第百五十三話:二十日目
妖精テレポートで《鉱山》に行って採掘した帰りにマミーの軍勢を倒して、《拠点》に戻った次の日。
朝食を食べた後、岩ヤギと岩トカゲがなんだかソワソワしてるとヤタに言われたので探してみれば、岩トカゲは畜舎の周りでニワトリたちに集られていた。
何してるのかと思えば、ニワトリたちが虫を捕まえてトカゲたちにせっせと運んでいた。
最初のうちはパクパク食べていたトカゲたちも、ニワトリたちがあれも食えこれも食えとばかりに次々と虫を運んでくるものだから、体の大きな岩トカゲたちもタジタジになっていた。
……うちのニワトリたち、世話好きなのかなあ……?
なんか、田舎のおばちゃんが、あれも食えこれも食えと次々と食べものをよこす感じに見えるよ。
岩ヤギは? と周囲を見渡せば、牛や豚に混じって異常繁茂している薬草をハムハムしていた。
豚の近くにいるヤギは、軽く頭突きされて押しのけられてるよ。
それに対して、牛の近くにいるヤギは、のんびりとハムハムしてるね。
豚は、なんだろう? 縄張り意識? 意地汚いだけ? どっちにしろ、気性が荒いんだね。
魔豚が特に攻撃的というか、薬草をハムハムしてるときに近づかれるのを嫌ってるみたいだね。
「ミコト、洗い物終わったぞ」
「あ、ミナト、ありがとー」
洗い物を買って出てくれたミナトにお礼を言いつつ、ぎゅーっとハグする。
ハグすると、いつも困ったような顔になるのが気になるところだけれど、嫌そうじゃないからいいよね。
「今日はなにするんだ? エルフのじいさんたちのところに行かなくていいのか?」
「おじいちゃんエルフのところは、もう少ししてからサンダーバードに手紙を持たせて飛ばそうね。それまでは、《拠点》を拡張します!」
ぐぐっと拳を握ってみると、ミナトがおお~っと声をあげてくれる。
ノリがよくてほっこり。
「具体的には?」
「岩ヤギと岩トカゲが生活しやすい場所を作ります。《拠点》の拡張項目に、《岩場》が増えたんだ。ヤギやトカゲにとっては、草原よりは快適なんじゃないかな?」
ミナトもうんうんとうなずいてるし、たぶん大丈夫だと思う。
というわけで、どーん。
《岩場LV1》 を設置しました。
畜舎の北東側に《岩場》を設置する。
場所は、薬草が異常繁茂している北東側の薬草・甜菜区画の東側だ。
薬草や甜菜やダイコンヤクシャたちに朝日が降り注がなくなるけれど、薬草は増えすぎなので今のところはかまわないよね。
地面がむくむくと盛り上がり、ピラミッドみたいな形の岩場ができあがる。
階段状になって簡単に登れる場所が4ヶ所、所々に水場と日よけの東屋が設置されていて、ヤギやトカゲが休む場所にもなりそう。
岩場のてっぺんにも水場と東屋があって、東屋の一角には仕切りがあって、風も入りにくい場所が確保されていた。
また、岩の隙間に岩トカゲが身を潜めるのに適していそうな穴があちこちにあって、涼しそう。
岩ヤギも岩トカゲも、とっても嬉しそうに岩場へ行き登っていった。
※
・飼育する家畜を購入してください。
・・岩ヤギ
・・角ヤギ
・・山羊 (ヤギ)
・・バイコーン
・・ハイヤーゴート
・・レッサーデーモン
※※※バフォメット
・・岩ヤギ
: 急な崖などの岩場に住むヤギ。
餌が少なくてもちゃんと育つ。
肉も美味しい。
・・角ヤギ
: 角が攻撃的に発達したヤギ。
気性が荒いことで知られる。
毛皮は丈夫で防具になる。
・・山羊 (ヤギ)
: 野生のヤギ。または、飼育されているヤギ。
毛皮、乳、肉、骨と、あらゆるものが利用される。
本能的に、高いところが好き。
・・バイコーン
: 闇属性で2本の角を持つ魔物。
角から強烈な毒を分泌し、角で突くと同時に毒を注ぎ込む。
皮を加工すると毒耐性の防具が作れる。
・・ハイヤーゴート
: 乗り物として利用されるヤギ。
体は丈夫で体力もあるが、知能はあまり高くなく、命令を無視したり誤認したりする。
険しい山道や岩場など、馬では通過できない場所で活躍する。
・・レッサーデーモン
: テイムすることで戦闘や労働で活躍する。
知能が低く気性も荒いが、デーモンの名にふさわしく強力な存在。
物理や魔法に耐性を持つ。
※※※バフォメット
: その名が、その姿が、悪魔そのものとされる存在。
知能は高く人語を解し高位の魔法や呪いをも操る。
物理や魔法に高い耐性を持つ。
・飼育する家畜を購入してください。
・・岩トカゲ
・・水トカゲ
・・砂トカゲ
・・アオダイショウ
・・リザードマン
・・王サンショウウオ
※※※バジリスク
・・岩トカゲ
: 岩場に住むトカゲ。暗いところが好き。日の高いうちに日光浴もする。
皮は丈夫で、動きはにぶいが力は強い。
主食は虫。
・・水トカゲ
: 水上や水中を自在に動き回るトカゲの近似種。
肉は美味しいらしい。
別名、サンショウウオ。
・・砂トカゲ
: 砂場や砂漠に生息するトカゲ。
外皮は岩のように固く、口から毒液を飛ばす。
・・アオダイショウ
: 草むらや水辺など幅広い場所に住む蛇。
毒は持たず大人しい性格。
・・リザードマン
: 二足歩行し武器や盾を持つトカゲ。
外皮は固く力も強い上、数が増えると陣形を組み戦術的な戦いをするなど、知能も高い。
肉は食べられるが淡白な味わい。
・・王サンショウウオ
: 水中に住むサンショウウオの王様。
知能が高く人語を解し魔法を操る、王の名にふさわしい強力な存在。
物理や魔法に耐性を持つ。
肉はとっても美味しいらしい。
※※※バジリスク
: 大きな体にふさわしい怪力と、非常に優れた防御力を持ち、睨まれただけで石化してしまうと言われている、亜竜の1種。
牙には強力な毒、麻痺と石化の魔眼を持ち、魔法や呪いも操る強力な存在。
皮を加工すると、毒や魔眼に耐性のある防具を作れる。
……………………。
こしこしと目をこする。
なんか、家畜とは違うナニかが、飼育できる……?
「ミコト、どうした?」
目をこすってる僕を見て、不思議そうにしてるミナト。
どうしたって、ねえ?
「えーと……、これ、見て」
ステータスウインドウをポチポチして他の人にも見えるようにしてミナトに見せてみると、
「ぶふっ!? な、なんだこりゃっ!?」
吹き出して、ビックリしてた。
そりゃそうだよね。
『二人とも、どうした?』
「あ、ヤタ。ちょっとこれ見て」
『ふむ。これがどうした?』
僕やミナトは驚いたけれど、ヤタに見せてみても反応が薄いなあ。
「うーん、どう見ても、家畜じゃないのが混ざってるよね」
『嫌なら普通の家畜を選べばいいだけだろ』
それは、そうなんだけどね……。
『どうしても、気になって仕方がないんだろ?』
「そうなんだよね。気になって仕方がないんだ」
『なら、試しに選んでみたらどうだ? ヤギをテイムしたときのように、なにかが拡張されるかもしれないし』
なるほど! それは考えつかなかったよ。
よーし、じゃあ、やってみよう!
リザルト
《岩場LV1》 : 最大飼育可能数 : 20頭。
飼育中 : ヤギ12頭、トカゲ6頭、邪神1柱、亜竜1体。計20体。
・岩ヤギ4頭。
・岩トカゲ5頭。
・角ヤギ2頭。
・バイコーン2頭。
・ハイヤーゴート4頭。
・リザードマン1頭。
・バフォメット1体。
・バジリスク1体。
《自動給餌設備LV1》 × 20頭分(設置済み)
《自動給水設備LV1》 × 20頭分(設置済み)
《自動空調&管理LV1》 × 20頭分(設置済み)
《快適化施設LV1(各種)》 × 20頭分(設置済み)
各施設、20頭分購入、設置。
・現在、施設レベルを上げることは出来ません。
・特定の種族の家畜を確認。購入可能な家畜の項目が解放されます。
・・解放項目 : 羊、蛇、馬
・《拠点》の拡張項目が解放されます。
・・解放項目 : 草原、神殿
・特定の種族の家畜を確認。購入可能な家畜の項目が追加されます。
・・追加項目 : 鶏、豚、牛
・現在、解放が制限されています。
・・制限項目 : 亜人(ヒト型魔物)、鬼、悪魔、神族、竜




