第百八十六話:二十四日目
・常設クエスト:鉄と石炭
鉄は素材に、石炭は燃料に。
工業製品を作り出すためには、どちらも欠かせないものとなる。
鉄インゴットと石炭を納品してほしい。
よろしく頼む。
・依頼者:運営
・対象:鉄インゴット×10、石炭×20。
・報酬:銀貨30枚+ランダム魔物素材×2。
・備考:鉱石では受け付けない。
・備考:この依頼は何度でも受注できる。
・常設クエスト:銅を求める
銅は、現代の社会には欠かせないものだ。
理解し難いが、公共物に使用されている銅製品の盗難が起きるほど価値があるものだという。
銅インゴットを納品してほしい。
よろしく頼む。
・依頼者:運営
・対象:銅インゴット×10。
・報酬:銀貨20枚+ランダム布製品×1。
・備考:鉱石では受け付けない。
・備考:この依頼は何度でも受注できる。
・常設クエスト:貴族たるもの
銀は食器として好まれる。
ある種の毒に反応する性質があるからだと言われているが、装飾品などにも用いられ、確かな価値を見出されている。
銀色の輝きは、尊き血筋のものも満足させるものがある。
銀インゴットを納品してほしい。
よろしく頼む。
・依頼者:運営
・対象:銀インゴット×2。
・報酬:銀貨40枚+ゴーレム・コア×2。
・備考:鉱石では受け付けない。
・備考:この依頼は何度でも受注できる。
・常設クエスト:価値あるもの
金は、いつの時代もどの世界でも価値あるものとされていた。
黄金の輝きは、人の心を容易に狂わせる。
それほどの魅力を、古来より認められている。
金インゴットを納品してほしい。
よろしく頼む。
・依頼者:運営
・対象:金インゴット×1。
・報酬:金貨10枚+指定魔物素材×1+希少アイテム交換用チケット×1。
・備考:鉱石では受け付けない。また、純金でないと受け付けない。
・備考:指定魔物素材は過去に入手したものに限定される。また、希少アイテム交換用チケットは、10枚貯まるとリスト内の希少アイテムと交換できる。
・備考:この依頼は何度でも受注できる。
・常設クエスト:医療の可能性
医療は、人の歴史とともに成長し、幾多の苦難を経て進化し続けてきた。
しかし、それでも限界はあるものだ。
その限界を越える可能性を求める声に応じよう。
ポーションを納品してほしい。
よろしく頼む。
・依頼者:運営
・対象:ポーション×1。
・報酬:銀貨×20枚。
・備考:この依頼は何度でも受注できる。
・ロックスライムから送られてきました。
・レッドストーン×10
・ブルーストーン×10
・グリーンストーン×10
・イエローストーン×10
・ホワイトストーン×10
・ブラックストーン×10
・魔鉄インゴット×10
・魔鋼インゴット×10
・鋼インゴット×20
・鉄インゴット×30
・銅インゴット×40
・金インゴット×5
・銀インゴット×20
・プラチナインゴット×5
・ミスリルインゴット×5
・石炭×100
・火燃石×20
「おお〜」
《無限鉱山》の北側にあるドワーフの里から帰り、明けた翌朝。
鉱山内でテイムしたロックスライムのスキル《接続》によって僕のアイテムボックスに送られてきた金属類を見て、思わず声を上げた。
毎日これだけ送られてくるのであれば、もうずっと金属類には困らないかも。
『ミコト、おはよう。運営からクエストがきているから確認しておけよ。今回のは常設クエストといって何度でも受注ができる』
「おはようヤタ。確認しておくね」
《拠点》内の僕の部屋には姿を見せないヤタに挨拶を返して厨房へ。
まずは朝ごはん。今日は何を作ろうかな?
「ごちそうさまでした」
みんなで朝ごはんを食べて、片付けをする。
さて、今日は何をしようかと思ったところで、ヤタから声がかけられた。
『ミコト、第六開拓村の件で、《北の街》の領主に王からの手紙を渡さないといけないだろう。北の街に行ってきた方がいいんじゃないか?』
ヤタに言われて、ちょっとしょんぼり。
やりたいこともやらなくちゃいけないこともたくさんあって、ちょっと大変だねえ。
「ミコトさん、街に行くなら、子どもたちと一緒に行ってみてはどう? それだと私も安心だわ」
交代で街に薬草を売りに行くちびっ子たちのことをライラさんに頼まれたので、そうしようか。
行き先は冒険者ギルド。ちびっ子たちは薬草を売りに。僕らは北の町の領主と兄弟だという冒険者ギルドのマスターに会いに。
準備ができ次第、北の街へ。
……と、その前に。
「リンドくんリンドくん、これ、使って?」
リンドくんに、ワイバーン素材の槍と軽鎧とインナーシャツにズボン、手甲脚甲、手袋に靴を渡す。
「ミコトちゃん、これは……?」
「ワイバーン素材の武器防具だよ。僕らみんな装備してるから、リンドくんもその方がいいかなって」
「いや確かに、今の俺の装備よりどれも良いものだけれど……。ミコトちゃん、これは、とても価値のある装備だよ。それを、どうして俺に?」
出会ってからずっと一緒に行動して一緒に戦っていた人に、より良い装備をと気が付かないのがおかしいくらいだったのに。
ワイバーン素材の各装備を渡されたリンドくんは、戸惑っている。
もらっていいか以前に、なぜ渡されたかよく分かってないみたい。
「どうしてって、リンドくんももう家族だからね。ステラの弓も、僕がエルフの里に譲渡したものだし、戦う人で僕からなにも渡してないのはリンドくんだけだよ? 遠慮しないで」
ステラには直接手渡していないから、リンドくんにも装備を渡していないことに気がつくのが遅くなっちゃった。
悪いことしちゃったな。
「…………大切に使わせてもらうよ」
うんうん。大切に扱ってくれると嬉しいな。
「……どうだろうか? サイズはピッタリだけれど」
装備を一新したリンドくん。
全体的に鋼色や黒に近い鉄色だった姿が、緑や白の落ち着いた色になって、僕らとも統一感が出た感じ。
「……うん、似合っている、と、思う」
そんなリンドくんに、珍しいくらいたどたどしいステラ。
胸当てや手甲がおそろいなのは、いい感じだよね?
「じゃあ、《北の街》に行こうか」
ちびっこたちと連れ合って、地下の物置に設置してあるホームポータルから孤児院へ転移。
僕らとちびっ子たちと護衛のリビングアーマーたちとで10人を越す団体になって孤児院の庭に出ると、先日も見かけた目付きの悪い先輩エルフのキトーくんと、年少組のちびっ子と同じくらいの年の、ボロを着て裸足といういかにもな孤児の子が4人。
僕が目を合わせると、わずかな怯えをみせるこの子たちは、いったいなんだろう?
「おはよう。きみたちはどこの子かな?」
しゃがんで目線を合わせて問いかけると、目をそらしてうつむいてしまった。
…………あれー?




