第百七十八話:ゴーレム追加
いきいきと毒草やキノコを採取していたバフォメットとゴスケさん3号と別れて、北東の薬草・甜菜エリアへ。
すると、リラさんがちびっ子たち数人とゴスケさん1号と一緒に、薬草を引っこ抜いている最中だった。
「あら、ミコトさん。ちょうどよかったわ。この魔力草を増やしたいの。ここの一角を借りていいかしら?」
リラさんが、鉢に移し替えた魔力草を指して言う。
「うん、もちろん。……て、手伝うよ」
今日も元気に異常繁茂している薬草は、また足の踏み場もないくらい増えてて、一角といってもその分のスペースを確保するのが難しそう。
なので、僕らも手伝うことに。
「ありがたいわ。お願いね」
自生してる薬草はニワトリや牛や豚たちが毎日モリモリ食べてるけれど、毎日食べられた分以上に増えてる気がするよ。
価値を損なわないよう慎重に、かつ数をさばくために素早く薬草を引き抜いていく。
「ねえ、ミコトさん。街に行くとき、薬草を売ってきてくれないかしら?」
僕、ミナト、トールくん、ステラ、リンドくんの5人で薬草採取を手伝っていると、リラさんが困ったように言ってくる。
「乾燥させた薬草を地下の倉庫に木箱に入れて保管しているのだけれど、木箱の数が増えてしまって……」
傷を付けず根っこも付いたままの新鮮な薬草の、効能を決める最後の工程が乾燥で、乾燥は薬師が他人に任せず自分でやるくらい重要なことのようで。
でも、それくらいはやってしまえるリラさんによって、乾燥の工程まで済ませてすぐポーション作りに使えるようにしたものが、すでに《拠点》の地下に木箱で2つ3つと積んであるようで。
薬師の人に直接持っていっても大丈夫にしてあるものと、まだ乾燥させずにいた薬草もあり、鮮度を落とさないよう保管しているんだって。
……うーん、ライラさんや年長組のちびっ子たちに売りに行ってもらうという手もあるけれど……。
「冒険者ギルドなら、品質に応じた値段が保証されているけれど、商人に売った場合は、在庫状況なんかで大きく変動するし、足元見て安く買い叩こうとする場合もあるんだよね。まあ、足元見るとかそこら辺は、冒険者ギルドでも難癖つけて買い叩こうとする人もいるけどね」
苦笑してるトールくんを見て、ひどい人はどこにでもいるんだなあと、むーっとなる。
じゃあ、これから行こうかな。と思ったけれど、元は孤児だったというナリエお姉さんに頼めばいいのかな? と思い直す。
「僕が行ってもいいけれど、今後のことを考えるとちびっ子たちに交代で行ってもらった方がいいかも。ジョンとメグを護衛につけるよ。冒険者ギルドの受付嬢に、ナリエさんっていう孤児院出身のお姉さんがいるから、その人にお願いすればいいと思う」
「あら、孤児院の先輩がいるのね。それなら安心よ。荷物持ちは必要かしら?」
「あ、そっか。じゃあ、ゴスケさんも一緒に行ってもらおうかな?」
「それは、やめた方がいいと思うよ? ゴスケさんは骨だから、スケルトンが出たって騒ぎになるよ?」
ゴスケさんは強いし空飛べるしいい案かなと思ったら、トールくんから待ったがかけられちゃった。
でも、言われてみればそうだよね。ゴスケさん、ホネホネだし。
あ、ゴスケさん1号が、なんかしょぼんとしてる。
「じゃあ、ゴーレム・コアが何個かあったと思うから、リビングアーマーを何体か作っておくね」
『ゴーレム・コアなら、ほら。集めておいたぞ』
・ゴーレム・コア × 31
「ありがとうヤタ。……でも、いつの間に?」
『鉱山で話が出たあたりからだな』
じゃあ、鉱山で集めた鉄鉱石……というよりは、鉱石をカジカジしていた虫たちからドロップしたインゴットを使ってと。
・ゴーレム・コア×1を消費して、ガードゴーレム (人型)を生産します。
・素体となる素材を選択してください。
鉄インゴット × 15
・素材とMPを消費して、ガードゴーレム (人型)を生産します。Y/N
もちろん、イエスで。
ステータス画面の Y をポチッとすると、地面に光が走り魔法陣が描かれ、一瞬、天に向かって光が迸る。
光が消えた後にその場にいたのは、黒鉄色の全身鎧。
全身鉄製の鎧姿に、左手に装備する盾、左腰に差す剣。動く鎧の、リビングアーマーだ。
ふと思いついて、もう一種のゴーレムを作ってみる。
・ゴーレム・コア×1を消費して、ガードゴーレム (蟻人型)を生産します。
・素体となる素材を選択してください。
蟻の頭 × 8
虫の触角 × 8
虫のアゴ × 8
蟻の甲殻 × 8
蟻の鉤爪 × 16
虫の足 × 32
・素材とMPを消費して、ガードゴーレム (蟻人型)を生産します。Y/N
こっちもイエスで。
魔法陣と光が消えた後に立つ姿は、二足歩行のアリといった容姿の黒い全身鎧。
頭は触角と虫のアゴがあって、骨格むき出しのような細い足の先には鉤爪が。
胴体は人間用の鎧で、虫の腹部にあたる場所は存在せず、手も人間を模した5本指で、前腕に鉤爪が折りたたまれていて、展開して手指を覆い隠し鎌やフックのようにすることもできるみたい。
外見とステータスから、人型リビングアーマーは剣と盾を使った守りが得意そうで、アリ型はスピード重視みたいだね。
「おおー……。……二足歩行のアリだ……」
『外見とか、もう少しなんとかならなかったのか?』
虫っぽい外見のアリ型リビングアーマーに素直な感想を口にするミナトを微笑ましく思いながらも、ヤタの苦情めいた言い方に、むーってなってしまった。
リザルト
種族:リビングアーマー・ゴーレム × 4体
名称:未設定
所持スキル:
・剣術LV2
・槍術LV1
・弓術LV1
・盾術LV2
・体術/格闘LV1
・体術/歩法LV1
・防御LV2
・物理耐性LV1
・魔法耐性LV1
・状態異常無効
・技巧LV1
・剛力LV2
・俊敏LV1
・強靭LV2
・跳躍LV1
・自己修復
種族:リビングアーマー・ゴーレム(蟻人) × 20体
名称:未設定
所持スキル:
・剣術LV1
・短剣術LV1
・体術/格闘LV2
・体術/歩法LV1
・防御LV2
・物理耐性LV1
・魔法耐性LV1
・状態異常無効
・剛力LV2
・俊敏LV1
・強靭LV2
・疾走LV1
・採掘LV2
・自己修復
種族:ストーンゴーレム × 4体
名称:未設定
所持スキル:
・体術/格闘LV1
・防御LV1
・物理耐性LV1
・魔法耐性LV1
・土属性/土耐性4
・状態異常無効
・剛力LV2
・強靭LV2
・採取LV1
・採掘LV2
・自己修復




