では足りないくらい、笊をいっぱいにした。


 ……ところで、この笊、どうやって用意したんだろう?

 まさか、これもトレード? だとしたら、もったいないわね……。


 時間的に、そろそろ森を出ないと暗くなるというので、引き返すことに。

 帰り道は採取しない方向でいけば、だいぶ早く森から抜けることが出来た。


 それでも、日が沈みきる前くらい。

 ゆっくりしていたら、辺りは真っ暗になっていたかも。


「インデックス、帰りもおね」


 お願い、と言おうとしたら、既に拠点の洋館は目の前だった。


 ……さすがに、一言声をかけて欲しい。……と思いながら、この無口な妖精は気にしないかもしれない。などと思ったりもした。



 四日目。


《飛び出る魔物図鑑》の使い方を考えてみた。

 昨日は、何がいけなかったか?

 それは、単純に使い方が分からなかった点。


 こちらからのアプローチは可能か?

 昨日集めたゴブリンの素材を、一度に複数体分使えるか?

 MPは、余分に消費すれば強化できるか?

 あと、装備。鉄製の防具は重すぎないか?


 さて、意識して、いってみよう。


 ・三体召喚。

 ・消費する素材を、倍に設定。

 ・MPは、六体分。

 ・鉄のナイフ、皮の鎧、皮の兜、皮の手甲を装備。


 ……これでどう?


 さて、結果は……。


 ・三体召喚成功。

 ・マイナス補正なし。

 ・武器防具を装備済み。



 ……よし、成功。あとは、ちゃんと戦えるかどうかね。

 前進、あるのみ!



 結果は、満足のいくものだった。


 マイナス補正もないため、一体一なら装備の分余裕をもって戦えるし、三体一なら一瞬だった。



(《飛び出る魔物図鑑》は、オートで使うものではないようね)



 満足して大きく頷く。


 ふと、無口な妖精を見てみれば、心底興味ないとばかりにそこらを適当に見ていた。



(……もう、少しはこっちを見てもいいじゃない)



 不満はあれど、結果には満足できた一日だった。



 リザルト


 ・本LV1 → LV2


 ・攻撃魔法LV1 → LV2

 ・・水属性魔法LV → LV2

 ・・土属性魔法LV → LV2


 ・ダブルスペルLV1 → LV2


 ・消費MP軽減LV1 → LV2


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― 新着の感想 ―
[一言] 賢者もキタッ!!! 着々と役者が揃っていきますね! そしてインデックスのキャラがイイですねえ! 無口キャラって小説で書くのはとても難しいと思うんですが、見事にキャラを立たせてますね! いつか…
[良い点] 各人物の視点、思考が当然違うので、 いろいろなアプローチの取り組み方が見えて、 面白いですね。 [一言] ここの妖精は、今までで一番厄介かもしれませんね。 まだ始まりなので、後から化ける…
2020/06/29 20:11 退会済み
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