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Another Eden Online  作者: 平民のひろろさん
1ー1 第一次βテスト
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第二話:キャラ、メイキング出来ない

 楽園へようこそ。


『ダイブ・コンプリート。新たなエデンへようこそ。我々は、あなたの来訪を歓迎します』


 電脳世界へのフルダイブは、明晰夢(めいせきむ)で目を覚ます感覚に似ていると言う。


 夢の中で目を覚ますとか、正直よく分からないけれど、目を覚ます、という感覚は何となく分かった。


 目に映るのは、灰色の世界。

 辺り一面、何もない。

 自分の身体も曖昧(あいまい)な、不思議な空間だった。

 周囲を見渡してみるけど……。


『おーい、どこ見てるんだよ?』


 女性の声とは違う、生意気そうな子供の声。

 どこよ? とキョロキョロと声の主を探してみるけど、やはり何も……?


『おい、無視すんなコラ。お前の目の前にいるぞ』


 目の前?

 改めて、正面を向いてみる。

 ……で、視線を少し上に向けると、トンボのような透明な羽を持つ小人がいた。

 …………うん、ちっさ!


『ようやくか。めんどくせーからさっさとキャラメイキングやるぞ』


 ずいぶんと口の悪い羽虫だなー。やる気くらい出しなよ。


『……つっても、キャラクターは、事前にスキャンしたバイタルデータそのままだけどな。文字通りメイキングしたいなら、正式サービスまで待ってくれ』


 うん? なら、自分の身体も曖昧なこの灰色の空間は、何のために?


『この灰色の空間は、制作中を表現するためにわざとこうなんだと。ぶっちゃけ意味ねーな』


 ……この羽虫とも、会話が成立してるのかな?


『正式サービスだと、種族や、身長、体重、体格、髪の長さや色なんかもここで設定するんだ。今はまだテスト段階だから、正式サービスまで待てって説明するだけの場所』


 あ、そう。

 そんなにめんどくさそうに話さなくても。

 ため息吐きたいのはこっちなんだけどな。

 この羽虫、チェンジしてくれないかな?


『じゃ、こっち。ついてこい。次に行くと、キャラメイキングの結果が反映されるから』


 今はまだテスト段階だから、アバターは僕の姿そのままってことだね。


 羽虫が指差した方向にスポットライトが当てられ、何もない空間に両開きの扉が現れた。

 木製の扉は、どこか厳かな雰囲気を放っている。

 その扉が、僕を歓迎するかのように音もなく開かれた。


 なんか、いい……。


 粋な演出に感動していると、羽虫が騒ぎだした。


『さっさと来いよグズ』


 もう、うるさいよこの羽虫。空気読め。

 ただいま準備中でございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ほうほう、自分が反映されたキャラなら、動きやすそう。 しかし、口の悪いアナウンスが続きますなぁ。 はっ、これにも何か理由がっ!? [一言] まさにひろろワールドが展開されました! サー…
[一言] 妖精のキャラがイイっすね!w これは先が楽しみです!w
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