第十八話:採取と、そして……。
仲間が強いのに越したことはないんだけど……。
ヤタのナビゲートは優秀で、既にりんご、ぶどう、桃、柿、みかん、ラズベリーといった果物や、栗、ドングリみたいな木の実、大豆に小豆、そら豆、ピーナッツみたいな豆類、山芋にじゃがいもといったイモ類と、大量に手に入っている。……種類だけは。
それぞれの量は少ないし、木をまるごと持っていきたかったけれど、ヤタから止められた。
果物みたいに、花や実が特徴的な木を目印にして森を歩く人もいるそう。
……と、いうことは、さっき木を伐り倒したのは……。
『おう、普通に迷惑だな』
……はい、反省しました……。もう、勝手に伐りません……。
と、言いつつ……。
『右斜め前の太いやつ……おう、それだ。それから、正面の細め三本。左斜め前の曲がったやつ』
ヤタの指示で、歩きながら木を伐り倒している真っ最中でした。
それぞれ違う木を伐っているようで、合間にログを見て、何の木を伐ったかようやく知るって感じだった。
ヤタに聞いてみれば、これから先、なんの木が必要かまだ分からないし、森の地面に光が射さないくらい木々が生い茂っているのは、あまり良くはないのだと言っていた。
出てくる魔物は二体のワンコが秒殺だし、僕は、倒した魔物を収納しつつヤタの指示で木を伐っていれば……
『ご主人さま』
ジョンが、警戒した声を出す。
『血の臭いがしますワン』
鼻をスンスンさせながら、メグが問うてくる。
それは、なんの? あるいは、誰の?
『『人間の血の臭いですワン』』
ジョンとメグが口を揃える。
途端に、心臓が鷲掴みにされたような気分になる。
見えないくらい離れていても臭ってくるくらいの、出血……?
「い、行かなきゃ……。みんな、行くよ!」
念のため付与を掛け直し、二体のワンコに臭いをたどってもらいながら、走ること5分。
少し開けた場所で行われていたのは……!
「こっち向け、ブタ共!」
装備を梓弓と鏑矢に変更し、二足歩行のブタみたいな魔物、オークの頭めがけて一矢。
やかましい音をたてながら飛ぶ鏑矢が、振り向いたオークの頭に命中。一撃で撃破。
けれど、僕と同じくらいの年の少年を、囲んで代わる代わる殴る蹴るしていたブタ共は、残り九体。
血まみれの少年を見て、完全に頭に血が上っている僕は、
「一匹残らず仕留めろ!」
薙刀へ装備を変更し、我先にブタ共に襲いかかった。
……うん、正確には、我先に襲いかかろうとした。そしたら、
『《ダブル》《ウインドカッター》』
ヤタは両手で魔法を二つずつ発動、四つの風の刃がオークの首を飛ばし、
『『《ツインスラッシュ》』』
ジョンとメグの二連撃で、四体のオークが沈み、
『《ウインドアロー》』
ヤタの魔法で、最後のオークの頭が撃ち抜かれた。
……ああ、もう。オーク、邪魔。薙刀もまとめて収納、収納、収納!
優秀な仲間たちのおかげで、僕は何に遮られることもなく少年の元へと駆けつけることが出来た。
・リザルト
オークの魔石×1
オークの皮(大)×1
高級豚肉(大)×1
オークチョッパー×1
オークの死体(状態:最良)×9
を入手。
《付与》LV3→LV4
・《付与・自動回復》
・《付与・魔防》
を取得。
○設定
○鏑矢 (武器/金属/矢)
:レア度3
・運-4
・特攻:飛行3
・射つたび、敵全体にスキル《挑発》発動。
・ドロップについて
・この世界のものが魔物を倒した場合、自力で解体して素材を確保しなければならない。その代わり、倒し方次第ではプレイヤーより多くの素材を得ることが出来る。
・プレイヤーが魔物を倒した場合、ドロップ品に変わる。確定ドロップがあるため、たとえ消し炭にしても最低限の素材は確保できる。
また、通常では得られないレアドロップが存在する。