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Another Eden Online  作者: 平民のひろろさん
2 第二次βテスト
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第百七十話:閑話:トレード

 二十一日目。


 今日も朝食をとったら鉱山で鉱石の採掘護衛だ。

 出発前に、採掘者の総括をしている人物から、昨日とは違う場所で採掘してほしいと指示があった。

 なんでも、ポイントごとに採掘できる鉱石の傾向に、変わりがないかを確かめたいのだとか。

 それと、地図に載ってない脇道が新しくできてないかの確認もしてほとさ。

 昨日と今日と明日とが、同じとは限らないのがダンジョンだと。


 ……つーか、《鉱山》って、ダンジョンだったのかよ。


 今初めて聞いたわ。

 てか、そんなに変わるなら、地図の意味ないんじゃない?


 そんな問いには、


「ダンジョンは基本的には変わらないが、定期、または不定期に地形が変わるダンジョンもある。それなら、どんなダンジョンも、いつかは変化があるかもしれんだろ?」


 と、ダクさんが分かりやすく答えてくれた。

 だから、いつでも調査は必要なのだと。

 なにその不思議のダンジョン。




 昨日と同じ入口から入り、昨日とは違う場所で採掘を開始する。


 出てくる魔物は即始末。そうすることで、採掘者たちが安心して採掘できる。

 採掘に集中できれば、鉱石が早く貯まって、今日も早く戻ることができるわけだ。


 ……採掘者たちの中には、今日のノルマをさっさと終わらせて、魔物を倒して追加報酬をもらいたいと思ってるのもいるんだろうなあ。


 魔物を弱らせるの、依頼内容に含まれてねえんだけどなあ。


 ま、剥ぎ取りは自分たちでやってるから別にいいか。

 魔石以外の素材は俺らがもらってるし。

 


 ダンジョン内部の特性か、魔物を倒すと一定時間経過で坑道の奥から魔物が追加される。

 なんというか、人のいないところでリポップ(再出現)して移動してくる感じだな。

 そのせいか、出てくる魔物が少しずつ変わっていくのが分かった。

 最初は坑道ネズミ、洞窟コウモリ、洞窟カマドウマと、昨日と同じ顔ぶれ。

 その中に、マッドスライムにストーンパペットにケイブパペットが混ざりだす。


 水気の多い泥が丸まったり広がったり伸び縮みしたりしながら動いてくるのが、マッドスライム。

 小石が集まって高さ1メートルに満たないブサイクなヒト型をかたち作っているのがストーンパペット。

 土や石ころが混ざってヒト型をかたち作っているのがケイブパペット。

 どれも動きは遅いが、耐久性が高いというか、核になる魔石を壊すか引っこ抜かないと倒すのは難しそうだ。

 特に、ストーンパペットは石でできているので、鉄の剣でも下手すると折れてしまうかもしれない。

 でも、アント素材のツルハシで攻撃すると、一撃で倒せたりする。

 正確にいうと、どこでもいいから一撃当てると全体がぐしゃっと潰れて魔石が露出して、しばらく放置してるとまた集まって復活するものの、潰れた状態で魔石を取り外すと、もう復活してこない感じだな。

 ドロップ品は、魔石、泥、小石、土、石ころ。

 魔石以外はまったく価値がない。……と思ったら、小石や石ころは錬金術で合成して石素材にしたり、泥や土は畑にする場所に混ぜたりと、一応は使い道があるらしいのでアイテムボックスへ。

 ときおり、魔石のようでいて違うものがドロップすることがある。

 ゴーレム・コアという名前の魔石みたいな玉だ。

 このゴーレム・コア、なんか最近どっかで見たか聞いたかしたと思うが……、なんだったかな?


「シオリ、これなんだっけ?」


 こんなときは、チームの頭脳担当に聞いてみるのが一番だ。


「ゴーレム・コアって、トレードで募集してるアイテムじゃない。……あ、これのトレード報酬って……」


 シオリが何かに気づいたらしく、真剣な表情でステータス画面を確認してると、不意に、大きな声をあげる。


「あの、みなさん、この黒くて丸い玉、持っている人いますか? 持ってたら、金貨1枚で譲ってください」


 うえっ!? 金貨1枚!?


 驚きと不満が顔に出てたのか、すぐにアキラがトレードの報酬を見せてくる。




《トレード申請》


 各プレイヤーに対しトレードを申請。


 こちらは《ゴーレム・コア》と呼ばれる、人の手のひらに乗る程度の大きさの黒い球体を求めている。

 パペットやドール系の魔物から取得できる品だが、現地人を中心に、その価値が分からぬ者どもから『謎アイテム』『黒い丸玉』などと呼ばれ、冒険者ギルドでは安く買い取られているようだが、実際はきちんと用途がある。

 プレイヤーであれば、《ゴーレム・コア》かどうかは見れば分かるだろう。

 ただし、用途に関しての適性がある者にとっては価値のある物ではあるが、適性の無い者には正しく無価値だと言っておこう。


・依頼者:ヤタ (妖精)

・対象:ゴーレム・コア

・報酬:銀貨10枚 + 付与つきの鉄製品 (ランダム) + 青銅のナイフ

・備考:報酬に関してのクレームは受け付けない。それでよければ交換しろ。




 ……ふむ。銀貨と青銅のナイフはともかくとして、付与つきの鉄製品か……。

 ランダムってことは、何をもらえるか分からないってことだが、逆にいうと、何をもらっても金貨を支払う価値はあるって判断したんだな。

 妖精主導のトレードなら、変なもの渡してきたりはしないだろう。たぶん。


 まあ、そんなにたくさんは集まらなかったけどな。





・リザルト

 鉄の棒 +1 (体力)

 鉄の腕輪 +1 × 2 (最大HP、物理防御)

 鉄の指輪 +1 × 4 (最大MP、体力、速度、器用さ)

 鉄の指輪 +3 (最大HP + 最大MP + 物理防御)



 ……これ、絶対金貨1枚じゃ買えないやつよね……。

 3つ付いてるのもあるし……。


 市場価格や適正価格が分からないから、金貨をどれほど積めば釣り合うのか分からないわよ……。

 騙したみたいで気が重いわ……。


 ……《賢者》シオリ


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― 新着の感想 ―
ウィンウィンですねw
 価値がわからない人から安く買って高く売るのも、まぁ、商売と言えますから…
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